第六話
日が暮れたのと同時に今日の鍛錬は終了した。今はノアと別れ、夜ご飯を家族と食べている最中だ。
僕は考え事をしていた。
僕が縮地を覚えるには敏捷をEからCに変えるしかないがそれだと時間がかかる。縮地はあきらめるしかないのかな…… 。あれ?そういえば僕、縮地に似たスキル持ってなかったか。そう思いステータスを確認した。これだ
-----------------
【瞬間移動】
〈能力〉
指定した距離へ瞬時に移動する。
-----------------
これ、縮地より強くないか? そう思っているとパパがご飯を食べ終わった。
「今日もおいしかったよママ、ごちそうさま。」
「どういたしまして…… ってまたピーマン残して!子供が見てるんだからちゃんと」
「やばい、逃げろ! 」
そういうとパパの姿が消えた。しかし今日の僕は今までとは一味違う。
「逃がすか! 」
即座に瞬間移動を使いパパを追いかけて、初めて逃げたパパの姿をとらえることができた。というか縮地使いまくってガチ逃げしてるじゃん!どんだけ食べたくないんだよ!
「げっ、なんでアルトがついてこれてるんだ!?」
「今日はちゃんとお母さんに叱られてもらうからね。」
追いかけているうちにパパの足をつかみ、転ばせることに成功しその上に乗った。これでもう動くことはできない。
「もうおとなしく観念しろー! 」
「やるな息子よ。しかしまだ甘い。」
そういうとパパの周りから、赤いオーラがまとい始めた。そして僕がなすすべもなくふきとんで、いつの間にか僕の後ろに回り込んでいた。
「これはな闘気と言って、魔力を全身にまとわせることで身体能力が上がるスキルだ。覚えてけ。」
「そんなのずるいよ!」
「ずるくない。これが大人…… 」
「あなた、どうしてアルトちゃんが吹き飛ばされたのかしら? 」
パパの後ろでママが笑みをこぼしながら立っていた。しかしその目は笑ってないことは僕でも理解できた。この目は怒っているときのやつだ。
「ちょっとお話ししましょうか? 」
「アルト助け…… 」
その後、パパの姿を見た者はいない。
-----------------
次の朝、庭に集まって修行が始まった。
「それでは、今日も剣の修業を始める。心してやるように。」
「ねえアルト、グランおじさんテンション低くない? なんかあった? 」
「自業自得だよ。」
そうして始まった修行も、お昼で切り上げた。パパには防衛団の仕事があるから1日中教えてもらえる日は週に二日ぐらいだ。
午後に、ガランとリズが遊びに来た。家の扉に立っていた二人は険しい顔をしていて、僕の顔を見た瞬間なぜか二人に驚かれたが、そのあと僕の部屋に招いた。なぜそんな顔をしているのかわからなかった僕は聞いてみることにした。
「どうしたのガラン、そんな顔して。」
「 ……アルト、おまえは強いな。俺ならまだ立ち直れねえよ…… 」
その言葉で、なんで険しい顔をしていたか分かった。ガランは僕の職業が鑑定士だったことを慰めに来てくれたのだろう。けど、扉を開けた僕があまりにもいつもの感じだったから、困惑しているのだと思う。
「いや、実はガラン聞いてほし…… 」
「お前は俺たちの親友だ!だから何かこまったことがあれば俺たちを頼れ、ずっと親友だからな!リズもそうだろう!」
「うん!わたしもアルト君の力になる!!」
「ちょっとま…… 」
「だから死なないでくれええ! 」
そういうと二人は泣き出してしまった。けど、僕のために泣いてくれるのは嬉しくもあった。二人が落ち着いたころに、加護の話をした。聞いた二人は最初は意味が分からなかったそうだったけど、理解できたのか、なぜかまた泣いてしまった。
「よかったああ、てっきり俺はアルトが人生に絶望して落ち込んでいるのかと。だから俺とリズとノアの三人で励ましに行こうとしたんだけど、ノアがもうアルトの家に行ったって聞いて、急いできたんだけど、ほんとによかったああ!」
「わたしも何かできることあるかなってずっと考えてて何も思いつかなくて…… 安心したよ。けど、ほんとに魔法が使えるの? 」
