第5話 現状を知ろう
異世界に転生して2日目を迎えた。
昨日の夜、思った事がある。そう! チートだ!
「ステータスオープン……」
……何も起きない。
手を平だし唱える
「ファイアー……」
……何もでない。
他にも色々試したが何も起きなかった。
「まぁ……もとから期待してないし……」
幸先不安になってきた。
そうこうしているうちにリノアさんがおこしにきた。
「おはようございます。よく眠れました?」
「おはようございます。おかげさまでよく眠れました」
軽く挨拶をかわすと、ゼノビアも合流し朝ご飯を食べた。
朝ご飯は、スープと川魚? を焼いたものだった。昨日も思ったがこの世界の料理は味が薄くスープには、クルミみたいなものが入っているだけなので非常に味けがない。
食べさせてもらっているだけでありがたい事なのだが……
食事を終えると、服を着替えさせられた。前村長の衣類が残っているため貰う事ができた。
着替え終わり、村の広場に行くと村人が集まっていた。
「今日からこの村に住む事になったタダシさまです。タダシさまは記憶をなくしさまざまな事を把握していないため、みなさまどうかお助けください」
ざわざわしているものの、あまり関心がないのかすんなりと受け入れられた。
その後、リノアさんとゼノビアに連れられ村を回った。食文化は朝ご飯を食べて思ったとおり、基本的には森近辺の木の実拾いと川へ魚と水をとりにいく。少しだけ家畜がいたが冬の備えとしているのだろう。あとは小さい畑があるぐらいだった。
たぶん村人は今日を生きるので精一杯なんだろう。人口が少なく自国と交流出来なければそうなるよな……
色んな問題点があってどこから手をつければいいか混乱している。
俺は思いきってリノアさんに聞いてみた。
「リノアさま……」
「リノアでいいですよ」
「わかりました。じゃあ俺もタダシでお願いします。改めてリノアさん。リノアさんは村をどのような村にしたいですか?」
少し困ったような顔をして答えてくれた。
「前村長であり私の父でもあったグリードは、異種族を大変嫌っていました。この村では父に武で叶う者はいなかったため、誰も反論する事はおろか意見を言う事も出来ませんでした。それでも何とか村を維持した父の行動は正しかったのかもしれません。ですが、何かを変えなければ今までと同じ暮らしをするだけです。まずはいなくなってしまった方達に謝りたいです。そして出来る事ならこの村に戻ってきてほしいです」
そんな思いを抱えていたのか……
昨日は最悪なタイミングだと思ったがそうじゃないかもしれないな。
「俺に協力させてくれないか」
正義感と言えば聞こえはいいが、こんな過酷な村の村長に、若くしてなった彼女を素直に支えたいと思った。
「本当ですか? よろしくお願いします」
すこしテンションが上がった彼女の目は涙目に見えた。
「リノアさま、こんな男よりも私がリノアさまを支えてみせますよ!」
せっかくいい雰囲気だったのにゼノビアの横やりがとんできた。
「もちろん! ゼノビアも頼りにしています」
さあ、やることは決まった。後は行動するだけだな。
やっと現実を受け止め、この村で生きていく覚悟が決まったと思う。
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