第陸章  逆襲花嫁事変〜七つの大罪と七つの美徳〜

 あきらは【鬼道・回覧伝聞かいらんでんぶん】を城内に展開する。


 洸『【鬼ヶ島】の住人、観光者たちに告ぐ!を予測した。警戒態勢を整えろ!観光者諸君は、慌てず騒がず警備員の指示に従い避難するよう。死にたくなければ、言う事を聞け!尚、死にたい奴は勝手にしろ。ただし他人を巻き込むな!』


 【回覧伝聞】は範囲内の人物たちが聴覚共有する【鬼道】だ。つまり、今の洸の声は館内放送のように【茨木童子の城】を中心に半径30km範囲に渡って届く。


 朔「言い方!何で喧嘩越し!」


 はじめは、これリピートされるからなわかってるのか、と注意するが洸はどこに問題がある、と最後の部分が問題アリ発言だとわかっていない。


 バタバタと足音がして、バアンと勢いよくドアが乱暴に開けられた。


 素子「敵襲とはどういうことだ!十鎖じゅうざか!」


 入って来たのは、素子もとこ暁魚あきお、そして麻衣那あいなだった。麻衣那は困惑した表情をしている。


 暁魚「ここに来る途中で鉢合わせた。連れて行ったほうがいいと思って連れて来たんだが………」


 玲鵺れいやの鋭い目つきが、なぜお前は麻衣那と一緒だと──────────素子もいるので3人なのだが──────────告げていた。睨まれた暁魚が、同伴していた言い訳をする。


 桂「玲鵺、探す手間が省けたんだ。礼のひとことぐらい言え」


 桂に諭されて、玲鵺は頭が冷えたのか暁魚にありがとうとひとこと礼を言った。


 朔「素子………敵襲って聞いて十鎖の名が出るとは………」


 コイツの中では、もう十鎖は敵認定なんだなと朔は素子の内心を知った。


 その時、小さな悲鳴と玲鵺の怒気が含まれた声がする。


 玲鵺「【亜神坊主】!麻衣那にそれ以上近づくな!」


【亜神】なのか【坊主】なのかどっちだとツッコミたいが、誰を指しているかは判る。


 麻衣那が小さな悲鳴を上げたのは、【空海】が超接近したせいだ。すぐに玲鵺が麻衣那を引き寄せたので、距離は離れた。


 空海「【茨木の若鬼】は『ヤキモチ焼き』だな」


【空海】はイタズラ小僧のような笑みを浮かべている。


 最澄「空海、若い令嬢に至近距離まで近づくのは今の世では、良くない行為になりますよ」


 洸「だいたい、何で近づいた?セクハラ目的か?」


【空海】は、セクハラ何ソレと疑問を口にしたがその説明をする前に【空海】が、近づいてる気配と【チャクラ】の共通点が見られると言った。   


 そうなのか、と洸は【最澄】を見る。残念ながら、【チャクラ】感知を洸はできない。


 最澄「おそらく………ではないかと」


 麻衣那と愛美理えみりは義妹といっても、元は従姉妹に当たる親族関係らしいと【最澄】は言った。


 最澄「件の令嬢は13才までは【施設】で育ち、その後は名雲夫妻が引き取って麻衣那嬢の義妹となられました」


 因みに【施設】ヘ入る前に親族間で愛美理をどの家で引き取るかで埒が明かず、結局【施設】ヘ入れてしまい、今度は愛美理が【妖狐の花嫁】と判明した途端に我が家で引き取ると争奪戦の口論になったようだ。更には【施設】側も愛美理をどこにもやらないと引き渡し拒否をしたというが、【施設】側の理由は親族側とは異なる。親族側は、ぶっちゃけ金銭が絡む──────────【花嫁】の実家には資金援助が約束される──────────しかし、【施設】側は金銭目的の親族に愛美理を引き渡すことに抵抗を感じていた。


 結局、争奪戦に勝利した名雲家が引き取って資金援助も受けられ父親は脱サラし、潤沢な資金を元手に事業を始めたが共同経営者に資金を持ち逃げされたり、会社設立予定に土地購入すれば地面師に騙されたりと全く上手くいかない。しかし、【花嫁】が大事な【妖狐族】からは途切れることなく資金援助があるので、失敗続きを延々と継続させていた。


