第3話 村についた
木の上で狼と沈黙のにらめっこを続けること数時間、最初は勢いのあった狼もあきらめてどこかに行ってくれた。そもそも日本の狼は群れで行動するから、一匹でよかったと心から安堵した。
完全に狼の気配がなくなった事を確認した後、木から降りとにかく歩いた。
薄々気づいていたが、ここは地球ではならしい…
俺はそんな事を考えながらひたすら歩いた。
しばらく歩くと、森を抜けた。
森を抜けると見知らぬ光景が広がり、村? のような集落を発見した。
「やった。村だ」
迷うことなく、村に向かった。
村に門番はいなく、人の気配も感じない。
恐る恐る、村で一番大きな建物に向かい物陰から中の様子を伺う。30人程の村人が集まりその先に一人の男性が床に伏していた。
村人の視線は、床に伏した男性に集まっている。
様子からすると、男性は村長で息を引き取る寸前なのだろう。
男性につきそう二人の女性に途切れそうな声で最後の言葉をかけている。
「……今日より村長はおぬしだ…村のみんなをたのんだぞ……」
「…ゼノビアよ…リノアの事を頼んだぞ……」
そう言い残し、男性は息をひきとった。
最悪なタイミングで村についてしまった。
そう思いながら、引き続き中の様子を伺う。
「今日より村長グリードの遺言により、私リノアが村長に就任いたします。異議のある方はいますか?」
村人の前で宣言した女性に反論する者はいない。
リノアと呼ばれた女性は遠目から見ると、見たところ17歳~18歳ぐらいの女性に見える。
黒髪、セミロングで身長は160㎝ぐらいだろうか…
「異議がある人はいないようですね…この後、村長を供養するため解散とします」
「今後の村の方針は、追って連絡いたします」
そう言うと村人は解散し、それぞれの住居にも戻っていった。
村人が解散しそうであったため、すぐに見つからないように隠れた。
村人が解散した後、部屋にはリノアと呼ばれた村長と、ゼノビアと呼ばれた女性だけになった。
「リノアさま…これからどうしましょう…」
不安そうにゼノビアと呼ばれた女性はリノアの話かけた。
ゼノビアと呼ばれた女性は、リノアより少し年上で身長170㎝ぐらい、金色の髪にややショートカットの髪型だ。
「この村は良くも悪くも父によって統治されてきました。いつかこんな時がくると思っていましたがこれからどのようにみなさんを導いていけばいいのでしょうか…」
二人は村長グリードの死よりも今後の村の運営について不安を抱いているみたいだ。
そんな様子を眺めていると足下に転がっている小石を踏んでしまってた。
「誰だっ!!」
ゼノビアは小さな物音に気づいた。
耳よすぎだろ。
「どうも初めまして……」
俺は、敵意がないことをアピールするために両手を挙げて二人の前にでた。
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