第6話 転生者の友人がこんなに可愛いわけがない

俺が目を覚まし、学校に戻った後は、それはもう大騒ぎ。


先生は涙ながらに謝罪してくるわ、めぐみんは涙を流しながら抱きついてくるわ。


皆泣きすぎじゃね?


 


でも、一番ヤバかったのはゆんゆんだった。


 


俺が目を覚ました時、俺はまだ森の中にいたのだが、前身に暖かさを感じる。


なんだかいい匂いもするし、不思議に思って目を開けると────。


 


俺の肩に顎を乗せ、嗚咽を漏らしながら泣きじゃくるゆんゆんが、俺に抱きついていた。


しかも、足を俺に巻き付けて。


所謂、だいしゅきホールドである。


 


急速に顔が赤くなるのを感じる。


周りに人影は無いが、それでも恥ずかしい。


一旦離れろ……と口を開こうとした時、ゆんゆんが顔を少し離し、俺が目覚めた事に気がついた。


 


しばしの沈黙。


そして、今度は俺の胸に顔を埋めたゆんゆんが口を開く。


「……もう死なないで」


「当たり前だ。そう何度も死にたくねぇよ」


 


そう言って、俺は無意識にゆんゆんの頭を撫でながら。


「悪ぃ、そろそろ離してくれないか? そろそろ学校に戻った方がいいだろ」


「……嫌よ」


「えっ」


 


驚きを隠せない俺に反して、顔を埋めたままゆんゆんが続ける。


「離したら……また死んじゃう気がするのよ」


「……大丈夫だ。もう死なない。約束す」


「だから」


 


俺の言葉は、途中でゆんゆんに食われた。


「ずっと……私と一緒にいて?」


「えっと、ゆんゆん?」


「そうすれば、私がくろねを守れるじゃない? もうくろねを死なせたくないのよ」


「聞いてる?」


 


俺の声がゆんゆんの耳に届く事は無く、尚もゆんゆんは言葉を繋ぐ。


「さっきくろねが死んだのって、私とめぐみんを守るためよね? だから、今度は私がくろねを守る」


「いや、俺はもうすぐ上級魔法を覚えるだろうし、別に守ってもらわなくても……!?」


 


いい、と言おうとした瞬間、首に手を回されて抱き寄せれる。


「じゃあせめて、ずっと私といて? この数週間一緒にいて、凄く楽しかった。もう失いたくないのよ。……お願い」


「……分かった。可能な限り一緒にいてやるよ」


 


そう優しく言うと、納得したゆんゆんが俺から離れ、俺はヨイショと立ち上がる。


「さて、学校に帰りますかね……」


俺が歩き出したその後ろから、ゆんゆんの小声が聞こえた気がしたが、きっと気の所為だろう。


 


「くろねは優しいよね。……その優しさの向く先が、私だけならいいのに」


 


 


 


そんな、二度目の死を経験した日から、既に一、二ヶ月が経過していた。


「……このお菓子美味しいな」


「どれ、私も一つ……美味しいですね」


「だろ? あ、リーチな」


 


市販のクッキーを頬張りながら、いつかにプレイしたボードゲームで遊ぶ俺達。


「また負けました! もう一回お願いします!」


「いい加減理解しろよ……ボードゲームじゃ俺には勝てねぇよ」


「くぅ……!」


 


今の勝利で二十一連勝という偉業を成し遂げた俺は、今まで触れなかった疑問に触れる。


「つーかさ、今頃俺は家にいるはずだったのに、どうしてこうなった?」


「しょうがないでしょう。──だって、ドアが開かないんですから」


 


 


 


──森──


 


俺はとうとう、上級魔法を習得した。


上級魔法を習得出来るポーション数に加えて三十本のポーションが溜まり、入学前に決めたノルマを達成したのだ。


そんな事はさておき、本題に入ろう。


数日前、俺は新たに二つの魔道具作成に成功したのだが、運用には上級魔法の習得が必須条件だったのだ。


俺がこのタイミングで上級魔法を習得したのは、こういう理由もある。


 


