第111話
「なんというか……思ったよりキレイだな」
視察ということで領地内に残る廃村、廃墟を訪ねることになった。
ロバートもついてきてくれるので状況はわかりやすい。
この領地は大きく分けて5つの集落に分かれている。
まず、城下町にあたる屋敷からすぐそばの街。
そしてそこからほとんど等距離に4つの村と街の中間のような集落があった。
これはダンジョンを見張る意味で置かれたと同時に、ダンジョンに訪れる冒険者たちのための拠点としての機能を有していた。宿屋はもちろん、武器屋や装備類を売る店が多い。残ったゴーストが品物の手入れはしているようで物がいいというのも面白い話だった。
『この周囲は元々常に魔物災害の危険のあった土地ですからな。領民もみな、ある種の覚悟を持っていたのでしょう』
普通、人は死ねば魂ごと消えていくものだ。
それがこうしてその地に根付いているというのは、土地や住居、家族や仕える者といった、何かしらの執着があることを示している。
「アイルの両親は相当いい領主だったんだな」
「そっそんなことは……あの……ありがたいお言葉です」
アイルは両親を褒めても照れ照れだった。
「金銭をもつ人間がしっかり来てくれればインフラ自体はゴーストたちが維持させてるわね……」
ミルムが感心するくらい、各集落の機能は維持されていた。
「【ネクロマンス】」
俺はとりあえずそれぞれのアンデッドたちの見た目を整え、安定化させるためだけに回り続けることになった。
──ゴーストのネクロマンスに成功しました
──【初級鍛冶術】を取得しました
──シャドーのネクロマンスに成功しました
──【目利き(布)】を取得しました
──シャドーのネクロマンスに成功しました
──【高速収穫(芋)】を取得しました
──ゴーストのネクロマンスに成功しました
──【薬草料理】を取得しました
──シャドーのネクロマンスに成功しました
──【農作業効率】を取得しました
「使うことがなさそうなスキルがまた……」
「贅沢な悩みね」
領民のすべてを【ネクロマンス】して回った結果、もう自分が何者かもわからないほどのスキル構成になっていた。
いや俺はあくまで冒険者……。そう自分に言い聞かせた。
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