第31話 キャノンインセクト
アキラは救援対象のハンター達と一緒にトラックの
『アルファ。そういえば、この緊急依頼ってどうなったら終わるんだ?』
『緊急依頼の目的は都市の防衛よ。恐らくその原因を排除するまで終わらないわ。戦局にもよるけれど、この場に追加の応援部隊が来ても、負傷者を都市に戻して残りを他の場所に派遣するってことも考えられるわ』
『戦局次第ってことか』
アルファが少し
『特にアキラはもう報酬としてバイクを前払いで
アキラが僅かに
『一応ここの窮地を救ったと思うんだけど、バイクの報酬分にはまだ足りないか?』
『残念だけれど、それを決めるのは私でもアキラでもないわ』
『確かに。活躍が足りないから差額分を支払え、なんて言われないようにしないとな』
トラックは敵の砲撃を受けて移動不能状態だが、搭載している索敵装置などは無傷で残っていた。ハンター達がその索敵装置を使用して交代で周囲を見張っているので奇襲の心配はない。アキラも気を休めてアルファと雑談を続けていた。
その見張りのハンターが声を上げる。
「反応があった! 2時の方向だ!」
場の緊張が一気に高まる。新手のモンスターか。
アキラの近くにいた男が祈りながら双眼鏡を
「またあいつらか!」
「あいつらって?」
「トラックを破壊した機械系モンスターだ。一度追い返したんだが、逃げたんじゃなくて弾の補給にでも行ってきたのかよ」
昆虫のような脚を生やした大砲や、自走する大型弾倉などで構成された機械の群れが迫ってきている。アキラも少し遅れてそれを見付けると、表情をかなり険しくさせた。
アルファが補足を入れる。
『あれはキャノンインセクトと呼ばれているわ。恐らく、旧世界時代から今もどこかで稼働中の兵器工場とかで製造されたものよ。機銃付きの多脚移動装置に戦車の大砲を複数付けたもので、移動装置の方が本体よ。個体差はあるけれど、攻撃力は戦車の大砲並み。機体の装弾数は少量、というより大砲分の数しかないわ。でも随伴している補給機体から補給するようね』
『兵器工場で作ったのなら、何であんなちょっと虫っぽい姿をしてるんだ?』
『工場の管理端末が誤作動で変なデータでも読み込んだのか、
『暇って……、そんな理由なのか?』
少々予想外な理由を聞いて、アキラはその感想として少し微妙な顔を浮かべた。
キャノンインセクト達の武装は個体ごとに異なっている。冗談のように大口径の大砲を持つ機体もあれば、極端に細い大砲を無数に持つ機体もある。移動装置の大きさにも多脚の数も差異が多々存在している。
しかし兵器としての統率は取れていた。キャノンインセクト達はその全てがトラックから一定の距離で接近を止めると、多脚で体全体を器用に傾けてその場から砲撃を開始する。
ハンター達も反撃を開始するが、互いの有効射程の関係でかなりの不利を強いられていた。
「嫌な距離を保ちやがる。前はもう少し近付いてきたんだが……」
キャノンインセクト達は絶妙な距離から砲撃を続けている。命中率を犠牲にすることで、一方的に攻撃可能な距離を維持し続けていた。随伴している補給機体の数から、弾切れは期待できないことにハンター達も気付いていた。
アルファが少し険しい顔をアキラに向ける。
『アキラ。一応確認するわ。アキラ一人で逃げる気は、無いのよね?』
アキラは険しい表情を浮かべながらも、はっきりと答える。
『俺が最後の一人になるまではな』
『それならこっちから敵に近付くしかないわね。私もサポートするけれど、AAH突撃銃でも敵に十分なダメージを与えられる距離まで近付く必要があるから、相応の
真面目な表情で念を押すアルファを見て、アキラは強化服の訓練を思い出していた。強化服で無理
それを超える負荷を強いられるのは間違いない。それを理解した上で、リュックサックから回復薬を取り出す。そして覚悟を決めて大量に飲み込んだ。
アルファが軽い
『覚悟は良いようね』
アキラも不敵に笑って返す。
『覚悟は俺の担当だからな』
準備を終えたアキラは再びバイクに
「近付いて攻撃してくる。適当に援護してくれ」
男は驚きの表情を見せたが、このままでは状況が悪化するだけなのは明白なので止めなかった。代わりに真面目な顔で随伴を申し出る。