隣には、めぐみんとゆんゆんが。


何故かは知らんがついてきた。


「ていうか、検証する時はお前ら下がってろよ? 多分危ねぇから」


「そんなに強力な魔道具なのですか? 確かに凄い魔力を感じますが」


「ね、ねぇくろね。その指輪、今度私にも作ってくれない?」


「安全性が保証されたらな」


 


ゆんゆんの言っている指輪が、俺の作った魔道具の内の一つだ。


もう一つは、背中に背負われた二本の剣。


『乖魔剣・双』とは異なる、金色の剣と黒色の剣なのだが、今回はそちらから検証しようと思う。理由は特にない。


 


いい的を探していると、俺が死んだ時に対峙していた一撃熊と同等、もしくは少し小さいサイズの一撃熊を発見した。


「あいつでいいか。お前ら、下がってろ」


 


俺の言葉に素直に従ったのを確認して、俺は剣を抜刀する。


「……『カースド・ライトニング』」


順手で握った剣に、蒼白い雷が纏われる。


その光に気がついた一撃熊が、俺に向かって走り出した。


 


それと同時に、俺は一撃熊に向かって──。


「『──────────』!!」


 


────技を放ち終え、一言。


「これダメだわ」


一撃熊は一瞬で消し飛び、その後ろの木々が、数十から百メートルほどにかけてバラバラになっていたのを見て、確信する。


はっきり言って、強すぎだ。


これは要調整だな……と考えながら、後ろの気の陰に隠れた二人に。


「二人とも出てきていいぞ……どうした?」


 


後ろを振り向くと、技の残滓を見つめながらプルプル震える二人がいた。


「どうした? じゃないわよ! これ本当にくろねが作ったの!?」


「当たり前だろ。逆に聞くけど今までにこれ見た事あるの?」


「な、ないけど……」


 


まぁ確かに、ここまでの威力が出るとは思っていなかった。……でもなぁ。


「……多分、こっちの方が強いぞ?」


「「えっ!?」」


「とは言っても、こっちはさほど派手じゃないけどな。その代わり、滅茶苦茶強い」


 


そう言いながら、左手の人差し指にはめられた指輪をなぞる。


軽量化と持ち運びの便利さを考慮した結果、指輪の形にしたが、最初はヨーヨーにしようかな、なんて思ったりもしていた。


 


先ほどの技の音に釣られたのか、何体かのモンスターが集まってくる。


幸い、後ろから奇襲してくる気配は無く、正面だけに集中出来そうだ。


「『カースド・ライトニング』」


 


指輪にはめ込まれた鉱石が蒼白く光る。


これで準備は完了だ。


特に意味もなく、某喰種のように人差し指を親指で鳴らして────。


「行くぜ……! 『────』!!」


 


その瞬間、体中に激痛が走った。


「──────────ッッッ!?!?」


よくよく考えてみたら当たり前の事だったのだが、何故気がつかなかったのだろう。


未だに謎でならない。


 


その後二秒で六体のモンスターを素手で殴り殺し、技を解除するが、体中が痺れて動けない。むしろ、あれに一瞬でも耐えられた自分の肉体を褒めてあげたくなる。


少し遠くにいた二人に、擦れた声で。


「悪い、二人とも。あとは頼む……」


 


俺の意識はそこで途絶えた。


 


 


──────確か、俺は森で力尽きたはず。


なのに、何故布団の中で眠っていたのだろうか。しかも、柄がやけに女子っぽい。


俺が倒れている間に何があったのだろうか。


……あれ?


「……指輪が無い。剣は二本ともあるのに」


「くろね、大丈夫で……すか……」


 


部屋に入ってきたのは、水やタオル、お菓子などをお盆に載せためぐみんだった。


 


……で、どうしてこうなった。


今、俺はめぐみんの前で正座している。


本当に、どうしてこうなったんだろう……。


「で、くろね。いくつか聞きたい事があるんですが、答えてくれますよね?」


「ウィッス」


 


プライドなどそこいらの狗に食わせた俺は、年下の女子に屈服していた。


情けないと思うかもしれないが、お前らもこの場にいれば分かる。怖すぎ。


 


反抗する意図が無いのを察しためぐみんは。


「では。何故あんな自殺願望者が好みそうな魔道具を作ったのですか!? 母が回復魔法を覚えていなかったら本当に危なかったんですよ!?」


 


感電によって気絶した俺は、めぐみんとゆんゆんに引っ張られて里まで戻り、偶然通りかかったゆいゆいさんの回復魔法によって一命を取り留めたらしい。


無駄だと思うが、一応言い訳を。


「いや、あの魔道具は他にも色々な事に使えるんだよ。別にあの自殺技しか使えないってわけじゃ……めぐみん? 聞いてる?」


 


俺の言葉が耳に届かないのか、興奮気味に魔道具にケチをつけ続ける。


「あんなヘッポコ魔道具、私の父でも作りませんよ! ……まぁ、見たら気に入るかも知れませんが」


 


ひょいざぶろーさん。


俺に魔道具の作り方を教えてくれた張本人にして、紅魔の里随一のポンコツ魔道具作成者。


いや、その異名は今日から俺の物だな。


「そういえば指輪は何処だよ?」


「あぁ、あれなら母が回収しましたよ?」


「……マジかよ」


「マジです」


 


あれ結構作るのに苦労したんだけどな……。別に、回収されても問題ないけどさ。勝手に持っていくのはどうなのん?


「……ちょっと返してもらいに行く」


「行かせませんよ! まだ絶対安静ですよ!」


「HA☆NA☆SE!」


 


肩を押さえつけられ、身動きが取れなくなる俺。流石はヘボ筋力ステータスと言ったところか。が、年下の女子に負ける俺では無い。


お前に、力が全てではない事を証明してやろう!


 


一度争うのを止め、その場に座り込む。


「分かった。行かねぇから離せ」


「……本当ですか?」


「本当本当。絶対行かない」


「…………分かりました」


 


めぐみんの手が俺の肩から離れ、俺はめぐみんから距離を取った後、覚えたての上級魔法の一つの────。


「『ライト・オブ・リフレクション』」


「あぁっ!?」


姿を消したままドアにたどり着いた俺は、勝利を確信してドアノブを────。


 


「『ロック』!」


外からそんな声が聞こえてきた。


 


学校で、そんな名前の魔法を聞いたことがある気がする。確か、その効果は……。


俺の記憶違いを願って、ドアノブを引くが、当選ビクともしない。


「……これは、俺への挑戦と見るぞ。上等だ。この剣で……」


「止めてください! 家が消滅します!!」


 


二刀流を没収されて万策尽きる。


今気がついたが、この状況は結構まずいのではなかろうか。


めぐみんの部屋に、めぐみんと二人きりな上、部屋には鍵がかかっていて出られない。


 


出ようと思えば、出られないわけでは無い。


先ほど検証した二刀流を振るえば、無理矢理こじ開ける事くらいは可能だろう。


しかし、それをするとめぐみん宅が切り刻まれる事になるので、事実上不可能だ。


 


要するにこの状況を打開するには、俺が魔道具を使うか、鍵をかけた犯人が魔法を解除するしかない。


そう結論づけ、一旦思考を止めると、ここにいるはずの人がいない事に気がついた。


「つーか、ゆんゆんは?」


「ゆんゆんなら、くろねが起きた時に食べやすい物を、と買い物に行きましたが……」


「……入れないんだから意味無いだろ」


「……そうですね」


 


この場にいないゆんゆんに心の中で謝罪しつつも、部屋を脱出する方法を模索する。


これが脱出ゲームならば、部屋の中のアイテムを集めて謎を解けば脱出できるのだが、そもそもこの部屋、質素すぎね?


