[前衛]フェンサー ~ ビルド難しい、だけど楽しい

■■■ 概要 ■■■

 ファイター、グラップラーと同様に基本的に前衛に出て戦う戦士系技能です。

 ファイターと同じく武器と防具を身に纏い、敵と切り結ぶ役を担います。

 それってファイターと何が違うの?と思われる方もいるかもしれませんが、フェンサーはファイターと全く別物と言っていい技能です。




■■■ フェンサーの特徴 ■■■

・経験点Bテーブル技能のため必要経験点が少なく済む

・常時C値-1

・自身の筋力の半分(端数切り上げ)までの装備しか持てない

・自動取得の戦闘特技が無い


 ざっくり書き出すとこんな感じでしょうか。

 他にも、ファイターやグラップラーでは取得できない戦闘特技があったり、逆にフェンサーでは取得できない前衛系戦闘特技がありますが、詳しくはルールブックを参照してください。




■■■ フェンサーの長所 ■■■

▼成長に必要な経験点が安い

 フェンサーは経験点Bテーブル技能です。スカウトやレンジャー等といった「サブ技能」系の技能と同じく、ファイター等のAテーブル技能より安い経験点でレベルアップできます。

 これが意味することは、「1レベル先行した成長も可能」「サブ技能が取得しやすい」ということです。

 Bテーブル技能は、Aテーブル技能が使った経験点に+500点することで1レベル上にすることが可能です。

 サブ技能を少し抑え気味にすることで、フェンサー技能を他PCのメイン技能より1レベル高くできるので、HPや各種基準値がLv+1分確保できたり、戦闘特技の取得を早めたりできるので、優秀な戦力になれます。

 また、メインとして使う技能の経験点が安く済むということは、サブ技能に回せる経験点の余裕ができやすいということでもあります。

 ファイターやグラップラーでは成長が大変な魔法戦士ビルドも、フェンサーでは比較的作りやすくなります。


▼常時C値-1

 多くのSWプレイヤーを狂わせる魔性の言葉。

 特技も何もなしに、フェンサーは武器のC値が常に-1される特徴があります。

 元からC値が9の武器であれば、装備するだけで下限の8。ここにSW2.5で改定された《必殺攻撃》を宣言すると、ダメージロールの出目が7でクリティカルするようになります。

 その発生率は驚異の58.33%。

 5回転などの普通ではお目にかかれないような大回転クリティカルが決して珍しくない現実的なものとなり、その爆発力は他の追随を許しません。




■■■ フェンサーの短所 ■■■

▼自身の筋力の半分(端数切り上げ)までの装備しか持てない

 ここまで見るといいこと尽くめのようですが、世の中そんなにうまい話は無い。

 フェンサーは独自の要素として、必筋が自身の筋力の半分までの装備しか扱えません。

 筋力12であれば必筋6の装備まで。筋力15であれば端数切り上げで必筋8の装備まで、という具合です。

 これが意味することは「重い鎧を着れないため防護点が低くなりやすい」「重い武器を持てないため攻撃力が低くなりやすい」ということです。

 常時C値-1特性こそありますが、クリティカルは攻撃の威力レートが高くなければ折角のダメージ上乗せ量も高くなりません。Lv7くらいから単発攻撃力はファイターに見劣りすることが増え始めるでしょう。

 また、防護点を上げることが難しく、耐久力を確保するなら必然的に回避を高めるか、《防具習熟》《頑強》を取得したくなり、特技枠のやりくりに頭を悩ませることになります。回避力を下げるリスクを伴う宣言特技も迂闊には使えません。


▼自動取得の戦闘特技が無い

 Aテーブル技能は強力な自動取得特技が存在します。

 ファイターはHPを底上げする《タフネス》や複数宣言が可能になる《バトルマスター》、グラップラーは《追加攻撃》に《カウンター》《バトルマスター》、魔法系技能は限定的複数回宣言を可能にする《ルーンマスター》など、大抵が高Lv取得というハードルの高さこそあれ、どれも強力なものばかり。

 しかしフェンサーには自動取得の特技は一つも存在しません。

 つまり戦闘特技は全て選択式特技で組む必要があるため、他技能より特技枠の選択は慎重を期す必要があります。




■■■ フェンサーは強い?弱い? ■■■

 序盤は深く考えなくとも強いです。

 成長が容易であるBテーブル技能に加え、ファイターが高威力な武器や武器習熟が揃うまでは火力面ではむしろフェンサーが上回ることも珍しくはなく、頼もしい前衛として活躍できるでしょう。


 しかしLv7でファイターが《タフネス》を自動習得、グラップラーも《カウンター》を自動取得し、様々な特技がⅡに置き換え強化され、装備も整い始めるとフェンサーの頼もしさは相対的に低くなっていくでしょう。

