第1話:起動〜朝〜
「朝……か……」
首が痛い。目を閉じていても眩しく、瞼が赤く透けている。どうやら俺は、作業している最中、寝落ちして座った体勢のまま変な寝方をしたようだ。
「寝違えたぁ〜……」
薄ぼんやりと目を開けて後悔していると、
ピンポーン。
玄関のベルが鳴り、朝が苦手な俺の頭の痛みをより一層増させる。
「宅配便でぇーす」
「あぁああああああぁああああああああ……」
濁点混じりの呻き声を出しながら俺は、玄関へ向かい、サンダルを雑に履いて扉を開ける。
「
「はい」
だるい。
「ここにサインお願いします」
「はい」
だるい。そう思いながらも俺は、配達員が指さす小さな円の中に『螺旋巻』と、所々適当に書いた。
いや、俺も変だとは思っていたが、
「でかいな……」
頭が回らないなりに、正確なツッコミだと思う。
その後俺は、配達員と二人掛かりで人ぐらいはある箱を家に運んだ。
「親父からだったなぁ。にしても、こんなでっかいの何送りやがったんだ?本当に人じゃねえだろうな?」
人だった。正確には、メカニズムドールだ。
「ぱっと見ビビったが、ドールかぁ」
俺は、中身を確認した後、そのドールを部屋の壁側に立ててどんな姿
なのかを観察した。
送られてきたドールは、きれいな金髪のロングで、後ろで大きく三つ編みにしており、無愛想そうな顔をしていた。服は、着ていなかったので俺のティーシャツを着せた。予想以上に大きく、ちょうど下半身も隠れたので一石二鳥ならぬ、一服全隠れだ。
だがまあ、動かしたときに背中部分に露出した歯車に挟まらないかが心配だが、それはなったときとして、
「動かすか」
そうして俺は、どれくらい巻けばどれくらい動くのか解らなかったので、多分、ざっと1440回は巻いた。数えたわけではない、勘だ。
すると、
「おはようございます。D‐2981ただいま起動しました」
と、表情一つ変えずに挨拶と、製造番号を淡々と語り、静止する。
「ああー、おはよう、俺があんたの主人になると思う螺旋巻絡繰だ。よろしく」
「螺旋巻絡繰様。よろしくお願いいたします、D‐2981と申します」
堅い。というかそれ、名前みたく言うけど製造番号だろ!
「はあ……。一応俺、何でも屋ってのをやってんだ。あんたにはその手伝いをしてもらうから、そのつもりで……。いいかな?」
「はい。螺旋巻様の言うことは、絶対ですので」
にしても表情が変わらない。ドールつてこういうもんなのか?所詮は人工ってことかぁ?
明日にも鉄心のところに行ってみるか。
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