物語の創り方6~世界の構築②

 私が執筆中の作品「ブック オブ デイズ」ですが、いつ、どんな時に思いついた物語なのか、今となってはまったくわかりません笑。ファンタジー小説を書きたいと思い至った少年時代から、徐々に積み重ねられてきた想像(妄想)の集大成とでも言えばいいんでしょうか。少しずつ、漠然と形になってきた、というような気がします。


 ただ、決定的な着想を得た時のことはよく覚えています。2~3年くらい前に、『Re:ゼロから始める異世界生活』というアニメを見て「ああ、ライトノベルってすごく自由なんだな」という感想を抱いたんですよ。そのときに頭のタガがはずれでもしたのか、ドバー! と一気に物語の核となる構想を思いついた、といった経緯があります。なのでこのアニメ、実は2話か3話くらいしか見ていないんですよね。あまりにも自分の世界に没頭しちゃって。私の恩人みたいなアニメなのに、本当に申し訳ないというかなんというか……。


「――自由なんだな」と言っておきながら、そのとき出てきた核となる構想というのが、実は私の頭の中にある世界の成り立ち、その始まりのエピソードだったんですよ。つまり、私の思い描いた物語の世界を成り立たせている根拠みたいなものです。


 物語を創作するにあたって、私にはどうしても書けないことがあって、それが「はい、ここに異世界があります。そこでは剣と魔法が登場する中世ヨーロッパにも似た生活が営まれています」という、。それが書けないんです。どうしても。


 自分で自分に突っ込んでしまうんですよ! 例えば「普通に商品買ってるけど、通貨とかってどうなってるの?」とか、「登場人物たちってどんな服着てるの?」とか、「トイレとかどうしてるの、風呂とかあるの?」とか、「その世界ってどれくらいの人がいるの、人口比率は?」とか? もう挙げればキリがないくらいの突っ込みの数々が私の頭をよぎるわけです。いくら魅力的な登場人物やおもしろそうなエピソードを考え出しても、いざ執筆しようとすると怒涛のようにそれらの疑問が押し寄せてきて、一向に話が進まないんです。だっていちいちその疑問に答えようとしていたら、うわべだけの情報調べるだけでもとんでもなく時間がかかるし、より正確な背景描写を心掛けよう、なんて思ったら膨大な量の専門知識が必要になってくるじゃないですか。もう無理無理無理ってなっていつまでも物語として成立してくれなかったわけです。


 そんなときに『Re:ゼロから始める異世界生活』を見ていたら、なぜか思いついちゃったわけです、物語の世界を成立させる核となるエピソードが。このエピソードによって、私の頭のなかにあった登場人物たちの場面、シーンといったものがひとつの物語として形成していくことができたわけなんです。今までの怒涛のような突っ込みにも、はいはいと言って応答できてしまう。それはこうなってます、あれはそうなってますって自分自身と物語を十分納得させるだけの理由(自分的に)が用意できるようになった、ということなんですね。いやービックリしました。


 私にはこの「自分自身と物語を納得させる」というプロセスがどうしても必要だったみたいなんです。こんなことを書いておいてなんですが、異世界転生によくある世界設定、そこでの物語は嫌いではありません。というか、結構おもしろおかしく読んでいる方だとは思います。けど、いざ自分で書こうとなると嫌気が差してしまうというか。そういうところも変に完璧主義者というか、もう散々でしたよ……。


 そのとき目についた「あなたも作れるファンタジー世界の舞台!」みたいな本も何冊か買いましたし、付箋付けて読んだりもしたんですが、それにしたって一からひとつひとつ設定を考え、世界を創り上げていくのってとんでもなく大変ですよ? すごく参考にはなったし、無駄な知識ではありませんでしたけどね!


 長々と話してしまいましたが、大切なのは「核となるエピソード」なんですよ。例でいえば旧約聖書? 「はじめに神は天と地とを創造された」という天地創造のあれです。有名なのは「神は光あれと言われた――」ですかね。すみません、あまりくわしくはありませんが。


 つまり、本当に存在するかもしれない(そこまで思ってくれたら最高ですよね!)世界を生み出すためには、作者である自分自身がその世界の存在を無理なく信じ込める、納得できるだけの「天地創造のエピソード」を創り上げることが最も重要であり、一番最初に考えださなければいけないことだ! と私は自分の経験から思いついたわけなんです。


 長くなってしまいましたので、②はここで終わりたいと思います。次は物語世界を構築するために決めておかなければならない要素、について話せたらいいなあと思っています。

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