「ああ、使えるよ。」
僕はノアに見せた時のように、窓の外へと手を広げた。今回は、
『風よ。我の声に答え、目の前の敵を振り払え【エアーショット】 』
その風の塊はガランとリズに見えるように大きくそして速度は遅く、窓の外へと飛んだ。
「すごいなアルト!それってスキルなら何でも行けるのか?」
たしかに、職業スキルやユニークスキルには試したことなかったな。よし、いまから試してみよう。
「リズ、少し鑑定眼で覗くけどいいかな」
「う、うんいいよ?」
僕はリズの顔を見ながら職業スキルに対して【鑑定眼】を使った。
-----------
【無詠唱】
〈能力〉
魔法を詠唱なしで唱えることができる。
〈習得可能条件〉
火、水、風、土属性魔法を取得する。
【魔力増強】
魔力のステータスに+3000する。
〈習得可能条件〉
いずれかの魔法2つをLv3にする
【全属性魔法】
すべての魔法が使えるようになる
〈習得可能条件〉
スキルを与える職業スキルのため修得不可。
-----------------------------
僕は、職業スキルも習得が可能らしい。しかし習得できないスキルもあるがスキルを取得できればよいだけなので関係なし。さらに僕は魔法を唱えるだけで習得することができる!
と考えていると目の前のリズの顔が恥ずかしいのか赤くなっていた。
「アルト君…… まだかかる?」
「ごめん! あとちょっと。」
リズのためにも早くしよう。僕が持っていない火属性魔法を鑑定した
-----------
【火属性魔法 Lv1】
火属性の魔法を使えるようになる。
〈習得可能条件〉
現在持っている魔法スキルをLv3まで上げる。
--------------------------
そんなに世の中甘くなかったぽい。
そりゃそうか、魔法スキルは本来、修得不可とされている。これぐらいの条件で使えるのは相当優しいほうかもしれない。
ちなみに、魔法のLvを一つ上げるには、毎日鍛錬して、1から2には2年、2から3には5年と上げるレベルが高ければ高いほど長い年月が必要になる。
9から10に至っては30年かかるらしい。この国でもLv10に至った人は数えれる人しかいない。
風属性魔法をLv1から2に上げる条件が気になったので見てみることにした。
---------------------------
【風属性魔法Lv1】
〈レベルアップ条件〉
風魔法を100回撃つ
-----------------------------
あれ、2年といわなくても今からでも達成できるんじゃないか?これもまた僕だけの条件なのだろうか。ありがとう英雄さん!
「アルト君まだ……? 」
恥ずかしさが頂点に達して、少し泣きそうなリズがいた。普通に忘れていた。
「もう終わったよ。ありがとうリズ!」
感謝を伝えて僕は、【エアーショット】を撃つことにした。
「ちょっと、アルト何してるの?」
「今、職業スキルを習得できることが分かったんだけど、そのためには魔法のレベルを上げてるとこ。」
「そんな多く、撃ってたら、あんた……」
「えっなに、聞こえな」
ここで突然、激しいめまいと頭痛に襲われた。この症状は魔力枯渇の時に出る症状で、この状態になると数秒で意識が保てなくなり、気絶する。
僕は気づいた。人のステータスばかり見ていて忘れてたけど、自分の魔力Eだった……
そして僕は気絶した。
ランク0「鑑定士」に選ばれたけど実は世界最強の職業でした。~鑑定眼と加護の超万能チートで英雄を目指します~ みなかな @minakana782
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ランク0「鑑定士」に選ばれたけど実は世界最強の職業でした。~鑑定眼と加護の超万能チートで英雄を目指します~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます