物語の創り方6~世界の構築①

 今回からは世界設定の話をしようと思います。


 実は私、今は異世界ファンタジーを書いていますが、もとはミステリー小説を書きたいと考えていた人間でした。実際いくつかミステリーの賞をピックアップして書き始めたこともあったのですが、いつも道半ばであきらめてしまっていました。


 それが今、何を思ったのかファンタジーです。というより、もともと一番最初に書きたい! と思ったのがファンタジー小説で、どちらかというミステリー小説はその後の影響が強いんですね。小学生の頃に原稿用紙を買ってもらって何枚かだけ書いた文章は、いまだに覚えています。これは自分でもすごいことだと思います。相当思い入れがあって書いた冒頭だったんでしょうね。


 そんなこんなで、私の中に長い年月くすぶり続けたファンタジーへの思いが今まさに結実しているわけですが、最初に思い悩んだことは、そう「設定」でした。


 自分の頭の中にあらわれるイメージ(登場人物たちとその場面)は、いったいどんな世界で起きていることなんだ、と。


 たとえば暮しひとつとっても謎だらけなわけですよ、一般人、いわゆるモブと言われている人たちのことを考えてみるとわかりやすいかもしれません。彼らはいったいどんな仕事をして生計を立てているのか、どのような経済状況なのか、いやそもそも経済などあるのか。通貨は? 食べ物は? 住居は? トイレや風呂といった水回りは? つまり下水は整備されているのか? 政治体勢は? どのように国が運営されているの? そもそも国なの? 考えだしたらキリがありません。


 カクヨミ作品には私のものも含め「いわゆる異世界もの」があふれていますが、その世界に存在する人の基本的な生活から世界を構築しているような作品はなかなかお目にかかれないなと思います。ですがこれ、別に世界観がしっかりしているから面白い、というわけでもないんですよね。


 テンプレ的世界観でも十分おもしろい作品なんてたくさんありますし、そもそも読者の方もカクヨミ作品を読みにきたのであって、「氷と炎の歌」や「指輪物語」を読みにきたわけではないと思うんですよね。この二つ、小説で読みましたけど、特段おもしろいと思いませんでした(海外でドラマ化された「ゲームオブスローンズ」、そしてハリウッド映画化された「ロードオブザリング」は見事でした……!)

 指輪物語なんて冒頭から世界観のお話から入りませんでしたっけ? あれが特に駄目だったような記憶があります。おそらくファンタジー世界にどっぷり浸かりたい人はたまらないのでしょうが、私は「物語」にどっぷり浸かりたい人間なんですよね。つまり、以前の私は、世界設定なんて物語を語るうえで必要最低限のことが考えられていればいい、と思っていたんですね。


 それが今は、そうではないと思っています。素人の身分で恐縮ですが、本格的なファンタジー小説を書こうと真っ白な画面に向き合ったとき、まったく手も足も出ない自分に気づかされたんですね。


 どんなストーリーになるかはだいたいわかってる。主要な登場人物もおおよそイメージできている。さあ、あとは旅立つだけだ!


 さて、どこに旅立つつもりだったんですかね、この主人公は笑


 このあたりの話を、これからしていきたいと思います。


 次回「(私の)物語の世界が創り上げられるまで」


 べつにおまえの小説の話なんか聞きたかねえや、と思った方! ちょっと待ってください! 何も私は自分の作品がすごいとか、宣伝したいとか、そんなことを言うつもりは毛頭なくて、むしろこういう場では隠したいくらいなんですが、自分の作品のことを例に出して説明するのが一番簡単なんです、すみません。あまり嫌悪感を抱かない方、お付き合いください笑

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