第五話
その後、パパたちにさっき起こった出来事を説明した。話が終わった後、パパとママが泣きながら僕に抱きついてきて頭をなでてくれた。その居心地が暖かくて僕も泣いてしまった。
次の朝、僕とノアは家の庭にいた。今日からパパの指導の下、剣の修業が始まる。
「今日からお前たちに剣を教える。この時間は俺のことは先生と呼ぶように。」
「「はい! 」」
「いい返事だ。ではまず二人の目標を発表する。ノアは教会の人が来るまでの間、俺が剣の基礎を叩き込む。」
竜騎士という職業の成長速度は人々の常識をはるかに凌駕する。パパは防衛団の団長ということもあり、かなりの手練れの剣士である。
しかし、学園に入るまでの6年間、ノアよりも強者となりつつ指導することは難しいらしい。だから教会からノアを指導できる人が来るそうだ。
どんな人が来るのか楽しみにしている。
「アルトはまず、その加護の力を知ることから始めろ。剣はそのあとだ。」
「はい」
そう、僕はこの加護をまだ全然知らない。そしてこの力を理解しない限り、英雄にはなれない。絶対理解してやる!
こうしてそれぞれの修業が始まった。
ノアとパパと剣で打ち合っている。自身の今の実力をわからせるためにしているらしい。ノアの動きは職業の影響で以前とは比べ物にならないほど速くなっている。
しかしパパは疲れた顔を一つも見せず、剣をさばいている。そしてとうとうノアが地面に背をついた。
「分かったと思うが、速度がどれだけ早くても、剣の軌道が読めてしまえばどうということはない。そしてその部分を補うための基礎だ。そのことを忘れないように。」
「はい。わかりました先生! 」
二人は素振りを始めた。基礎で一番大事な動作であり、動作を見るだけでその人の実力がわかるらしい。しかし、よく暇なとき、二人で鬼ごっこしていたけど、今の立ち合いを見て、もうノアとするのはやめようと心に誓った。
そして、僕も修業を始めた。
今、わかっていることは3つある。
1、魔法を見るとその詳細がわかる。
2、取得可能条件がわかる。
3、条件を満たしても習得できるのは僕だけである。
この3番目に関しては、昨日、風魔法を持っていないママに僕が習得できた条件を試してもらっても、習得できなかった。
パパが言うに僕のこの加護の力は常識を逸脱していて、今はここにいる人たち以外には話すなって言われた。
ガランとリズには話してもいい? って聞いたらいいぞっていわれたから今度話そうと思う。
この3つを知ったうえで、まずわからないことは、この力は魔法以外にも使えるのかといこと。僕はまず鑑定眼で素振りをしているパパを見た。
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名前 グラン・ルーベンス
種族 人間
職業 剣闘士 ランク3
性別 男
レベル 57
体力B(0)
魔力C(0)
筋力A(+3000)
頑丈B(0)
敏捷B(0)
器用C(0)
知性B(0)
幸運C(0)
職業スキル
「剣の道」 「筋力増強」
スキル
闘気Lv5 剣術Lv8 見切りLv2 縮地 Lv3
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いや、強すぎない…… 。ステータスを見た僕の率直な感想だ。その中で僕が気になった縮地というスキルを見てみた。
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【縮地Lv3】
〈能力〉
一定間の距離を敏捷のステータス地+13000で移動できる。
〈取得可能条件〉
縮地Lv1は敏捷C以上で条件を提示する
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敏捷Eの僕には習得するのは無理らしい。しかし、これで魔法以外にも通用することがわかった。
これは大きい収穫だ。けど、さっきの立ち合いでノアの方が速いといったが、スキルを使っていれば速さはパパの圧勝だろうな。
そしてここで僕は長年の疑問を解決した。パパはよくいらないことをしてママに怒られているのだが、怒ろうとした瞬間、パパの姿がないのだ。
僕は逃げ足が速いんだなとばかり思っていたが、縮地を使って逃げていたことが分かった。後でママに報告しよう。
僕は次に剣術を見た。
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【剣術Lv8】
剣に関する技術が向上する。
〈取得可能条件〉
剣の素振りを正しい姿勢で100回する。
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これはいける!そう思った僕はパパに剣を借りて、素振りを始めた。
「アルト!腰が曲がっているぞ。」
「力むな。力ではなく遠心力でふれ。」
「そんなんじゃ、剣術を得ることはできないぞ!」
正しい姿勢でするというのはとてもむずかしくて、腕の力が痛くなって、力がはいらないくなるぐらいまで、素振りを続けた。そして、日が暮れようとしたとき
「99……100! 」
『剣術Lv1を習得しました。』
「やった、習得できたー!」
「よくやったなアルト、えらいぞ!」
こうして僕は魔法以外で初めてスキルを獲得した。
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