あなたの性体験はいつから?私は4才から(4)

 2日後、また雨が降った。


 あの後、私の頭の中はYちゃんで一杯になっていた。

 あの体験が頭の中で延々とループする。

 彼女の声、吐息、そして私の手に残る感触。

 蒸し暑いタンスの中で2人で犯した秘密の行為が、脳裏にこびりついて離れなかった。


 だから、またかくれんぼをする流れになって、私はずっとドキドキしていた。

 あの続きができるかもしれないと、胸の鼓動が高まった。


 しかし、じゃんけんに負けたのは私だった。


 私は露骨に残念な顔をしたと思う。

 早くみんなを見つけてもう一回かくれんぼをしないと、2日前のように一回で終わってしまうかもしれない。そしたらYちゃんと2人になれない。


 私は耳を塞いで壁を向き、1から100まで数え始めた。

 


 ――Yちゃんはどう思っているのだろうか。


 昨日もいつものメンバーで遊んだ。兄とK君とYちゃんと私。昨日は粉のような小雨が降って、だから外に遊びに出た。

 私はその日ずっと落ち着かなくて、Yちゃんの顔をまっすぐに見れなかった。

 けれどYちゃんはいつもの様子で、昨日のことなどなかったかのように私と接した。


 何とも思っていないのだろうか。

 私はこんなに気になってしょうがないのに。

 あなたが気になって胸が騒いでいるのに。


 もしかして、あの日の出来事は夢だったのだろうか。

 蒸し暑いタンスの中にいて頭がやられてしまったのだろうか。


 それとも、あなたはあの日の思い出をなかったことにしたいの?



 当時の、ざわついた心を表現すれば、こうだろうか。

 私は胸を押し上げるような不安と不満に、地面が遠くなるような感覚を覚えた。



 

 100まで数えて振り返った時、そこにYちゃんはいた。


「……みつかっちゃったかあ」


 両手を後ろに組んで、楽しそうに彼女は笑った。


「ほら、2人を探そ?」


 そう言って、彼女は呆然としていた私の腕をつかむ。

 その時、ほっとしたの同時に、胸のざわめきが抑えようのないムラムラしたものへと変わるのを確かに感じた。


 今の私であればハグかキスの一つはしているだろう。

 私たちは通じ合っていたと、分かったのだから。

 


 兄とK君はすんなり見つかった。彼女が見ていたからすぐに見つけられた。

 彼女は私にグーを出すように言った。意味が分からなかったが私はそれに従い、そしてじゃんけんに負けたのは兄だった。


「またかよ……」


 兄は文句を言いつつ、しかしすぐに耳を塞いで壁を向いた。

 1から数え始める。


 胸の鼓動が上がっていく。


 相変わらずK君は1階へ駆け下りていった。


 私たちはお互い一言も交わさずにタンスの前に歩いた。


 スッと戸を開いて、私たちは狭い隙間にその身をねじりこませる。


 今度は彼女が戸を閉めた。


 そして2人の隠れ家に、私たちはたどり着いて。

 彼女はすぐに、パンツを脱いだ。




次、ラストです。

いまさらですが性描写ありますのでご注意ください。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る