「数えてない」

一昨日、数年ぶりに過呼吸になった。

恋人がなだめてくれた。

「大丈夫だよ。

僕がいるよ。

何にも心配いらないよ。」


気絶する前に抑えることができたけど、

彼氏の完璧さを改めて感じたけど、

そもそも過呼吸になったのは恋人とのやりとりがきっかけである・・・。


それは今は脇に置いておこう。

彼のせいではない。

彼は完璧である。

何か問題があるとすれば、私に問題があるのだ。


彼は、私が長年求めていた存在そのもので、

そしてその理想をさらに超える人だ。


まあ、最近そんなことがあった。


では、昔の話を振り返りたい。


私は手が付けられない感じの出会い系依存症だった。

”真実の愛”を探していた。

私は本当にそれが全てだった。

でも、認めたくはないが、何か違うものを望んだ時もあった気がする。

快楽とか、ただ寂しさを埋めたいとか?

ただ、普段はそういった記憶は、

記憶の海に深く深く沈んでおり、思い出すことはない。

今、これを書きながら、必死に思い出そうとしている。

数年前、過去を思い出そうとしたことがある。

なかなか思い出せないものである。


沢山の人に出会った。

全ての別れが、あった。

その人々の名前、もはや存在さえ

普段は全く忘れている。

思い出そうとしても、とても時間がかかる。


「今まで何人と付き合ったの?」

「経験人数は?」


そんな質問をされると困る。

冗談じゃなく、数えてないのだ。

不可能ではないと思うが、数えることは、難しい。

いずれにしろ、数えたところで誰にも明らかにはしないが。


付き合った人数:5人

経験人数:6人


こう決めている。


実際のところ、数年前にリストを作り、

何日も少しずつ時間をかけ、思い出しながら過去出会った人たちを挙げていった。


出会った数でいくと、その時点で50人くらいだったと記憶している。

セックスをしたのは、そのうち15人くらいだった気がする。


また時間を取って数えてみようとは思っている。

だけど、それに何の意味があるのかは分からない。


私が消した過去だ。

今さら覚えていても、しょうがないのだ。


今、私のLINEの”友だち”の数は、16人である。

過去の交友関係は”ほとんど”精算した。

全部、今の恋人のためだ。

(もちろん、常識的に考えて、自分にとっても良いことだっただろう)


「(もう依存しなくなったと)勘違いするな。

ぶら下がる対象が変わっただけだ。」

とある出会い系アプリで、とある男がつぶやいていた言葉である。

その言葉が襲ってくる。


人間は変わることができる、と思う。

しかし、どれだけの人が”変わることができた”のだろうか。

透明な過去と、どう折り合いをつけるのか。

透明な私は、今日も悩むのだ。

よく覚えてもいない過去。

しかし、ふと思い出すことがあるのも事実だ。


今日は晴れていた。

晴天だった。

しかし、心はとても沈んでいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る