窓と机と引き出しと、部屋の端に畳まれた布団以外には何も見当たらない部屋をいくら探ったところでこの部屋から逃げ出せるとは思えない。


 


いつもならば、『万象乖離』を使って脱出するはずだが、今日は『乖魔剣・双』を持ってきていない。


そもそも今日は、二つの魔道具の試験運用のために森に行ったのであって、脱出ゲームをするためではなかったはずだ。


 


途中までは、『乖魔剣・双』も持っていこうかな……と悩んでいたのだが、流石に四刀流は恥ずかしいと思い、置いていく事にしたのだ。


「あーあ……双魔剣持ってこれば良かった……」


「今更後悔しても仕方が無いでしょう。どうせ暇なのでリベンジさせてください!」


 


そう言って、引き出しから例のボードゲームを取り出すめぐみん。


「あ、引き出しに色々入ってるのな……めぐみん、その中にこの部屋の脱出アイテムとか無いの?」


「往生際が悪いですよ? そんなのあるわけないじゃないですか」


 


ですよね分かってましたよ。


 


とは言っても、このボードゲームでめぐみんに負けるはずも無く。


「リーチな。あと、チェックメイトだ」


「ぐぅぅ……!」


「相変わらず弱いなお前。雑魚だ雑魚」


「ぐぬぬ……くろねが強すぎるんですよ。これでも学校ではくろねの次に強いんですよ?」


「……嘘、だろ?」


 


めぐみんが俺の次点と聞いても、全く信じられる要素が無い。


なんなら、めぐみんはかなり弱い方だと思っていたまである。


 


何度も勝負を続け、とうとう三十連勝に届いた頃、ドアががちゃりと音を立て。


「あら、くろね君。大丈夫かしら?」


「ゆいゆいさん。えぇ、お蔭さまで。……ところで、何故このドアは開かなかったんでしょうか? まさかとは思いますが、指輪を回収したのも、この魔法を破壊されないためでは?」


「ふふふ……そんなわけないじゃない」


 


ちなみに、指輪であの魔法を破壊出来るか、と聞かれたならば、出来る。


むしろ、最初はそれを主な用途として作っていたくらいだ。


 


まぁ、ドアが開いた以上、そんな事を考える必要も無いのだが。


「回復魔法ありがとうございました。では、もう遅いですし、俺は失礼します」


「あら、もう遅いし、晩御飯食べていったら?」


「大丈夫です。では、これで」


 


俺が玄関の戸に手をかけた時、後ろにいたゆいゆいさんの声が廊下に響く。


「『スリープ』!」


「「えっ」」


急激に眠気が俺を襲う。


そのまま俺は、玄関先に崩れ落ちた。


 


 


 


──side めぐみん──


 


「『スリープ』!」


「「えっ」


 


母の睡眠魔法を受けて、くろねが玄関先に崩れ落ちた。


その場を見ていた私に母は、何事も無かったかのように。


「あら。くろね君ったらよっぽど疲れてたのね。寝室に運ぶのを手伝ってくれない?」


そんな事を、にこやかに言ってきた。


 


眠ってしまったものはしょうがないので、運ぶのを手伝ったのはいいのですが……。


「何故その先が私の部屋なのですか!? 何か深い意味が隠されている気がしてならないのですが!」


「あら、そんな事ないわよ? くろね君が間違いなんて起こすはずないでしょう?」


 


確かに、この二ヶ月とちょっとで、くろねの事はある程度知れました。


くろねは、何と言うか、自分への感情を全て悪意だと思い込んでいる、と言いますか。


要するに、かなりのマイナス思考のようです。


 


そんなくろねが、仮に私と同じ部屋で寝たところで、何か間違いが起こるとは考えにくいのですが……。


「だからといって、年頃の娘を男と一緒に寝かせるのはどうなのですか!?」


「ふふふ、私は一緒に、なんて一言も言ってないけど? やっぱり意識はしてるのね」


「なっ!?」


 


何を言っているんですかこの人は!


……た、確かに、あの時のくろねはなんだかんだ言って私達のために戦ってくれていましたし。……まぁ、かっこよくなくも無かったですね。


でも、最後のあれはみっともなかったと思います……ってこれでは私がくろねを意識しているみたいではないですか!!


