第6話 理由
「……落ち着けって言ってんだろ」
「は、はい……」
すっかり怯えてしまった私は、思わず敬語になった。
「ここに連れてきた理由は、ユリのため」
「わ、私のため? それってどういう……」
「良いから聞いて」
「ご、ごめんなさい……」
「手錠をつけたのはユリに帰ってほしくないから」
「いや、答えになってないよ……。どうしてそうなのかを教えてほしいの」
「……それを教えることは出来ない」
叶太は淡々と真顔で話した。叶太の話を聞いている中で、私は、あの頃と違いすぎる叶太にだんだん苛立ちを覚えていった。そして私は思わず言ってしまった。
「……どうして変わってしまったのよ……」
小さく言ったゆえに、その言葉の最後はほとんど聞こえないほどだった。なので、叶太には聞こえていないと思っていたが、それは間違っていた。
「は?」
「!?」
言った言葉が叶太に聞こえていたことに気づき、その言葉にゾクッとしてから、私は慌てて謝ろうとしたが、それはすでに遅かった。次の瞬間、私は叶太に押し倒されて両手首をベッドに押さえつけられてしまったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます