メカニズムドールの一分間
ありづき
プロローグ
私の名前は、
私は、とある国のとある町のとある骨董屋のとある店主から、超美形の女性形ドールを買い、そのドールを遠くの国に住んで何でも屋とやらを営んでいる息子に送った。
――どうせ彼女の一つも持ったことがないだろうからねッ!
こんな事を息子の前で言えば、ブチギレられるだろうから言わないけどね。
さて、私が私の息子に送った“ドール”というものについてちょっとだけ詳しく説明する(骨董屋の主人の受け売り)。
ドール、正式にはメカニズムドールと呼ばれるこれは、人工で作られた発条式の人形人形だ。これらドールは、最初、国同士での戦争の人外兵士として開発、生産されたらしく、開発当初は男性形のものしか無かった。
しかし、一人の貴族が「女性形を開発すれば、言い値で買い取る」と開発側と国へ交渉したところ、すんなりと話が通り、その貴族のためにオーダーメイド。その話が、貴族間、商人間、庶民間へと広がり、瞬く間にメカニズムドールというものが国中から世界中へと広まった。
ドールは、その名の通り発条式で、一巻きで一日動く。そして、万が一発条が止まっても、何らかの技術で人工記憶というシステムが働き、再び巻けば記憶を保った状態で動き出す。
私は、息子を独りにさせ過ぎたのやもしれん。だから、息子は何でも屋なんてあやふやな職業に就いた。いや、私にあやふやな職業なんて言う資格はないだろうな。
これは、孤独になってしまった男と作られてしまった残酷なドールの、一分即終な物語。
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