第10話 悲痛な叫び

「女子達はそれをヒソヒソ話していたみたいで。それが聞こえて……。そしてその女子達に聞いて、ユリの家に行って窓を覗いたら、ユリは顔にあざがあって泣いてた……。それに、寝ていた時にお腹の打撲を見て確信したよ……」

「……」

「好きな女の子が暴力を受けてて、それで泣いてて……それを見たら放っておけるわけないだろ!」

「!!」


彼の悲痛な叫びに私の胸は締め付けられた。


彼が私を監禁したのは「私をあの人から守るため」。

私に手錠をつけたのは「私があの家に帰らないため」。


(何も目的がなかったわけではない……。ちゃんと目的があって、私をここに連れてきたんだ……)


「ユリにこのことを言って、ユリがあいつのことを思い出すのが嫌だったんだ……」


(すべては私のためだったんだ……)


監禁されて拘束されて、怖いはずだったのに、私は不思議とお礼を言いたかった。


「あの、ありがとう、ね……?」


(これは叶太なりの優しさで、私を守ってくれたのかな……)


複雑な気持ちが私を支配していた。



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