「1人で大丈夫か?」
「バイクがあるのは俺だけだ。下手に一緒に行動しない方が良いと思う。的が分散すれば敵の攻撃も少しは分散するはずだしな。それに常に移動していればそうは当たらないだろう。……多分。それじゃあ、援護を頼む」
アキラはそう言い残してバイクで駆けていった。
アキラを様々な胸中で見送ったハンター達もすぐに行動に移る。
「俺達も散開して近付くぞ! 負傷者を荷台から降ろして、トラックが盾になるようにしろ! グレネード持ちに弾をケチらせるなよ!」
砲弾が降り注ぐ中、ハンター達も覚悟を決めて徒歩でキャノンインセクト達との距離を詰めていった。
アキラがキャノンインセクト達を目指してバイクで荒野を駆けていく。無謀とも思える速度を出して、更に加速する。
一帯にはモンスターの残骸や肉片などが散乱している。
揺れる車体から止まらずにAAH突撃銃を構えて引き金を引く。一応命中したが、あっさり
それでも攻撃を受けたことで、群れの一部が攻撃目標をハンター達からアキラへ変更する。機体の大半を占める大砲を多脚で無理
砲弾はアキラから横に10メートルほど離れた場所に着弾した。着弾地点の近辺に散らばっている肉片や金属片が吹き飛ばされて周囲に飛び散っていく。
直撃すれば即死は免れない。その威力を肌で感じたアキラが冷や汗をかく。
『結構外れているし、大丈夫だよな!? 当たらないよな!?』
『敵の照準の精度は、砲身の
『そうか!』
アキラは喜んだ。だが続く説明ですぐに台無しになる。
『でもその分ランダム性が高い
アキラが思わず顔を
『不吉なことを言わないでくれ! 俺は残りの運を使い切ったんだろう!?』
『私のサポートで対処可能な程度の不運であることを祈りなさい。それに、アキラが今こんな目に遭っているのはアキラの選択の
『そうか! 俺の運が関係ないって言うなら、当たったらアルファのサポートの質の
アキラが
『そういうことを言うの? それなら被弾率を更に下げる
『どういう意味……』
アルファが敵の照準を狂わせる
余計なことを言わなければ良かった。そう思いながら、アキラは険しい表情に後悔を
銃撃しながら急速に距離を詰めてくるアキラに対して、キャノンインセクト達が明確に反応し始める。攻撃目標をアキラに切り替える個体が増えていき、アキラの周囲に降り注ぐ砲弾の量も増えていく。
更に距離を詰められると、キャノンインセクト達は曲射を止めて直接アキラを狙い始めた。水平に発射された巨大な砲弾が大気を
砲弾が宙を
キャノンインセクト達に十分な距離まで近付いた地点で、アルファが不敵に笑いながら指示を出す。
『ちょっときついわよ! 耐えなさい!』
『分かったよ!』
アキラは
アルファがバイクの進行方向をほぼ直角に切り替えようとする。急激な減速による強い慣性に
傾いた車体の上でAAH突撃銃をキャノンインセクト達に向けて連射する。腕を固定して銃撃の反動をバイクに伝え、車体の体勢の維持と加速に活用する。
アキラには強烈な負荷が掛かっていた。骨が
方向転換の
キャノンインセクトに旋回砲塔はない。その
無数の弾丸がキャノンインセクト達に随伴している補給機体に直撃する。弾薬補充用の補給機体さえ先に破壊してしまえば、機体の僅かな残弾を使い果たしたキャノンインセクト達はただ固いだけの的に成り下がる。最優先で撃破していく。
無数の銃弾がアルファによる精密射撃で機械系モンスターの弱点部位に撃ち込まれていく。多脚の関節部分を破壊された機体が横転してもがき続ける。弾倉に似た形状の補給機械が被弾して誘爆し、周囲の個体を巻き込んで吹き飛んでいく。
キャノンインセクト達が多脚を器用に動かして、その外見に見合わない素早さで大砲をアキラに向け直す。そして一斉に砲撃する。大量の砲弾がアキラの真横を通り過ぎ、その先に次々に着弾して一帯を吹き飛ばした。
身体の激痛に、砲弾の爆風に、アキラが表情を大きく
『アルファ! 今のは結構危なかったぞ!?』
『
『物
『それなら次は右足でやらないといけないわね』
『同じことをしない方法はないのか!?』
『あるわ。こんな
『つまり、今は無理なんだな!?』
