第3話 彼

「きゃああああぁっっっ!!!!!」


私は歓喜とも悲鳴とも判別できない声を上げました。


「んん、うるさい……」

「しゃ、しゃべったっ!?」

「そら、喋るでしょ、僕、生きてるんだから」

「生きっ!? ど、どうして、あなた、スタンプでしょ?」


むくっと起き上がった彼は、私の方を向いて座りました。私は彼が自分の好きなスタンプの人だと分かりました。そして彼はにやりと笑ってから口を開きました。


「初めまして。あなたのスマホの中から来ました、スタンプの〇〇です。以後お見知りおきを」


そう言って彼は手を差し出し、私に握手を求めてきました。


「いや、ちょ、ちょっと待って! 頭が追い付きません……。どうして、現実の世界に?」

「あなたが、言ったんじゃないですか。現実に現れてくれたらいいなって。だからはるばるやってきてあげたんですよ」

「それは言いましたけど……」


目の前に〇〇がいて、すっかり興奮してしまった私は気づくと彼を質問攻めにしてしまっていました。

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