 Lv7以降の中レベル帯以上でフェンサーが周りに見劣りすることなく活躍するには、綿密な成長プランと役割の明確化といったビルドセンスが問われます。

 勿論、十分に考え抜かれたビルドのフェンサーは高レベルでもPTの中核として活躍できるポテンシャルを持ちます。


 筆者はフェンサーはSW2.5において、最もビルドの知識とセンスが問われる技能であると思っています。

 戦法の明確化、それを実現させるためのサブ技能や装備の取得、限られた戦闘特技枠のやりくりと特技の取得順番……ビルドにあたって考えることは他の技能より多くなりますが、その分上手く組むことが出来たフェンサーが活躍する快感は何にも勝るものとなるでしょう。


 改めて強調しますが、初期作成~中レベル帯までのフェンサーは深く考えなくとも普通に強いので、高レベルセッションでもない限り初心者でも恐れることなく組んでみてくださいね。




■■■ フェンサーに有用なものたち ■■■

〈バックラー〉 (盾・Bランク)

 初期装備としても容易に購入できる安価な盾。

 非常に軽く、防護点こそ上がらないものの常時回避+1してくれるため、重い鎧が着れず装甲が薄くなりがちなフェンサーにとっては長くお世話になることも多い防具です。

 Bランク装備なので比較的安価にマナタイト加工を施すことができ、《防具習熟/盾》《防具の達人》を取得しないビルドにおいてはLv15でも付き合うことになるアイテムとなります。


〈マンゴーシュ〉 (ソード・Aランク)

 軽量で安価、しかも回避補正がつく優秀な剣。

 威力はBランク級に低いので、二刀フェンサーで回避を稼ぎたい場面で抜刀すると良いでしょう。


〈アストラルガード〉 (非金属鎧・SSランク)

 SSランク防具の中でも極めて軽く、安価な部類で、そこそこの防護点に加え魔法ダメージ-3の特徴を持ち、回避+1補正までついてくる極めて優秀な非金属鎧。

 特に回避主体のフェンサーにとって、回避不可の魔法を軽減してくれるのは魔法が飛ぶ頻度が高くなる高レベルほど恩恵が大きいです。

 フェンサーでも容易に装備できるので、《防具の達人》を取得するビルドであれば最終装備になります。


〈大きな手袋〉(装飾品・右手&左手)

 右手・左手の装飾品枠を埋めてしまう特殊な装飾品。

 効果は「装備する武器・盾の必筋を-5する」というもの。

 自身の筋力の半分までの必筋の装備しか扱えないフェンサーにとっては、疑似的に筋力を+10してくれるに等しいとても重要な装備です。

 しかし当然その分の装飾品枠は削られ、特に指輪・腕輪を装備する枠が2つも減ってしまうのはデメリット。

 自身の能力値や役割と相談し、指輪・腕輪を削ってでも装備したいものかを吟味して使いましょう。

 値段も安くありませんので。


【ジャイアントアーム】 (練技・エンハンサーLv5~)

 エンハンサーLv5以降で取得可能になる練技。

 1ラウンドの間、自身の筋力を+12してくれるすごいやつ。

 戦闘中は毎ラウンドこれを使用することで、普段の筋力では装備することのできない重い武器を持つ目的で取得されることが多いです。

 フェンサーとして特に好まれるのは、先述の〈大きな手袋〉と併用することで本来であれば装備に筋力39以上を要求されるSランクソード〈首切り刀〉を持つために使用されます。

 ・〈首切り刀〉(必要筋力20)-〈大きな手袋〉=必要筋力15(要筋力29)

 ・【ジャイアントアーム】で筋力+12できるので筋力17で装備可能になる


《回避行動》 (戦闘特技・常動・冒険者Lv3~)

 フェンサー防御面の命綱である回避力をコストやデメリット無しに常時アップしてくれる特技。回避は強化手段が非常に限られる故に、前線で戦うフェンサーならばこの効果は超が付くほど重要です。

 回避は1でも不足すれば効果を発揮してくれないステータスなので、極力確保しておきたい戦闘特技です。


《挑発攻撃》 (戦闘特技・宣言・冒険者Lv1~)

 攻撃を命中させた相手の注意を引くヘイト技。回避盾として動きたい場合は選択肢に入るでしょう。

 命中させなければ効果を発揮しないので、命中補正があるメイスが相性良好。

 「知能:高い」のエネミーに効果を発揮しないのが難点ですが、IIに強化されて以降は「知能:高い」エネミーに命中させると自身以外のPCに向けた行動に行動判定-2のデバフを与えるため、強力な魔法を操るエネミーに対しても優位に働きます。

 この特技を活かす場合、HP・回避力・抵抗力が極めて重要になるため、他PCよりも1レベル先行して成長させるのが望ましいでしょう。


《囮攻撃》 (戦闘特技・宣言・冒険者Lv1~)

