あなたの性体験はいつから?私は4才から(5)

 Yちゃんは座り込むと同時にパンツを半分脱いで、私の腕を強引にそこに持っていった。

 この時も、濡れていたかどうかは覚えていない。


 彼女も私も、一言も喋らなかった。

 お互いのやるべきことはもう分かり切っていて、言葉は余りものだった。


 私は彼女の顔を見るべきだった。

 きっと切ない顔していたに違いない。誰の前にも見せたことのないエッチな顔をしていたに違いない。

 もし、彼女の顔を見ていたなら、きっと私は彼女を一時も忘れなかった。

 たとえ嵐の毎日が来ると知っていたとしても。

 彼女への想いを忘れることはなかった。


「っ……ねぇ、なめてみて」


 昨日と違って、彼女は喘ぎ声を大きく抑えていた。

 それがまたいやらしくて、私の股間は再び痛いくらいに腫れ上がった。


 言われるまま、流されるまま、私は彼女の秘部に口づける。


 おしっこの匂いがした。

 そして彼女は、震えていた。顔が彼女の陰部に埋まることで、私はようやくそれに気が付いた。


 なぜだろうか。

 彼女も怖かったのだろうか。

 それとも震えるほど甘美な刺激だったのか。


 

「みっけ!!」


 唐突に兄の声がした。あの時よりも短く感じた。

 いつの間に数え終えたのか。早すぎる。


 まだ始まったばかりなのに。


 2日前と同じように、それでお開きとなった。


 この時、また次があると私は期待していた。


 けれど、この日以降、家でかくれんぼをすることは最後までなかった。


 そして私は5才6才と成長するにつれて新しい刺激を覚え、彼女との行為をたびたび忘れた。

 幼稚園での新しい出会いや、健康的な遊び、そして家族関係の険悪化。

 それらは私の初の性行為を一時、そして次第に忘れ去るに十分な体験だった。


 この性行為を思い出すのは性体験をした時。

 初めてのキスや初めてのセックス、だけでなく手をつないだり、誰かにときめいた瞬間、私はYちゃんを思い出す。

 私の初恋が、封じられた記憶から鮮やかによみがえるのだ。


 そう、呪いのように、誰と寝ても、私は彼女を思い出してしまう。

 それは全てが終わった後。疲れて寝入る前のわずかな隙間に、彼女は入り込んでくる。

 これは、きっとよくない事だと思いつつ、ついつい私は抱いた女の隣で幼いYちゃんを考える。


 あの子はいま、どうしているのだろうか。元気だろうか。どんな恋をしただろうか。

 私との思い出を覚えているだろうか。

 あの刺激的で、甘くて、切ない思い出は、私一人のものになっていないだろうか。


 今もそれは、分からないまま。

 この先もずっと、分からないまま。


 私の初恋の相手でもあり、その後の私の性癖、女難の始まりともいえるYちゃんの話はここまで。

 私が引っ越すことになって、彼女との関係は決定的に断ち切られることとなる。それが小学1年の9月1日。

 かつ、その年の夏、私はフィリピンにいた。



 次では、私に流れる3つの血。そして私の母の話をしようと思う。

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