あなたの性体験はいつから?私は4才から(3)

 Yちゃんのスカートの中、突っ込まれた私の腕は彼女の秘部にパンツ越しに触れた。


 固い。そう思った。

 彼女の秘部は私のそれと比べ、遥かに固かった。


 4才当時の私でも女の子にはおちんちんがない事くらい知っていた。

 だけれども、それならどんな物が付いているのだろうと考えていたと思う。

 だって何かついていなきゃ、おしっこできないじゃないか。


 母親のそれを見ているにもかかわらず、そんなおバカな考えに疑問を抱かなかったところが子どもらしい。


「ここね、赤ちゃんが生まれるところなんだよ?」


 Yちゃんは空いている方の手でスカートをめくりあげた。タンスの中に差し込む光では、パンツの色は分からなかった。

 自分の手が彼女のパンツに触れているのが目に見えて、私ははじめて心臓の高鳴りを覚えた。


 実際にこの目でそれを見るまで、私はいったい彼女に何をされているのか分からず混乱の中にあったが、隠されていたものが表に出てきた瞬間、私は、もっと知りたいと思うようになった。


「……ね?ほら、さわってみて」


 Yちゃんのその言葉は私の好奇心を加速させた。


 彼女は私の腕から手を離す。

 私は自由になったその腕で、手で、震える指で、彼女の不思議なスリットに触れた。


 顔を近づけて、そこを凝視する。

 相変わらず固い。しかしぷっくりとした柔らかい沈みこみが指先から伝わって。

 私はいま、Yちゃんの大事な部分に触れている。という実感が私を昂らせた。


 もっと知りたい。これは何なのか。胸に昇ってくるこのざわめきは何なのか。


「……きもちいいよ」


 今でも、そう、今でも生々しく、思い出せる。

 頭上からおちてきた彼女のこの言葉、あの吐息。


 きもちいい、この言葉に、沸き上がったのは恐怖だった。


 こわかった。

 これはなんだろう?この人は、目の前の人はあのYちゃんなのか?ほんとに?


 ここはおしっこが出るところで、それで赤ちゃんが出るところって言ってたのに。

 きもちいいってなに?


 何をやらされているの?

 

 私はYちゃんのパンツから手を離した。

 私はイケない事をさせられている。している。


 しかしすかさずその手を捕まれる。


「ねっ?次は直接さわってみて」


 拒否はできなかった。

 けれど直接の意味が分からなかった。


 そして困惑とした私に、Yちゃんは優しく教えてくれた。


「パンツのなかに、手を入れて」


 そう言いながら彼女は私の手首をつかみ、パンツの中に入れた。


 熱かった。と思う。よく覚えていない。

 ただ少しの湿り気と、ぷにぷにとした双丘の感触、そして兄の数える声が遠く聞こえて。


「はぁっ……んっ、いい、かも」


 恐らく、今にして思えば彼女も本当の理解はしていなかったのだろう。

 この行為が持つ意味を。

 ただ興味と好奇心、大人への憧れなどに身を預けていたのではないだろうか。流されるように。


 そしてこの時には、もう私も歯止めが利かなくなっていた。


 私がYちゃんをいじればいじるほど、彼女の喘ぐ声が、とろけた熱い息が、私の前立腺を刺激する。


 非常に痛かったのを覚えている。血が行き過ぎたのだ。


「いたいの?」


 私がちんこが痛いと口に出していたのだろう。


「……おかえし、あげる」


 Yちゃんは私のおちんちんに手を伸ばし、ズボンの上から強くつかんだ。

 その勢いに私は腰を引いて、口を押えて悲鳴を上げた。


「あっごめん……次はいたくしないから」


 彼女は優しく、たけのこのように突き出た私のおちんちんを手で包んだ。


 私はそこで初めて、この胸のざわめきはエッチなものなのだと理解した。

 性的興奮からくる、息の詰まるような胸の高鳴り。

 そのじんじんとした快感の爆発。


 きもちがよかった。


 そしてYちゃんの言っていた言葉の意味も理解した。

 私も彼女と同じことを思ったのだ。


 きもちよくて、でも、たりない。

 だから直接さわってほしい。


 でも、私はその言葉を口に出せなかった。

 まだ、こわかった。


「んっ……あっ、はぁ…すごい、いい。ねぇきもちいい?」


 Yちゃんは私にすがるように頭の上にもたれかかってくる。

 ドキドキが止まらない。

 手が止まらない。

 これは、なに?

 ここは、なに?



「Yみっけ!石木もみっけ!」


 バンッ!と私たちが入ってきた右の戸が勢いよく開かれて、兄の覚めるような声が響いた。

 びくっとYちゃんが頭を跳ね上げたのがわかった。


「……あーあ、みつかっちゃったかあ。Kは?」


「まだ!いっしょに探そうぜ!」


 私から兄の顔は見えない。私の目はまだYちゃんのパンツに釘付けだった。


 Yちゃんはタンスの右側の畳まれた毛布に体を預けていたので、兄から見えたのは彼女のパンツを凝視して身をかがめていた私の足とお尻、そして兄に振り返った彼女の横顔くらいだろう。


「……また、しようね」


 彼女は私の耳に熱く囁いた。


 ゾクゾクと這い上がった快感は、なみたち震えるように全身を駆け巡って。


 おかげで、私の耳は性感帯となった。



続きます。

 

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