 


私が一人で混乱しているうちに、母はご飯の支度に行きました。


「……どうしましょうか」


「( ˘ω˘ ) スヤァ…」


視線の先には、気持ちよさそうに私の布団で眠るくろね。


 


……後のことはその時考えましょう!


私はそう決めて、リビングに向かいます。


その途中で、後のことはその時考える、という考え方もくろねに教わった物だと思い出し、廊下で少し悶えました。


 


今日も質素な食事をよく噛んで食べる。


よく噛んで食べれば、満腹中枢が刺激されてあまりたくさん食べなくとも、お腹がいっぱいになりやすいそうです。


我が家は、父の魔道具があまり売れないせいで、年中貧しいです。


くろねの作った指輪の事を話したら、今度我が家で売りたいと言っていました。


もうそれだけで、商売のセンスが無いことがはっきり分かります。


まだ立体機動装置や、あの二刀流の方が需要がある気がしますが……。


 


それでも辛うじて我が家が成り立っているのは、一人だけお得意さんがいるかららしいのですが、その人の感性はどうなっているのでしょう。


 


お粥を噛み締めながら、一度も出会った事の無い人のセンスを心配していると、居間の方でくろねの指輪を弄っていた父が。


「そういえばめぐみん、母さんから聞いたぞ。今彼氏が来てるらしいな。相手はくろね君か」


 


私はお粥を吹き出した。


未だ噎せ返る私に、更に父が。


「くろね君ならワシも応援しよう。彼は魔道具作成にも優れているし、何より人間が出来ている。めぐみんの交友関係が狭すぎて、近所のニートと付き合ったりしないだろうかと、ワシはずっと不安に思っていたからな」


「あら、あなたったら。ちょっと前に、めぐみんが彼氏を連れてきたらそいつは殺す、なんて言っていませんでしたっけ?」


 


父はそんな事を言っていたのか。


私の事を思っての事だと分かっていますが、少し愛が重いです。


「くろね君とは魔道具関係で少し関わってな。彼なら大丈夫だろう」


「勝手に話を進めないでください! 私とくろねはまだそんな関係ではありません!!」


「「まだ?」」


 


両親に同時に突っ込まれ、うっと唸る私。


今日はなんだか、墓穴を掘ってばかりな気がします。紅魔族随一の天才は何処へ行ってしまったのでしょうか。


 


狼狽する私に母が、非常にほんわかした顔で、とんでもない事を言う。


「今日は私達は居間で寝るから、めぐみんの部屋でどんなに五月蝿くしても聞こえないわよ。だから安心しなさい」


「何処にも安心出来る要素が無いんですが!?」


 


これ以上両親と話していても隙を突かれるだけだと判断した私は、お風呂に入るべく着替えを取りに……部屋にはくろねがいましたね。


まぁ、眠っていますし大丈夫でしょう。


 


着替えを取っている時に、くろねの体がビクンと震えてびっくりしたりもしましたが、特に問題なくお風呂を出ました。


さて、ここからどうしましょうか。


……よく見ると、案外整った顔立ちをしているのですね。あの素晴らしい目が隠れてしまうのがアレですが、充分イケメンの部類に入ると思います。


「( ˘ω˘ ) スヤァ…」


 


……何故だか腹が立ちます。


私がこんなに葛藤しているというのに、くろねは凄く気持ちよさそうに眠って……。


そうだ。くろねが起きた時に、同じように混乱させてやりましょう。


 


そう決めた私は、くろねをほんの少しだけ横にずらし、布団に潜り込む。


枕の半分ほどを使わせてもらい。


「……このくらいなら、いいですよね」


左腕を抱き枕にして目を閉じた。


これは、くろねを驚かせるためにしたまでです。えぇ、他意はありません。


 


私はそのまま眠りに────。


 


「…………あれ、ここ何処だっけか……ってめぐみん!? え? 本当どうしてこうなった?」


 


つく事は出来なさそうです。


くろねが困惑する様を見るとしますか。

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