物語の創り方1~対立・葛藤~

「物語とは対立(葛藤)である」


 いちいち引用文献は乗せませんが(すみません)、私が強く印象に残っている言葉であり、物語を創作するうえでとても大事なことだと思っています。もしかしたら違っているかもしれませんが、いまはただ思うがままに書かせてもらいます。


 物語を創作していく過程で、「なかなか話が展開していかないなあ」と感じている人は多いのではないでしょうか。私もそうでした。過去形にしてしまうと、さも自分が「できている」人のように聞こえてしまうのですが、そこは軽くスルーしてください。


 話がそれましたが、物語が展開していかない理由は、冒頭にも上げた「対立(葛藤)」がないからだと思うのです。「葛藤のないところに進展はない」そうです。

 

 対立:二つのものが、互いに張り合うこと。

 葛藤:もつれ。悶着(もんちゃく)。あらそい。


 ネットで検索した一文をコピペさせてもらいましたが、つまりはそういうことです。


 たとえば恋愛物語。いろいろ形はあれど、三角関係なんていかにもな展開ですよね。二人の人間が一人の女性ないし男性を手にいれようとする。その過程において、あの手この手を使って騙し騙され(主人公は潔白であることがほとんどですが)、最後には目的を成し遂げるわけです。非常にわかりやすいのが韓国ドラマで、だからこそ人気があるのだと思います。


 つまり、一方の目的を果たそうとすると、もう一方の目的が妨げられるわけです。だからこそ両者はぶつらずにはいられず、さまざまな対立、葛藤が生まれるわけです。話も次々に展開していきます。


 ただ、物語をより深いものとするためには、登場人物たちに強烈な動機を与えることが重要なんだそうです。先の例でいえば、たとえ付き合いたいと思っている相手がいても、すぐにあきらめてしまえるようなら、そこにたいした葛藤はないわけです。あ、ほかの人と付き合っちゃう? まあ、仕方ないか。ではドラマになりませんよね。


 逆に、一緒になれるなら死んでもかまわない、くらいに相手への思いを募らせているとしたら、しかもその人が結婚していたとしたら、よくも悪くも素晴らしい対立、葛藤が生まれると思います。


 しかし、カクヨムの作者あるいは読者に関しては、登場人物の「やりとり」や行動、境遇そのものを楽しみにしている人も多いと感じているので、今回の話はあまり参考にならないかもしれません。


 どういうことかというと、わかりやすいのが異世界転生や異世界転移。何の脈絡もなく別の世界へ呼び出され、何かに突き動かされるような衝動(動機)もなく世界を旅する。そこには、何としてでも帰るのだという強い理由も、どうにかしてその世界を救わなければいけないといった理由もないわけです。だけどおもしろいものはおもしろい。

 「別の世界で生きていく」ことが目的になっている、ということも大いにあります。異世界ですから、あらゆる障害(対立、葛藤)が描き易い。魔王もドラゴンも出したい放題。ほら、とんでもない対立が生み出されているじゃないか、うん。

 そして主人公がテンポよくそれらの障害(対立や葛藤)を乗り越え、望みをかなえていく姿に読者は自己投影し、快感を覚える。よくできている構成だと思います。


 まとめです。話が進んでいかないと思ったら、誰でもいいから登場人物たちを対立させてみる、あるいは心理的に板挟みにし、葛藤させてみる。カクヨムを眺めてみたところ、大変長く連載されている方も多いと思いましたので、何かの助けにしていただけたら幸いです。


 ちなみに、一つの物語を描こうと思ったら、設定やプロットを練る時点で主人公の敵対者つまり対立者(人とは限らない)を明確にしておくことは必須だと思います。冒頭の一文を改めてもちだすと、対立者がいないなら、そもそも物語として成り立っていないわけですから。


 それでは、今回はこの辺で。

 

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