手首への執着
自分で自分はサイコパスなんじゃないかと思うことは沢山あったし、
沢山あるのだが、
その一つに自分の左手首への執着がある。
実際にするわけではないのだが、
何度も何度も頭の中でリストカットした。
例えば、高校の”朝の会”の時間。
退屈でだるくて憂鬱で、なんとなく前の方を見つめながら、
でも本当は何も見てなくて、
白い手首から赤い血が流れるところを想像していた。
死にたい、とかじゃなく。
本当に切りたい、というわけでもなかったし、
その頃は大きな悩みがあったわけでもない(気がする)。
なんとなく、なぜかその考えが頭から離れないのだ。
中学生の頃は、
実際にカッターで手首を傷付けようとしたこともあったし、
手首ではないが体をハサミで何度も傷付けたことが一晩あった。
その頃は、なんとなくリストカットに興味があった。
インターネットでリストカットしてる人のHP見たり写真見て
かっこいい事の一つのように思っていたふしがある。
今でも正直、なんでしちゃだめなのかは分からない部分がある。
今しない理由は、傷痕は消えない、隠したくても隠せなくて困っているという話をしてインターネットで読み知ったからだ。こういう話自体は、中学生の頃知ったような気がする。
傷痕は、のちのち問題になってくる。
一生病んでいればいいのかもしれないが、社会復帰するとなると結構厄介そうだ。リストカット中毒がおさまり、ついに卒業できても、消せない傷痕に苦労している人たちがいる。
また、傷痕はなぜか忌々しく痛々しく気になるものだ。
かつて精神科のリハビリセンターに通所していた時、患者で腕も足もリストカットの傷がきれいにびっしりな女の子がいたのだが、見ていて不快な気持ちになった。私の体もムズムズ痛くなってくるのだ!
この現象に対する私の心の中の声は、こうだった。
「見せびらかさないでくれる?」
「見せたいの?」
「長袖着てよ」
渦中の人には酷な言葉だと思うが・・・。
真新しい血のにじむ傷を見る度、なんとも言えない気持ちになった。
本人は辛いんだろうし、それに左右される私が未熟なだけなのだが、なんとなくリストカットが嫌いになった。
リストカットするな!とは全く思わないが、自分が不意に傷を見せられると心の中での対処に困った。
傷痕ってなんか不思議なものだ。
そもそも今の私は特段リストカットをしたくもないが、絶対にすることはない。
傷を見たら恋人が心配するだろうからだ。
というより、背景は詳しくは私も知らないが私の恋人はこういう事柄が嫌いなようなのだ。
そのため、彼に嫌われたくない、怒られたくない、というのもある。
自分を傷付けたくなることは、よくある。
でもまぁ、しないで済んでいる。乗り越えられている。太ももの付け根に爪を立てたりすることもあったが、最近それもない。
リストカットがしたくてたまらなかった頃は、マーカーで手に軽く落書きしたり、冷たい氷を握ることで気を紛らわせたりもした。
残る傷痕がない、というだけで、私はとっても幸福なのだ。
恵まれていて、幸運である。
自殺未遂の後遺症も、薬物の後遺症も、たぶんない。
人生やり直しが効くとはいえ、不可能はないが、難しいものはあり、その一つは消えない体に刻まれる何かだ。
不可逆的後遺症は本当に気の毒だが、それはそれでその人がまた付き合って乗り越えていかなければならない何かなのだろう。心の中で、そんな人たちを応援してはいる。
現在の私は不可逆的影響が体に及びそうな事柄にはかなりナーバスで否定的である。
「親からもらった体に傷を付けるなんて・・・」といった意見はよく理解できないが、後で自分で自分のした事を後悔して、でもやり直しは絶対できなくて、状況をマシにする事すらかなり難しい・・・そんな時の気分は最悪である。
そんな気分は味わったことはある気がしていて、そんな最悪な気分にはなりたくないので、私は慎重である。
永久脱毛にも否定的だ。
いつか、流行とか恋人の趣向や自分の価値観が変わり、やっぱり毛が欲しい!となるかもしれなくて、そんな時にもう毛が生えてこないのはなんか心配になってしまう。
自傷行為は、現在も私の頭の中には妄想する事柄の一つとして存在している。欲求としては、たしかにあるような気もするが、もう実行することはないだろう。
自傷行為がしたい人は、しなければ死んでしまうのなら、したらいいと思う。生きていることが一番大切だからだ。
命こそ、一番の価値で、代わりのないたった一つのものなのだ。
”夜回り先生”は、自傷行為をするなら、
信頼できそうな人が見ている前でしなさい、と言っていた気がする。
自傷行為って謎だ。
生きたいから切るという説も多いし、
気持ちいいから切ってたとか、
トランス状態だったとかいう話も実際に聞いたことがある。
違法薬物のような依存性があるのは間違いない。
はまらなくて良かった。
ものすごい眠気の中、こんな事とりとめもなく書きながら、
やっぱり私はラッキーだなぁ、と思ったりする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます