第5話「違和感の正体」

こんにちは、*MEICO*です。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


中学生の私がK田に感じた「違和感」、本編ではあえてハッキリとは書きませんでした。


が、念のため解説をしておこうと思います。




お分かりだと思いますが、ズバリ、違和感の正体とは


①「バレンタインにチョコを貰ったのにも関わらず、一言もお礼が無かったこと」


②「お返しも渡さなかったこと」です。




しかも、K田はあえて、土曜日に一緒に練習しないかという「お誘い」を私にしています。私と2人きりの時に。


「練習するー?」みたいな軽いノリとかではなく、やや含みを持たせて。


当然のことながら、「その時にお返しを渡すつもりなんだ」と思ってしまいますよね。




しかしバレンタインチョコというのは、あくまで渡す側が勝手にしていることであって、男性側にお返しを催促することはできません。


それもあって、当時の私はこの違和感を、半ばスルーしてしまったのです。




ですが、大人になった今の私ならこう思うでしょう。


「それでも一言くらいお礼を言うのが常識だよね」「ちょっと失礼な人ね」と。


そしてこう思うでしょう。


「この人とはあまり関わらないでおこう」と。






大人であれば、「感じた違和感のままに、適切な距離感でその人と接する」ことができます。


しかし、それができなかったのが、当時の私です。




本編を読んでいて、違和感の正体が①②だと分かっていながらも、「どこか噛み締めきれない違和感」として感じませんでしたか?


モヤっとするんだけれども、掴み所がない違和感。


それが、当時の私が感じていた感覚そのものです。


だからあえて、違和感の正体については、本編でハッキリと明記しませんでした。






しかし当時の私は、直感で分かっていたのです。「K田が失礼な人である」ということを。




分かっていながらも、「こういう人なんだ→適切な距離感で接しよう」とならなかったのは、やはり子どもだからというか。


相手は名門大学生ですし、「いや、でもそれくらいの常識は兼ね備えていて当然のはず…」と、何が正解か分からなくなっちゃったんですよね。


子どもは、大人を信じてますから。






でも今の私なら分かります。


世の中にはそういう人もいる、ということ。


何が正解とかではなく、「そういう人だ」ということ。






道場の女の子たちは、はじめからK田を嫌っていました。


何かされたわけでもないけど、「偉そう」「無理」「キモい」と、本当によく言っていました。


今にして思えば、女の子たちは直感的に、K田の本質を嗅ぎ分けていたんだと思います。


実際、私も苦手な感じはありました。




私はのちに大学生になってからK田と付き合うのですが、そこに至るまでの間も、まぁ違和感だらけな出来事ばかりです。




結果的にモラハラ彼氏だったので、当たりか外れで言うと、外れだったわけです。


やはり直感的に感じたものは大事にしなければいけないんだと反省し、別れたあとから「自分の感覚を信じる」ことができるようになりました。






ちなみに、この当時なぜお返しをくれなかったのか、なぜお礼の一言も言わなかったのかについて、付き合っているときK田に聞いたことがあります。




「わからん。覚えてない」




とのことでした。






ま、それが答えなんですよね(苦笑)




どうやらブラウニーを貰ったこと自体、本気で覚えていなかったようでした。






K田は、損得勘定で動く人間でした。


目上の人には気に入られたくて媚を売るけど、自分に得がないと判断した人(特に自分より目下の存在)への扱いは、すごく雑でした。 


だから道場の先生たちの前ではおりこうさんだけど、子どもたちしかいないような時は、上手にサボってました。






そう、例えば…。


道場と道場長先生のおうちは併設されていたので、先生は練習中、よく忘れ物を取りに家へ戻ることがありました。


そんなときは子どもたち同士の練習になります。


私たちが後輩を一生懸命教えていて、「ここ自分も上手くできないんだよね…」と困っているのを隣で見てるのに、K田は何のサポートもせず、ふらっと掲示物を眺めに行ったり、一人で黙々とトレーニングマシンを使い始めたり。




しかし道場長先生が戻ってくる足音が廊下から聞こえると、すごくナチュラルに私たちのところにやってきて、「お前らしっかりやらなアカンやないか。教えたるわ、ここはな」と、急に教え始めるんです。




そして戻ってきた道場長先生は、K田にこう言います。


「おっ、さすが大先輩はちゃうなぁ」「お前ら分からんところはK田先輩に聞けよ」




それを聞いて誇らしげにしていたK田の顔、いま思い出してもぶん殴りたくなります。




ま、とにかく、そういう人でした。




そこから考えるに、K田にとっては私から貰ったブラウニーって、嬉しいとか嬉しくないとかの前に、何の価値もなかったんですよね。


所詮子ども相手、って、無意識に見下してたんだと思います。




たぶん、ブラウニーを渡したのが彼よりも目上の女性なら、貰ったときにペコペコ頭下げたうえで、きちんと包装したお返しをしてたと思いますし。




付き合ってるとき何度か旅行にも行きましたが、職場へのお土産は絶対に買わない人でした。


買っておいたほうがいいと思うけどなぁと私がしつこかったとき、一番安いサブレの詰め合わせを買ってきた彼はこう言い捨てました。


「職場のろくでなしどもには、これで十分や」






まあつまり、そういう価値観の人だったんですよね。




長くなりましたが、たまにこういう解説や補足のような形で、ちょこちょこエピソード挟んでいきます。

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