第7話 犬人族
他の種族を探しに行こうにも、場所がわからないとどうしようもない。
チゲババが言うには、犬人族は川沿いに住んでいるらしく、その他の種族はどこに住んでいるかわからないらしい。
犬人族だけでも分かれば今のところ十分だな。
だがここで、問題が見つかった。どうやら普段ノーヴァ村が使用している川ではなく、不可侵の森内にある川らしい。
「あの森で大きな牙が生えているでかい獣に襲われたんだ……」
「それはデビルファングウルフといって、不可侵の森の主と言われている。よく逃げ延びる事が出来たな。悪運だけは強いようだ。」
ゼノビアに言われて、とんでもない奴だった事が判明した。
しかし、デビルファングウルフは不可侵の森最深部に生息しているらしく基本的には村付近には出没しないらしい。不可侵の森は最深部に強力な魔物が集まるらしく浅い部分には生存競争に敗れた弱い魔物が生息しているため安心らしい。
それを聞いて安心した。
とにかく思い立ったらすぐ行動だ。
今日中に犬人族を探しに行こう。
捜索隊のメンバーは俺、リノアさん、ゼノビアの3人で行くことになった。
村長と村長補佐が村から出ていいのかと聞いたら、特に問題ないらしい。
「おい、もしもの時の為にこれを渡しておく」
ゼノビアから剣を渡されたが、そもそも剣とか扱った事ないからいらないと答えたがとりあえず持っておけと無理矢理持たされた。
不可侵の森に入ると、事前に言われていたように強い魔物が出てくる事もなく、すべてゼノビアが対処した。
しばらくすると、川沿いに小さな集落が見えた。
「あそこが犬人族の集落みたいだな。どうする? 正面突破で行くか?」
「ダメだ……正面からいくと下手に刺激してしまう。」
悩んでいると、横から石が飛んできた。
俺はいち早く気づき、ゼノビアの頭を掴んで前方にダイブした。
素早く起き上がり、飛んできた方向を見ると耳と尻尾が生えている男が立っていた。これが犬人族か……なんか思っていたのと違うな。
「貴様ら何者だ」
犬人族は警戒しながらこちらを見ている。
「まて、俺らに……」
「私はノーヴァ村村長補佐兼剣士のゼノビアだ、敵対するのであれば切り捨てる。覚悟しろ」
おいぃぃーーー
なんて事してくれてんだよ。こいつ絶対ポンコツだ。
犬人族とゼノビアは一定の距離を保ち向かい合っている。
勝負は一瞬で決着がついた。
犬人族は1歩で距離を詰め、対応したゼノビアの一振りをかいくぐり、腹部に一撃を入れた。そのままゼノビアはうずくまってしまった。
ゼノビアって弱いんだな。って言ってる場合じゃないな……
犬人族は次の標的を俺にしたらしい。俺に目線を向けている。
「まぁ待て、こいつの失礼は詫びる。だから話し合おう」
犬人族は聞く耳をもっていないらしい。1歩で俺との距離を詰める。だけど思っていたほど早くない。犬人族はよほど人族を舐めているのか何の捻りもなく、真正面から殴りかかってくるがそれよりも早く犬人族の両腕を押さえる。
「本当に待ってくれ。話を聞いてくれ」
犬人族は人族にとめられたことに驚きを隠せない表情をしている。
「とにかく落ち着いてくれ……」
「私達はあなたの敵ではないです」
ゼノビアを介抱しながらリノアさんは必死に問いかける。
「分かった。話を聞こう、お主に勝てそうにないしのう」
犬人族は警戒をといてくれたようだ……
俺とリノアさんは犬人族と話をはじめた。
異世界転生したら、底辺の村に身を置くことになった!! 三嗣 @toyohari8228
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