悪役令嬢、ブラコンにジョブチェンジします 浜 千鳥
『ブラコン悪役令嬢と家庭教師』
「あっはっは」
笑っているのはアナトリー・マルドゥ。
彼の前で
そんなわけで、今も内心では『笑かしてすいません』とド
「まあ先生、わたくしの魔力制御は、そんなに
「ははは、いやいや、
エカテリーナは病弱だったため、今まで一度も魔力制御をきちんと学ぶことができなかった。
というのは
半年前に父親と祖母が立て続けに
エカテリーナの魔法学園への入学が近づいたことから、授業の集大成として、土属性の魔力制御では花形といえるゴーレムの生成と
「いや、本当に。初めての生成で、全長三メートルものゴーレムを生成するのは、なかなかできることではありません。お嬢様には、すぐれた
さきほどマルドゥから生成したゴーレムを動かすようにうながされて、エカテリーナはついついやってしまった。
(あ、よいよいよいやさっと)
ゴーレムに、
この世界にはもちろん盆踊りは存在しないが、
「ゴーレムを踊らせる人は初めてです! いや素晴らしい動きでした、初心者はゴーレムを動かすことさえ難しいものなのに、あれほどなめらかに動かせるとは、大変な才能です。しかしあの踊り」
もうゴーレムは土に
「そんなに楽しんでいただけて、
表情をとりつくろうのをやめて、エカテリーナも笑った。
「課題がこなせて、嬉しくなってしまいましたの。お許しくださいましね」
「楽しませていただいて、許すなんてそんな」
首を振り、マルドゥは
「お嬢様は、見かけによらず
「先生は、今日はいつもより少し沈んでおられたようでしたわ」
エカテリーナの言葉に、マルドゥはぎくりとしたようだ。
「
「そのような。わたくしこそ、ぶしつけな言葉でしたわ。申し訳のう存じます」
「いえそんな」
マルドゥはあわてて首を振った。
「本当にすみません、大したことではないのです。もともと期待していなかった
「まあ!」
エカテリーナは大きく目を見張る。
「それは、お
「身に余るお言葉です」
マルドゥは
「ですが、身の
「就職希望先はアカデミーでしたの。先生は、ご家族がいらっしゃいますのね」
「はい、妻と三歳になる
「三歳なら
「
「ミナ。次にマルドゥ先生がお
「わかりました」
いつもエカテリーナの側に
そんな会話を
「エカテリーナ」
「お兄様!」
ユールノヴァ公爵アレクセイは、
「お会いできて嬉しゅうございます。お
「さあ、どうだったかな。お前に会った喜びで、自分が疲れていたかも忘れてしまった。今はただ幸せだよ」
「まあ、お兄様ったら」
今日もシスコンですね! 私も今日もブラコンです!
アホな心の声は、エカテリーナの通常運転である。
エカテリーナは前世の社畜時代から、アレクセイを知っていた。前世でハマった
ゲーム内でもアレクセイは、シスコンすぎるキャラだった。転生して初めてわかったその理由は、両親も祖父母も
そんなアレクセイはゲームの中で、悪役令嬢エカテリーナの悪事を一切止めず、一緒に
ゲームの設定にこんなこと書いてなかった、二人とも
前世の記憶が戻ってすぐ、そう
この後すぐに、エカテリーナは魔法学園に入学し、破滅フラグをへし折るべく
家庭教師のアナトリー・マルドゥは、そうとは知らないながら彼女の助けとなり、やがてユールノヴァ公爵家に思いがけない職を得ることになる。
物語の小さな
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角川ビーンズ文庫
『悪役令嬢、ブラコンにジョブチェンジします』
続々重版出来・大好評発売中!
●待望の第二巻、2020年6月1日発売!
【あらすじ】
破滅フラグを折るのも、皇国滅亡ルート回避も――すべてはお兄様のため!
名門公爵家の悪役令嬢・エカテリーナとして転生した社畜アラサーの
ゲームでは知らなかった不幸な設定の悪役兄妹のため、
※くわしくはコチラから!
https://beans.kadokawa.co.jp/product/322003000265.html
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