第12話 暗闇

私は暗闇にポツンと立っていた。


(真っ暗……)


目の前に道があって、それが遠くまで続いていた。左右は真っ暗でこの空間がどこまで続いているか分からなかった。後ろを振り返ると、そこにも道はあって反対方向に続いていた。どちらが正解なのか分からず、少しの間、私は動けないでいた。


「ーー、ーー」


そして、私は前方から自分のような名前が呼ばれていることに気づいた。


(私の名前に似てる……)


とりあえず、私は前へ歩いていくことにした。少しすると、遠くに人が見えた。


(誰だろう? あの人なら助けてくれるかな)


少し近づいて、視界に入ったものに私は凍り付いた。


(……え、ナイ、フ?)


その人は手にナイフを持っていた。そしてそこで顔が見えた。


(……!?!?)


その人は私の夫だった。


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