 朔「おい、そこまで失敗が上書きされていくのは流石にオカシイぞ」


 まるで喜劇のネタのような失敗スパイラルに、なぜオカシイと気づかないのか呆れる。


 洸「商才がないだけだろ」


 それも一理あるが、作為的なものを感じる。 


 麻衣那は自分の親の話なので、ものすごく気にしている。その様子に玲鵺は、話したくないが麻衣那が気になってるようだからと前置きして密かに調べさせた事実を話した。


 玲鵺「全部、騙されていた。それも、騙したのは親族たちだ」


 それを聞けば、カラクリは読めた。


 桂「なるほど………親族たちがやっかみから、詐欺まがいのことをして騙し取っていたが、【妖狐族】は【花嫁】に貧しい暮らしをさせるワケにはいかないから、資金援助を切らすことはないな」


 それを逆手に取り、途中から名雲夫妻は騙されたフリをして、親族たちに現金を配ったり購入した土地を譲ったりしていたわけだ。


 朔「援助金の上限を決めるとかしとけよ」


【妖狐族】は元は【山の民】で【闇嶽之王朔の最初の前世(くらみたけのみこと)】の配下だったので、朔にとっては耳が痛い頭が痛い話だった。


 麻衣那「すみません!私の両親と親戚が!」


 深々と頭を下げて謝る麻衣那の姿に、洸はどこまでも【ごう】の深い親と親族だ、と先が不安になる。


 洸「親だけ遠ざけても意味ねえな………親戚縁者尽く寄せ付けられねえぞ」


 玲鵺「俺が、そんなことを許すわけないだろ」


 玲鵺は、麻衣那を抱き寄せて自分が何者からも守ってみせると言わんばかりだ。


 洸「目の前でイチャつくリア充、うぜぇ!」


 桂「安心しろ玲鵺。麻衣那嬢は【神女】だ。【夜狩省よがりしょう】からの【接近禁止令】のグレードは、以前より格段に上がっているはずだ」


 何しろ事実があるからな、という言葉は麻衣那を気遣って桂は言わなかったが、それはきちんと伝わっているようだ。 


 桂『【和神にぎがみ】、さっき消息が消えたと言っていたが………名雲夫妻は、既に………』


 桂の【念話】は、洸、朔、【空海】、【最澄】そして【玲鵺】にだけ聞こえるように調整している。


 最澄『はい………今頃は、【閻魔天】の御前にいることでしょう』


 即ち、ということだ。


 洸『殺ったのは………あのか?』


 ヒス女豚めぶたというのは愛美理のことだろう。どんどん雑な呼び方になってくる。


 最澄『いいえ………【】です』


 洸「はあぁ!?」


 思わず声に出した洸を何事かと注目する。


 忍武「どうした?緊張のあまり、大きいヤツが出そうで気合い入れてるのか?」


 洸は忍武しのぶに下品、とひとこと告げる。


 比勇「小さいほうか!よし、戦の前に済ませておけ!」


 洸「全然違う!【水属性】の【術】で別物に変えて放り出せるから、戦闘中に催しても問題ない!」


 國光「マジか!美形はトイレ行かねえってのは、そういうカラクリだったのか!」


 國光が食いついて、盛大な勘違いをしている。


 朔「【柳生十兵衛】を名乗るヤツが、名雲愛美理を脱走させた。向かう先はここ【鬼ヶ島】!」


 要点だけを告げるが、どうしても愛美理脱走を省くことはできなかった。


 麻衣那「狙いは私………なんですね」


 麻衣那は、聡明だ。愛美理脱走が窮屈を嫌ってではないことを判っていた。


 空海「娘さん、さっきは驚かしてしまって悪かった。俺は【荒神あらがみ・空海】。【亜神】と呼ばれるだ」


 いつもの悪ガキ雰囲気はナリを潜めて、【弘法大師空海】の毅然とした堂々たる佇まいだった。


 麻衣那「【亜神】様だったのですか………先ほどはご無礼を申しわけありませんでした」


【空海】という名前が気になった様子だが、悲鳴を上げてしまったことを謝罪する。


 あの両親と義妹に囲まれた家庭環境で、こんなマトモな人間に育ったのは奇跡だな、と朔は一流の淑女対応の麻衣那に、正に神対応と感服する。


 最澄「貴女の義妹殿をお預りしていた【異域】のをしております【最澄】と申します。同じく【亜神・和神にぎがみ】です」


【最澄】の名を聞いて、麻衣那には【弘法大師空海】と【伝教大師最澄】だとわかったようだ。【進学コース】なので、【異能者】や12柱の【亜神】のことは存在する程度の知識しか持っていないが、【ニ柱一対】の2柱なのだろうと理解していた。 