嫌そうな表情を向けるアキラに、アルファが
『
『分かりました!』
選択に後悔はないが、痛いものは痛いのだ。アキラはその痛みを勢いでごまかすように
アキラはその後もバイクで駆けながら、敵の弾薬補充用の補給機体を優先して倒し続けた。AAH突撃銃では頑丈なキャノンインセクトを破壊するのは難しい。だが比較的
脚の生えた大型弾倉が砲弾補給の
『良し! 次だ! 大分減ってきたな!』
『順調ね。他のハンターも頑張っているようだし、このままなら勝てるわ』
キャノンインセクト達に随伴している補給機体の数が減ると、敵の砲撃圧力も弱まっていく。既にハンター達も距離を詰め終えて攻撃に参加していた。基本的に火力ではアキラを超える者ばかりだ。敵の数は急激に減りつつあった。
最終的にキャノンインセクト達は、補給機体を全て倒されて砲弾補給が不可能となり、固いだけの的となった。ハンター達がそれらの的を今までの鬱憤を晴らすように粉砕していく。全てのキャノンインセクトが
アキラが急激な疲労感を覚えて大きく息を吐く。
『……やっと終わった。何とかなったけど、砲弾を避けながら戦うのはもう御免だ』
『バイクがなかったらもっと苦戦していたわ。やっぱりアキラにはまだ早かったわね』
『装備が? 実力が?』
『両方。というより何もかも』
『……強化服を手に入れて、アルファに
強化服を手に入れて、一気に戦力向上。上り調子。そう思っていたところにきつい駄目出しを受けたようで、アキラは少し嘆いていた。
アルファが笑ってアキラを励ます。
『一朝一夕で強くなれるのなら誰も苦労なんかしないわ。これからも頑張りましょう』
アキラも気を取り直して軽く笑う。
『そうだな。頑張るしかないか。頑張ろう。……後は今回の報酬がどうなるかだな。これだけ頑張ったんだ。期待したいところだけど、どうなるかは分からないよなぁ』
『
『そうだ。そうしよう』
少し休んでからトラックに戻ったアキラを、先に戻っていたハンターが出迎える。
「大したもんだ。AAH突撃銃だけで行くから単なる
「名銃だからな」
アキラが何となくそう答えると、男がそれで納得したような表情を浮かべる。
「もしかして、お前はAAH愛好家か? その銃も改造品だったりするのか?」
「愛好家? まあ愛用はしている。知り合いの店で買った銃だから、特に改造とかはしていないけど」
「ならその店主がAAH愛好家で改造品を黙って売っているのかもな。AAH愛好家はそうやってAAH突撃銃のファンを増やしていくんだ。まあ、お前みたいなハンターが愛用していればAAH愛好家が増えても不思議はないか。名銃と言われるだけはあるって訳だ」
アキラは男が納得した理由が分からずに少し不思議そうにしている。
『アルファ。AAH愛好家って何だ?』
『AAH突撃銃を愛好している人のことだと思うわ』
『いや、まあ、そうなんだろうけどさ』
『気になるのなら、後で自分で調べてみなさい。それも訓練よ』
『……分かった』
アキラが微妙なもやもやを覚えていると、別のハンターが近付いてくる。そして少し言い
「悪いがまた負傷者が出たんだ。俺達の回復薬はとっくに使い切っているんでな。そっちに余裕があるなら、もう少し売ってもらえないか?」
「分かった。まだ残ってたはず……」
アキラが銃を置いてリュックサックを降ろす。そして中から回復薬を取り出して1箱ハンターに渡そうとした。
その時、本日最大の不運がアキラを襲った。アキラ達の
それは比較的大型の生物系モンスターで、
ハンター達はそのモンスターを殺したと判断したのだが、実際には気絶していただけだった。交戦中に、今まさに至近距離で襲われている最中に、無数のモンスターの生存確認を一々している余裕はなく、その個体は気絶した状態で放置されていた。
意識を取り戻したモンスターは本能に従って即座に一番近くにいた人間に襲いかかった。それが偶然アキラだった。
アキラは銃で反撃しようとして、銃を持っていないことに気付き、地面に置いた銃を急いで拾って反撃しようと考える。その余計な思考で動作が更に遅れる。
アキラの反応は致命的に遅れ続けていた。大口を開けたモンスターは既に眼前に迫っていた。
(間に合わない! 死ぬ!)
