第6話 理由

「……落ち着けって言ってんだろ」

「は、はい……」


すっかり怯えてしまった私は、思わず敬語になった。


「ここに連れてきた理由は、ユリのため」

「わ、私のため? それってどういう……」

「良いから聞いて」

「ご、ごめんなさい……」

「手錠をつけたのはユリに帰ってほしくないから」

「いや、答えになってないよ……。どうしてそうなのかを教えてほしいの」

「……それを教えることは出来ない」


叶太は淡々と真顔で話した。叶太の話を聞いている中で、私は、あの頃と違いすぎる叶太にだんだん苛立ちを覚えていった。そして私は思わず言ってしまった。


「……どうして変わってしまったのよ……」


小さく言ったゆえに、その言葉の最後はほとんど聞こえないほどだった。なので、叶太には聞こえていないと思っていたが、それは間違っていた。


「は?」

「!?」


言った言葉が叶太に聞こえていたことに気づき、その言葉にゾクッとしてから、私は慌てて謝ろうとしたが、それはすでに遅かった。次の瞬間、私は叶太に押し倒されて両手首をベッドに押さえつけられてしまったのだった。


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