 挨拶しようとした麻衣那を【最澄】は、やんわりと止める。


 最澄「その必要はありません。【神女】とは限りなく【神】に近い存在。私たち【亜神】とは、ほぼ【同格】です。砕けた感じで接してくれて構いませんよ」


 互いの立ち位置について説明した後、愛美理の今後について聞かせないほうが良い部分は割愛して話す。


 最澄「貴女の意思を尊重して、監禁生活とはいえを自由に散歩したり、わずかばかりので買い物をすることを許可していましたが、残念な結果になりました」


 えっ、お小遣いあったの、と國光くにみつ貴輔きすけ伊角いすみは驚いている。


 罪人の生活じゃないな、と國光はその好待遇にも関わらず脱走した愛美理には底の無い【強欲】さを感じている。


 朔(【強欲】か………そういや【悪神マスター】が【七つの大罪】フルコンプって言ってたな)


 朔は、情報元を問われたら何とか誤魔化す方向で行こうと考え、【悪神】の名を伏せて愛美理が【七つの大罪】をフルコンプしているらしいことを告げた。


 國光は、ゲームのフルコンプを連想したのか、カッコイイと呟いたが洸の反応が凄まじかった。


 洸「いつから知ってた!」


 朔「玲鵺の【花嫁】披露の時だよ」


 意外にも情報源を聞かれなかったことは助かったが、今にも殴りかかってきそうな洸の雰囲気が気になる。


 洸「そういう重要なことは、報告義務があるだろ!」


 どうやら黙っていたことがマズかったようだ。


 そもそも、朔は【七つの大罪】を【人間】が持つ【欲望】の類だと考えているので、その人の性格を指しているものと見ていた。


【空海】が、俺から説明すると言って口を開いた。


 空海「【七つの大罪】そして対局の【七つの美徳】、これらは【人間】の人格形成に関わる概念には違いないが、【異能スキル】に同じ名前の【究極級スキル】がある」


 素子「話を遮って悪いが、十鎖じゅうざは【大罪系】の【憤怒】【強欲】【傲慢】を持っている。それも【英雄級】だ。【クラス】が違うようだが、同じと見ていいのか?」


【大罪系】と系統を言ったことから素子は少しばかり、理解しているようだ。


 空海「【英雄級】………成長している………それも【憤怒】か………ハルくんが危険だと思って自ら【封印】した【大罪系スキル】だ」


【空海】の口ぶりでは遙も【大罪系スキル】を持っていることになる。


 洸「【空海】、説明不足だ。【大罪系スキル】と【美徳系スキル】は、【輪廻眼りんねがん】と【六道眼りくどうがん】にことになっている」


 遙が【大罪系】をフル装備したので、洸は【美徳系】をフル装備した、と言った。仲間内で【究極級スキル】を被らせないように配慮したのだ。【輪廻眼】【六道眼】が【チート瞳術】と呼ばれるのは、【シリーズスキル】と呼ばれるものを【フル装備】しているからだ。 


