物語の創り方6~世界の構築④

 みなさん、お久しぶりです。最近めっきり忙しくなってしまい、特に昨日、一昨日は怒涛の忙しさで、すっかりヨミ専になってしまっていました笑 その仕事もようやく落ち着きましたので、ここらで「イチの書斎」を更新させていただこうと思います。


 前回私は、「物語の世界(異世界)を現実味溢れる強固なものとするためには、現実世界の歴史をもとに異世界の今を考えてみよう」。さらに、どの分野の、どんな歴史を、どんな形で異世界に生かしていけばいいのか、とお話していたかと思います。


 ここでひとつ確認だったのですが、私をはじめ皆さんが創り上げた物語の舞台では、人間とよく似た種族(あえてこのような表現をさせてもらいますね)が日々生活を営んでいますよね? 多少外見は異なっていたとしても、ある程度衣食住を意識した生活様式を手にしていることと思います。で、あるならば、そこには確実に集落、村、街、都市、国といった社会が構成されているはずです。前回も触れましたが、たとえ異世界であろうと、物語の登場人物たちは私たちと非常によく似合た存在であるはずだからです。おのずとその社会構成もよく似たものとなっているはずです。


 そう考えると、まず私たちが考えなければならないことは、主人公たちが動き回る土地、つまり主要な国々の成り立ちや在り方だと言えそうです。現実世界に置き換えてみるとわかりやすいかもしれません。私が今暮らしている日本が舞台の話と私の友人が住んでいるベトナムが舞台の話とでは、主人公たちの生活はまったく異なってくるはずです。資本主義と社会主義という言葉を並べただけでも、多くの人がそこにさまざまな違いを感じとるのではないでしょうか。実際私も、友人から聞く話は驚くことばかりでした。最近の話題で例に出すと、コロナ対策ですね。あの方法は日本では絶対に無理です。というか、日本では法的に許されません。社会主義国家であるベトナムだからこそできる対策なわけです。


 少し話がそれましたが、の背景が創りこまれていればいるほど、読者はそこに深いリアリティを感じてくれると思うのです。そこでまず、先にも話した「国」という存在から創りあげていくのはどうでしょう。皆さんにはまず、「世界地図」を書いてみることをお勧めします。


 異世界の地図、これは物語にリアリティをもたらせるために必須な内容だと思うのです。地形(海、山、川など)から発生する要素や主人たちが移動する距離、存在する国の数や位置、領土の大きさ、各国の関係性など、少し考えておくだけでも、思いつきで書くのとは説得力が違うと思いませんか?


 世界地図って言われても、そんな簡単に書けないよ! と思うかもしれませんが、実はそう難しくありません。私の考えた方法は以下の通りです。


①物語の主な舞台、そのモデルとなる国(頭の中にあるイメージ限りなく近い)をグーグルの画像検索やウィキペディアで探す。


②モデルとした国を中心とした地形を自分好みに変える(ゲームの世界地図を参考にすると楽しいですね!)。


③海、山、川といった自然はなるべくそのままの形で残す。


 どうでしょうか。この3ステップを踏めば、自分の頭で一から産みだすより、よほど詳細な世界地図が出来上がります。

 歴史の話にもどります。世界地図のモデルとした国のウィキペディアを見ると、物語の舞台にも参考にできそうな事実が山ほど乗っています。頭の中のイメージとその国のイメージが近ければ近いほど、その歴史には親近感が沸いてくるはずです。あの有名な「アルスラーン戦記」も同じような手法、とまでは恐れ多いため言いませんが、モデルとなる国があるのは確かです。作者の田中芳樹さんはあとがきの中で以下のように仰っていました。


「――舞台は中世ペルシアということにさだめました。むろん、実際のペルシアではなく、それによく似た異世界の国です」


 私の伝えたいことは、この一文に集約されてしまっています笑 かの大作家も、やはり一から創り上げるのではなく、自分のイメージに近い、描きたい世界のモデルとなる国を見つめることから始め、そこから物語の舞台となる世界を構築していった、ということが言えそうです。


 まとめです。冒頭で示した、どの分野の、どんな歴史を、どんな形で異世界に生かしていけばいいのか、という内容に対する答えは以下の通りになります。


 どんな分野?「主人公が登場し、行動する『国』について」。どんな歴史?「その国の成り立ちに深く関係するような出来事。主にウィキペディアに記載されるような内容」 


 どんな形で生かしていけばいいのか? 「一から考えるのではなく、田中芳樹さんのように、まずは自分のイメージに近い国を『探す』。モデルを決めたら、その国の歴史はもちろん、制度や文化、価値観などを参考として自分なりにアレンジし、よりリアリティ溢れる『物語の背景』とする」


 いかがでしたでしょうか。私自身、うまく説明できているとは思えない箇所が多々ありますので、ご意見、ご指摘などありましたらコメントをいただけたら幸いです。

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