 効果を適用した攻撃の命中が-2されるデメリットの代わり、命中時はダメージ+2、回避された場合は敵に次の攻撃が命中するまで回避-1のデバフを与える特技。

デカい一発を持つ仲間へのアシストとして使うも良し、命中をバフで高めてダメージアップ特技として使うも良し。当たっても外れてもメリットがあるオイシイ特技です。

 冒険者Lv9でIIに強化されるとダメージ+8に強化され、火力型特技としてもかなり実用的になります。

 ダメージ上昇特技といえば《全力攻撃》や《魔力撃》が鉄板ですが、《囮攻撃》のメリットは打たれ弱くなりがちなフェンサーが防御リスクを一切負わないのが長所。しかも、当たっても良し、外れても仲間に繋げれば良しの効果なので、ダメージが低いIの時は仲間へのアシスト役として動き、ダメージが上昇して命中バフも揃ってくるLv9以降はアタッカーへと転向することも可能なので、長期キャンペーンにも向いた特技です。


《必殺攻撃》 (戦闘特技・宣言・冒険者Lv1~)

 もともとC値が低いフェンサーがこの特技を用いる事で、武器によっては出目7でクリティカルするようになる恐怖の特技。

 しかし宣言することで回避にペナルティを受けますし、クリティカルの威力に期待して成長を筋力に回し、盾を捨てて両手武器を使うとたちまち敵の攻撃でボロ雑巾にされるでしょう。

 Lv1から取れるので最初に取得したくなりますが、まずは《回避行動》などの基礎をしっかり押さえ、その後で取得するのが良いでしょう。低レベル帯での単発セッションやショートキャンペーンで取るのも有りですが、かなりギャンブル型のビルドになるので気をつけましょう。

 冒険者Lv11でIIIに強化されると、全ての攻撃のクリティカルを無効化するミスリルゴーレムにすらクリティカルが発生するようになります。高レベル帯で活かしたい場合、〈首切り刀〉(Sソード)や、〈イヴェルシオ〉(SSウォーハンマー)を使うのが有力でしょう。

 ロマン寄りの特技ですが、丁寧にビルドを組めばきちんと活躍できます。


《両手利き》 (戦闘特技・常動・冒険者Lv1~)

《二刀流》 (戦闘特技・常動・冒険者Lv5~)

 左右の手に1Hの武器を持ち、二回攻撃が可能になる攻撃型特技。

 この特技を取得して【ピラー】や【ピアシング】といったC値⑧の武器で二回攻撃を行うフェンサーは凄まじい爆発力を発揮し、低~中レベル帯でのフェンサービルドとして大人気です。軽装二刀剣士という絵面もカッコイイ。

 Lv5、Lv7あたりまでは間違いなく強力なビルドです。

 しかし、レベルが上がるにつれ周囲の火力が高まると、いくらC値⑧とはいえ威力15前後の武器では相当クリティカルしないと特別火力が高いという訳にはいかず、更に敵の防護点も上昇するため二刀攻撃はその分ダメージを多く軽減されてしまいます。

 そして敵の攻撃も苛烈になっていくため、《両手利き》《二刀流》《武器習熟》と攻撃特技ばかりで防御系特技に欠け、《回避行動》も無くBランク軽装防具のままでは耐えられない攻撃がどんどん飛んでくるようになります。Lv10以上の世界では、ヒーラーやバッファーに恵まれていなければファイターでも防御系特技が一切無いキャラだと危険な状況もあり、《タフネス》自動取得も無いフェンサーが防御特技一切無しで前に出るのは、味方に《かばう》持ちタンクでも居ない限りは危険です。

 前述の通り、Lv7あたりまでは間違いなく強くて楽しいので初心者にもオススメですが、それ以降のレベルでも活躍させたい場合は自身のビルドだけでなく、PT構成も大いに関わってきます。Lv10以上の高レベルセッションや長期キャンペーンでは入念なビルドと行動が必要になる上級者向けビルドとなります。


《切り返し》 (戦闘特技・宣言・Lv1~)

《テイルスイング》 (戦闘特技・宣言・Lv3~)

《変幻自在》 (戦闘特技・常動・Lv5~)

 種族リルドラケン推奨。

 尻尾で戦うという変わったフェンサーをやりたい時に非常に強い特技達。練技【ドラゴンテイル】も忘れずに習得しておきましょう。

 なんとLv5から《切り返し》+《テイルスイング》を同時宣言し、複数相手を尻尾で薙ぎ払えます。単体相手にも《切り返し》で命中させやすい攻撃が可能で、対雑魚・対単体ボスどちらにも強力です。

 尻尾は手に装備する必要がない武器なので、空いた手で盾を装備することも可能です。基本ルール時点では盾を持ちながら物理範囲攻撃が可能という《薙ぎ払い》ファイターでは不可能な構成を可能にするスタイルです。

 盾が持てることに加え、戦闘特技3枠で基本が完結するビルドなので、中~高レベルでも防御特技や火力増強特技を充実させることで長く戦えるビルドです。《習熟》を取得するまでは装備更新もほとんどないので、出費も非常に少ないです。

 Lv5まで防御系特技を取れないのが難点ですが、リルドラケンならば高い生命力と種族特徴でかなり誤魔化しが効きます。1レベル先行成長すればLv5前後の環境で脆いと感じることはまず無いでしょう。

 尻尾は魔法の武器やイグニダイト加工できない点には注意しましょう。

 

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