 朔「おい!初耳だぞ!」


 玲鵺「何を言っている?朔センパイ、遙様の【暴食スキル】活用しているくせに」


 しらばっくれるのはやめたほうがいい、と玲鵺はシラけた視線を朔に送る。


 忍武「【茨木の】、朔さん………ガチで気づいてなかったみてえだ」


 口ぶりから忍武しのぶにもわかっていたようだ。


 空海「あー………あるよねー。便利過ぎて、それが実は【スキル】でしたってオチに気づかないこと」


 気にしちゃダメだよ朔くん、と【空海】は彼なりにフォローしたつもりだろうが更に朔を恥ずかしめていた。


 洸「【異次元ボックス】と【異次元巻物スクロール】だ」


 お前ら【風魔十一番隊】が1番活用してる【アイテム】だろ、と洸は『灯台下暗し』だなと意地悪く笑った。


【異次元ボックス】【異次元巻物スクロール】という物を収納できる【アイテム】がある。名前の通り、匣型、巻物型で見た目が違うのと【異次元巻物】は【生き物】を収納できるが、【異次元匣】は【生き物】が収納できない。そして【異次元匣】は取り出しに若干タイムラグ──────────【二次元】の平面物体から【三次元】の立体に戻す時間──────────がある。生き物を収納できる【異次元巻物】は1本につき生き物を1体収納したら他の物は収納できなくなる。この違いの他は差異はない。


 この便利アイテムの作者がはるかみちるで、生き物が収納できる【異次元巻物】内部の生き物のライフライン確保を満が監修して、【収納能力】の【異能力付与】を遙が担当するという【錬金術】による共同制作だった。この【収納能力】というのが遙の【大罪系スキル・暴食】だ。


 朔「【暴食スキル】が思ってたのと違う………」


【収納アイテム】に【大罪系スキル】を使うのは、なかなか斜め上な使い方だ。


 桂「因みに、遙の【暴食スキル】は【伝説級】だ」


【収納アイテム】を大量生産していれば、まあこうなるだろう、と桂は当然のように言っている。


 朔「【究極スキル】って………【戦闘】とか【洗脳】とかに使うものじゃなかったか?」


 ほぼ生活用品にしか使用していない。


 洸「いや………【スキル強奪】とか、【呪詛吸引】とか超スゴイこともできるぞ」


【戦闘】で使われると、結構えげつない。


 朔「【呪詛吸引】って何だ!吸うのか!」


 はじめの脳裏に遙が禍々しい色の靄をストローでゴクゴク飲み干している姿が浮かぶ。飲み終わったら、もう1杯とか催促しそうだな、と考えている。


 桂「遙は小型の【異次元匣】に収納してたな」


 見たことあるんだ、そして一般的な使い方もしていたのだな、と朔はそれでも結構普通の使い方だと思った。


 洸「朔………おまえ、今…超失礼な想像しただろ」


 あきらは朔を白い目で見る。


 朔「そんなことより、空海くんが【憤怒】の【スキル】が危険とか言ってたよな」 


 朔は、遙が自主的に使用を禁じたというのが気になる。 


 洸「【憤怒スキル】は、【狂戦士モード】だ。遙が【狂戦士】化したら、辺り一帯が廃墟だぞ」


 つまり不要だから禁じ手にした、という解釈でいいのかと朔の質問に洸は、禁じ手にした【大罪系スキル】を【美徳系スキル】としたようだと答えた。


 洸「多分、【憤怒】を捨てて【叡智】を加えたと思う」


【美徳系スキル・叡智】は【鑑定】【解析】の【異能力】だ。取得できるものなら取っておきたい【スキル】だ。この辺りを踏まえて洸は、そう予想した。


 朔「【叡智】………字面から見て【鑑定】ってとこか!その前に、はアリなのか?」


 いらない【スキル】を捨てて、欲しい【スキル】を加えるというのがご都合主義の気がする。


 洸「結果見ろよ。事実、差し替えできてるじゃねえか」


 洸の口ぶりでは、彼は『チェンジ』していないようだ。もっとも、【僧侶】が【大罪系スキル】を持っていたら、それはそれで問題アリになりそうである。


 最澄「黒竜法師(洸の僧名)と遙さんは、【瞳術】の【能力】で備わっていますが、【大罪系】【美徳系】は【スキルポイント】で修得可能ですよ。私の推奨は【忍耐】【謙虚】」


【忍耐】は【抵抗レジスト】、【謙虚】は【消費軽減コストパフォーマンス】なので【戦闘】で役立ちます、と【最澄】は【美徳系スキル】を2つ挙げる。


【美徳系スキル】を奨めるあたりが【元僧侶】らしいのと、どちらも【補助技能】なのは【和神】っぽい。


 朔は、幼少期より『千年に1人の神童』と呼ばれて来た。現在は、高齢を理由に前線ヘ出て来なくなった祖父・影連かげつらの再来と噂に上るほどだ。故に【スキルポイント】で修得可能ないわゆる【汎用スキル】【一般スキル】に興味がなく、種類や効果を知らない。【天才】によく見られる常識から少しズレている状態だ。


