第199話 VIPのお出迎えの件
────ふぅ。
いい仕事したあとの風呂は良いね。
今浸かってる湯布院温泉は前から来たかったから格別だ。
────どんな良い仕事をしたのかって?
とりあえず珍しく
俺がおっさんの言う事を聞いたって事自体で良い仕事したと評価しても良いだろ?
────あと、そんでもってなんで俺が湯布院温泉にいるかって?
────仕方ない、面倒だが説明してやるか。
………なんでも、T.O.F.U.に
だから俺が湯布院温泉に派遣された訳だ。
………これで説明おしまいです。
……………。
………………。
………………………。
────すまん、実は俺だってなんかよくわかってない。
ホントの事言うと、VIPが来るって言うんで真っ先に俺と会わせない様にしなければとT.O.F.U.の総力を上げて色々なシミュレーションをしたそうだ。
でも、どうしてもシミュレーション結果が俺がやらかす結果にしかならずに
────そりゃアイちゃんとゴンちゃんがシミュレーションするんだから、絶対に俺が何かやらかすシミュレーションするわな。
あの二人には普段からおっさんへの扱いについては色々指導しているからな。
おっさんの思い通りになるわけないっての。
おっさんは俺よりうちのAIコンビと付き合い長いはずなのに全く分かってないぜ。
まぁ、あの二人は俺が育てたと言っても過言ではないが。
────で、最終的に俺が司令部から追い出されたと思うだろ?
チッチッチッ、それが違うんだな。
どうしたらいいかと頭を抱えるおっさんの所に、逆にVIPから俺を迎えに出せと指示がでたらしい。
………で、そのお偉いさんのご指名で俺がお出迎え。
────でも素直にお出迎えに行くはずがない事で定評が有るのがこの俺だ。
────自慢じゃないが人見知りだ。
知らない初対面の奴が迎えに来いと言っても、ハイそうですかと素直に行く俺ではない。
「────俺はそいつがどんな奴か全く知らんのになんで俺の事知ってんだよ!」
で、その辺がキモいから嫌だと最初は断ったのだ。
しかもT.O.F.U.に直接来るわけじゃなくてヨーロッパ周りで帰るからウィーンで合流な、とか注文つけてきやがった。
────俺は幼少の頃注文の多い料理店を読んでから注文の多い奴とは一線を引くことにしている。
────まぁ、さっき考えた適当なマイルールだけど。
………て事で、最初はウィーンで待ち合わせとか言われたんだが散々駄々を捏ねて、ウィーンと言葉の響きの似ている湯布院でお出迎えと言う事になった。
────ああいい湯だな、湯布院温泉。
これでVIPが来なけりゃもっといいのに。
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