第20話  引きこもりは幼なじみとお泊まり会

 春香がホラー番組を見て怖くなり琢磨の家に泊まることになった。

俺は戸惑ったように春香に質問した

「なぁー本当に泊まるのか?」

春香はリビングのソファーに座りながら抱いているクッションに顔を埋めた

「だって...怖いんだもん...」

春香は少し泣きそうな声になっておりここで返す訳には行かないと俺は覚悟を決めた


「わかった...今日は俺の部屋のベットで寝ろ...」

春香は勢い良くクッションから顔を出して少し涙ぐんだ目で笑顔を作っていた

「ありがとう...」

「俺は今日ここのソファーで寝るからな」

すると、春香はボスッと持っていたクッションを床に落とした。


「どうしたんだ春香?」と顔の方を見ると

「たくちゃん...一緒に寝てくれないの?」

俺は春香と一緒に寝ると想像しただけで顔が熱くなった。


「年頃の男女が一緒に寝れるわけないだろ!」

と俺が言うと

「小学校の時も何回か寝てくれたじゃん!」

いつの話だ...と呆れつつ

「それは小学校の時の話だ!」

春香は顔をむーっとさせてまた目に少し涙を溜めた

「はぁーわかった...」

する春香の顔は見るからに明るくなった

「だが、一緒の部屋で寝るだけだからな!俺は床に布団を敷いて寝るからな!」

春香は先程より少しテンションを落としていたが

「わかった...」と返事をしてくれた。



         琢磨の部屋


ベットに寝転んだ春香が聞いてきた

「本当に一緒に寝てくれないの?」

俺は毛布を深く被り春香の方とは逆方向を向いて答えた。

「ああ、何度も言ってるだろ...」

「寝てくれるって?」

「違うわ!!さっさと寝ろ!」

「わかったー」と言って春香の方が静かになった


         30分後


こんなん寝れるわけ無いだろー!と俺は心の中で嘆いていた。

するとベットの方から春香の声が聞こえた。

「ねぇ、たくちゃん?もう寝た?」

「まだ、起きてるよ...」

「なんか、寝れなくて...」

「ああ、俺も寝付けない」

春香がくすくすと笑った

「小学校の時は普通に寝れたのにね」

「そうだな...」

「ごめんね、たくちゃん私が泊まって迷惑だよね」

「女子と一緒の部屋という事に少し抵抗はあったが

春香と久々に泊まれて嫌な気持ちでは無い...」

「そう...ありがとね」

「早く寝ろ...明日も早いんだから...」

春香は安堵したように小さな声で

「うん...」と答えた

そして俺はそのまま眠りについた。


          翌朝


「朝か...」とゆっくりと重い目蓋を開けた

目を開けると目の前に春香の顔があった

「え?なんで?...」

俺が同様していると

「ん...」と春香が目を覚ました。

春香は大きく伸びをしていた

「おはよーたくちゃん...」

「な...なんで横で寝てるんだよ!」


春香は顔が赤くなりながらも俺に訴えてきた

「だって...」

「だって?」

「たくちゃんが一緒に寝てくれないから...」

「それはそうだ...」

「だから、自分でたくちゃんが寝た後に布団に潜り込めば良いかなって...」

「はぁー」と俺は大きくため息をついた

春香は申し訳なさそうな顔をしていた

「たくちゃん...怒ってる?」

「ああ。こういう事は本当に信頼出来る人とか

女友達としろ!」と春香に注意すると春香はくすくすと笑っていた

「大丈夫!私たくちゃんの事信用してるから!信用してるからまた一緒に寝ても良い?」

と春香は笑顔になっていた

「そういうことじゃなーい!少しは反省しろー!」


そして、このまま学校へ登校したのだが朝の事を思い出すと今日一日、俺は恥ずかしくて春香と目を合わせることが出来なかった...

















 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る