 朔「【消費軽減】は欲しいな………俺の【忍術】は高火力のせいで、【チャクラ】ゴッソリ持って行かれるからな」


 空海「朔くん、【チャクラポイント】しこたま貯めてるから、【究極級スキル】を3つ修得できるぞ」


 【傲慢】と【怠惰】はオススメだと【元僧侶】の発言かと疑いたくなる【大罪系】をゴリ推しだ。


 洸「朔なら、【憤怒】もアリだな」


 朔「今、ヤバいって言ってたヤツ!お前はおれを【ベルセルク】にしたいのか?」


 英語の発言では【バーサーカー】だが、ドイツ生まれで幼少期をドイツで過ごしている朔の【外来語】の発音は【ドイツ語】の発音に近い。


 洸「【攻撃】全て【クリティカルヒット】………これが【狂戦士】だ。影連祖父様は、【憤怒】と【節制】の二個一で使用していたそうだ」


【節制】の【スキル】は【操作能力】だ。【憤怒】の荒ぶる高揚感や脳のトリップ感をコントロールできるなら、【憤怒】の【能力】は、『オールクリティカルヒット』というわけだ。


 朔「組み合わせ次第で【技】の幅が広がるな」


 だからこそ【究極級スキル】なのか、なかなか奥が深い。しかし、それは影連のような歴戦のだから出来たことだ。朔には、戦の場数が足りない。


 空海「【亜神】で交換できるぞ!気が向いたら【ポイント交換】と言ってくれ」


 ゲームみたいなシステムだな、と朔は言った。どうやら、【亜神】にすればポイントと交換で修得できるようだ。おそらく、この《ポイント》は【亜神】の【神通力】に加算されることになるのだろう、と朔は推測する。


 朔「空海くんに【ポイント】を渡せば、空海くんのモノになるのか?」


【空海】は、朔くん気付いたようだな、とニンマリする。見た目が少年の姿なので、悪戯に成功した子どもが愉快にしているように見える。


 空海「【大罪系】は【悪神・シン】様、【美徳系】は【善神・ヴァール】様の【権能】に加算される」


 朔「空海くんに旨味がなさそうだが………」


 なるほど、【七つの大】に【七つの美】。【罪】を司る【悪神】と【徳】を司る【善神】は【天上界】から【降下】──────────自らの意思で降りること。【降臨】とは状況が異なる──────────して【現神うつしよしん】(【悪神】と【善神】が命名)となっているが、【スキルポイント】が【神の軍勢】の役割を果たしているということか。


 空海「【人間界】の言い方では何と言うんだ?ワイロ?違うな………これは悪のニオイがする………」


【空海】が【人間】だった時代には無い言葉なので、何て言うのかなと頭をひねっている。


 洸「要は【空海】が仲介役なんだろ。だったら、だな。もしくは」 


 洸の言葉通りなのだが、【空海】はもっと多様的な言い方だと否定する。


 朔「だな………空海くんがさっき言った賄賂もここに含まれるぞ」


 もう『手数料』で良くね、と朔が言うと【空海】も誤解を招くのはダメだなとそれで納得した。


 洸が『信者』の扱いヒデェ、といつもと立場が逆転している。そして、【最澄】を伴って素子もとこ十鎖じゅうざの情報を知る限り教えてくれ、と聞き取りを始める。


 素子の中では、を自称する人物イコール十鎖が確定しているが、洸のほうでも確定しているようだ。


 暁魚「十鎖に間違いないのか?」


 暁魚あきおは、襲撃後なので十鎖に結びついているのではと示唆するが、洸が根拠はあると言い切った。


 洸「柳生十鎖は【柳生十兵衛】の【人工転生戦士】だ」


 素子「だが、は失敗したと思われていた。【】してしまったなら最悪だ」


 家族の素子は【人工転生戦士】の【ヒトゲノム遺伝子】の【移植】を施されていることを知っていた。そして素子は【柳生宗矩】の【転生戦士】だ。彼女は【人工的】に造られたものではなく【生まれ変わり】だ。


 


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