ゆっくりとした世界の中で、アキラは自身の死を理解した。
次の瞬間、アキラの強化服が勝手に動き出した。全身が左足を軸にして勢いよく回り、同時に右脚が跳ね上がる。強化服は使用者の安全性を無視して出力を可能な限り上げていた。その身体能力はその一瞬だけ超人の域に達していた。
しかしそれほどの衝撃を加えてもモンスターは死ななかった。少しぐらついただけで、体勢を崩しはしたが倒れることもなく、頭部に伝わった衝撃で動きを止めたにすぎなかった。
その僅かな
それでもモンスターは即死しなかった。だが致命傷には届いた。弾倉を空にする勢いでそのまま撃ち続けると、その巨体は
アキラが荒い呼吸を繰り返す。
『い、いま動かしたのは、アルファだよな?』
『そうよ。強化服が停止する前に急いで治療をしなさい』
『停止? 壊れたのか?』
『強化服に残っていたエネルギーをほぼ使い切ったのよ。消費効率は最悪だけれど、一瞬だけ身体能力を限界以上に上げたわ。そうでもしないと、もうどうしようもなかったわ。無理をしたから強化服も故障しているかもしれないわ。それは後で調べないと駄目ね』
アキラが座り込む。全身に痛みが走っている。特に右足からは激痛がする。
『……右足は、折れてるのか』
『強化服を可能な限り硬質化はさせたけれど、元々装甲目的の機能ではないから限度があるわ。早く脚を治療しないと歩いて帰れなくなるわよ。急ぎなさい』
アキラがリュックサックから回復薬を何とか取り出す。
『普通に飲めば良いんだよな? 骨折しているからって、肉を切って骨に振りかけるのは嫌だぞ』
『本当にどうしようもない時は、そうするしかないわよ? 今は折れた骨のずれを直してから回復薬を飲むだけで良いわ。ある程度時間は掛かるでしょうけれど、今なら大丈夫でしょう。骨のずれを直すのも私がやった方が良い?』
『……頼む』
アキラの両手が勝手に動き始めて右足を
その激痛にアキラは歯を食い縛って耐えた。その後で回復薬の箱に入っていた残りを全て口に放り込んだ。回復薬の鎮痛作用が痛みを和らげていく中、治療用ナノマシンが自分の右脚に集まっていく感覚を覚えていた。
空になった箱を握り潰したところで先ほどの男と目が合う。リュックサックの中を確認すると、回復薬はかなり少なくなっていた。かなり迷ってから1箱取って男に渡すと、男はそれを一度受け取ってからアキラに返した。そして不思議そうな顔をしているアキラの前で軽く笑う。
「功労者にそんな顔をさせてまでは受け取れねえよ。既に1箱受け取っているしな」
「良いのか?」
「ああ。負傷者は重傷じゃない。安静にしていれば大丈夫だろう」
ハンター達が銃声を聞いて慌てて駆け寄ってきたので、男が叫んで状況を伝える。
「気絶しているだけでまだ生きているモンスターがいた! 頭部が無事なやつを見付けたら、念の
他のハンター達が慌てて警戒を始める。アキラを含めて一度戦闘は終わったものだと考えてしまった
キャノンインセクト達の襲撃を退けたハンター達は再び救援待ちの状態となった。
アキラは負傷を理由に休憩を取っていた。他のハンター達は周辺の警戒を続けている。一人だけ休んでいるアキラに文句が出ないのは、彼らがアキラの働きを認めているからだ。
