カタの無い、コトの葉 〜コミュニケーション〜
教えて
auのスタンプ
前の携帯つけたわたしの I pad
皆さんは、この言葉の意味がお分かりになるだろうか?
これは最近私を悩ませた、母からのラインメッセージである。
果たして、全く何を教えたらいいのかわからなかった私は、母に質問した。
どういうこと?
するとすぐに返ってきた。
石木の名義
さっぱり分からないだろう。
しかし私はここから、石木の名義で契約したI padのパスワードが分からない。という事を推察した。
その流れはこうだ。
まず、auのスタンプ。これはauは携帯会社のauの事として、問題はスタンプの方。
最初は、スタンプとはストップという意味だと考えた。
なぜならストップを英語で発音するとスタップ、スタンプと聞こえないこともないからだ。
その次の可能性として、スタンプとはそのまま印鑑という意味だと考えた。
しかしどちらも、次の「前の携帯つけた〜」には意味が繋がらないように思える。
ここで一旦手詰まった。
そして聞き返した私に返ってきた、石木の名義というメッセージ。
これによって、私の名義に関する問題であると知る事ができた。
私の名義とストップと印鑑、ここからパスワードの事だと推察するのに、さほど時間は掛からなかった。
私は母にパスワードを教え、母からは「OK」と短く返信が来た。
これほどの難問は数少ないが、私と母のやり取りはいつも、こんな推理力を試されるものだった。
有りがちな「はにをへ」を間違えるのはいつもの事で、困るのは上記のように、日本語なのに意味がわからない言葉が出てきた時だ。
ボディーランゲージで分かるような事ならいい。
だが実生活を送る上で、それだけでは限界が来るのが現実。
ホントにサッパリわからない時は、英語で話してもらうのが早かったりする。
生まれた時から続く、母との不可思議コミュニケーションは、私の日本語力を上げてくれたのかどうなのか。
少なくとも、人が今なにを考えているかを察する能力は上がったのではないかと思っている。
そして、人の話を聞く能力も。
しかしどうして私の母は、何十年も日本に住んでいるのにカタコトなのか?
と思われるだろう。
それは単純明快で、これは母に限ったことではないのかも知れないが、母は、毎日のように実家に国際電話をするのである。
遠く離れた生まれ故郷が、母の心には今もしっかりと見えていて、そして毎日4か国語を駆使して誰かと話しているのだから、なかなか日本語が完璧にならないのも仕方ないのではないかと思う。
もちろん、日本で受けた精神的なダメージによる所も、有るのだとは思っているが。
それにしてもね。
次からは、小学一年生の頃に経験した、フィリピンでの一ヶ月を語ろうと思う。
それは何十年たった今でも、鮮明に思い出せるほど、私にとっては異世界だった。
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