アキラは次の戦闘の準備をしていた。また戦闘があるとは思いたくないが、世界はアキラの希望など考慮しない。ならば備えるしかない。
強化服がただの重い服になる前に動力源のエネルギーパックを取り替える。AAH突撃銃の弾倉を交換して装弾数を最大にする。予備の弾倉を体に
アキラがリュックサックの中を
『……減ったなぁ。帰ったら弾薬もちゃんと補充しないと。……報酬、ちゃんと出るよな?』
アルファが笑ってアキラを元気付ける
『あのバイクが幾らかは知らないけど、
『そうか? そうだよな』
アキラはそれで無理
日が落ち始めた頃、待望の救援がハンター達の
救援部隊が移動不能のトラックを
「よおっ! 生きてたか! 他の連中に聞いたぞ。随分
絶対死んでいると楽しげに言われたアキラが僅かに顔を
「……バイクが
「そりゃよかった。お前にバイクを渡した
「そうだ。俺が受けた緊急依頼はどういう状況になれば終わりなんだ? 彼らが都市に戻るまでか?」
「おお。そうだったな。ちょっと待ってろ」
キバヤシが情報端末を取り出して操作する。
「よし。お前の緊急依頼の完了手続を済ませた。もう好きにして良いぞ」
「終わりなのか? 帰るまで彼らを護衛とかしなくても良いのか?」
「ああ。俺達がここに来たのは、また別の救助依頼としてだからな。クズスハラ街遺跡から出現したモンスターの群れは都市の防衛隊が排除した。既にその緊急依頼は完了済みだ。そっちの用事が済んだから他のハンターの救助に人員を割く余裕が出来たんだよ」
「ああ、そういうことか」
「何ならついでにこの救助依頼も受けていくか? 受けるなら俺がこの場で手続をしてやるぞ?」
アキラが疲れた顔で首を横に振る。
「……いや、受けた依頼が終わったのなら先に帰るよ。弾薬も随分消費したし、何より疲れた」
「そりゃ残念だ。帰りにまた何かあれば、お前の無謀ぶりを間近で見られると思ったのにな」
「……勘弁してくれ。じゃあ、俺は帰る」
「気を付けて帰れよ? 死ぬ時は派手な無理
アキラは随分上機嫌なキバヤシの態度に更なる疲れを覚えて軽く
楽しげにアキラを見送ったキバヤシに別の職員が報告に来る。
「キバヤシさん。戦歴評価用データのデータ移行が終わりました。破壊されたトラックの損傷は駆動系に偏っていましたので、データ収集自体は比較的問題なく行われていたようです。ただ、一部妙なデータが含まれていましたが……」
「妙なデータ?」
「何というか、ハンターの1人が変な挙動というか、
報告を聞いたキバヤシが吹き出した。楽しげに笑いながら指示を出す。
「他のハンター達から話を聞いて誤データかどうか確認しろ。いや、俺が聞いて回る。誤データと判断して勝手に消すなよ? ああ、そのデータは俺宛てにも送ってくれ。後で俺も確認する。俺が荷台で他のハンターから話を聞くから、お前は移動の準備が済み次第部隊を出発させろ」
「分かりました」
職員が移動の準備に戻っていく。キバヤシが楽しげに
「……あいつ、データ異常を疑われるほど暴れてたのかよ。良いね! こんな
キバヤシはどこまでも上機嫌だった。
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