第6話 現代魔術師、2人目の弟子をとる
「セイラ殿には、信頼出来る者に魔法を教えて宮廷魔法師にさせてくれないか?」
星羅は王様に、ある意味厄介事を押し付けられていた。
が、
「わかりました。やりましょう」
星羅は速答。
元々、チャロに魔術を教えると約束していたし、王様のお願いも叶えられると、一石二鳥だからだ。
「本当か? 断られると思っていたが」
「何でですか?」
「2つほど理由があるが、1つ目はさっきから断られまくってるから」
「嫌だから断るのは当然」
「2つ目に、魔法使いたちは皆、他の人に教える事を嫌うからな」
「なるほど」
教えるイコール手札を見せるになるからと納得する。
星羅はバシバシ固有魔術を使いまくっているが、ここは異世界だから気にならない、という考えだ。
「そうだ、国王」
「ん?」
「魔法国家ユリエーエって例えばクジュラよりも強い魔法使いがいますか?」
「セイラ殿はユリエーエに行ってしまうのか?」
「はい。色々な国に行ってみたいので」
「そうか」
王様は目に見えてショボンと落ち込んでいる。
「では、お話は以上のようなので失礼します」
「まぁ、待て。先に誰を弟子にするか聞かせてくれ。まだ決まってないか?」
「いえ、決まってます。宮廷魔法師見習いのチャロ・ルースターを弟子にとります」
「そうか。不便が無いようにできる限りの事はしておこう」
「ありがとうございます。では」
星羅は魔力でチャロの居場所を探してそこに向かう。
途中、早くも宮廷魔法師を決めるお祭りがやることを噂され始めていた。
「チャロ、いる?」
星羅は魔法練習場に、チャロ専用の練習場にやって来た。
「セイラさん! あの時は気がつかなかったですけど、あの魔法はセイラさんですよね?」
「あぁ、そうだよ。あの時の、チャロの、私凄いでしょ(ドヤッ)が、面白かったよ」
星羅は笑いながら軽く馬鹿にする。
「ば、馬鹿にしないでください! あの時は……そう、興奮していたんです」
「わかったわかった。で、チャロは聞いてるか?」
「何をですか?」
「宮廷魔法師を決めるお祭りがあることを」
「そ、そうなのですか!」
チャロは目をキラキラと輝かせている。
これは宮廷魔法師になれる可能性がある事に対するキラキラなのか、お祭りに対してのキラキラなのか……。
「で、今日からチャロは俺の弟子だ」
「そ、それは本格的に魔法を教えてくれるんですか?」
「あぁ、まずは……五大元素で魔法を使えるようにしよう」
「五大元素ですか?」
「五大元素はその名の通り5つの属性がある。火、水、土、風、雷の5つだ」
「雷……まさか」
「そのまさかだ」
この世界だと雷が使えるだけで幅が広がる。
と、言うよりもこの世界の住人が雷に対応出来ないという感じ。
「痛いかもしれないが少し我慢しろよ
“‘’小さな雷 《red saghir》’”」
バチバチッと紫色の雷がチャロの体を打つ。
「い、痛いです……でも、なんだか少し気持ちいいような」
「えっ?」
チャロの思わぬ言葉に星羅は集中力を切らして魔術を止めてしまう。
そのチャロの顔があまりにも色っぽく写ってしまったからだ。
「ま、まぁ、今の感じで魔術を使ってみろ。式句はそうだな……
“‘
星羅は魔力で☆を描き、左側が強く光る。
そして、バチバチと音をたてながら紫色の雷が発生する。
「いいか? 今の陣を覚えて、魔力で描く。そして式句にも魔力を込めれば自然と出来る」
「わ、わかりました」
チャロは目を瞑り「んー」と唸っている。
すると、ふにゃふにゃの星が完成して、
「“‘雷法・紫電’”」
星は爆発してチャロは気絶してしまった。
魔力が安定してなく暴発した。
「精霊の力に頼りすぎだな」
精霊は魔法を使う手助けを、魔力を安定させる手助けをしてくれる。
が、その場合、精霊に縛られてしまう。
精霊に縛られるばっかりに4つの属性しか使えず、他の物を動かすだとかの直接作用させる事が出来ない。
「“‘水法・
指の先にビー玉くらいの水の塊が現れる。
それをチャロのおでこに向けて、少し威力を落として撃ち出す。
「いてっ」
「起きたか」
「私は?」
「まだ不安定だ。今まで精霊に頼り過ぎてたからな」
「も、もう1度」
またも「ん~」と唸りながらふにゃふにゃの星を作り出す。
「まだ不安定」
「んーー」
「まだ」
「ん~~」
「まだ」
「んーーー」
「まだ」
「ん~~~」
「よし」
そして、
「“‘雷法・紫電’”」
バチッと一瞬だけ小さな雷を発生させた。
「で、出来ました!」
「それでいいのか? 一瞬だったけど」
「こ、これからです。これから上達するんです」
「そうか。まぁ、チャロの場合は雷が相当苦手らしい」
「な、何でわかるんですか?」
「そうだな。この☆の陣は上から火、右が土、右下が風、左下が水、左が雷となっている」
「そうなんですか?」
「そうなんです。で、チャロの場合は雷の場所である左が極端に短い。逆に上の火と左下の水の場所が長いから、そっちを鍛えれば上達するよ」
「残念です。せっかく、せっかく雷を使えると思ったのに」
星羅の場合、どれも同じくらいだが、強いて言うなら雷が1番の得意属性だ。
「多分、普通の魔法より式句が短いからその分早く撃てるって考えればよくないか?」
「そ、そうですね! 他の式句も教えてください!」
「はいはい」
星羅は全体的に式句を教える。
少しだけ、火と水を多めに。
※
「ど、どうですか?」
外は薄暗くなり始めた。
「うん。いいんじゃないか? まさか、こうも簡単に出来るとは思って無かったが」
星羅でも、魔術を使えるようになるまで相当な時間を有した。
ざっと1週間。
それと比べると早く、元々魔法が使えたという要因もあるだろう。
「期限まで後、1週間あるからそれまでは使うなよ?」
「なんでですか?」
「手の内を見せたら対策されかねないからだ。いい? チャロは宮廷魔法師になりたいんだよね? なら勝つために貪欲にならなきゃ」
「なるほど! わかりました。絶対に魔――――」
――――ガダンッ
急に扉が開いて1人の男が入ってくる。
服はチャロと同じく宮廷魔法師見習いの制服で、
「おい、お前。面白い魔法を使えるようになったんだな。教えろ!」
その男はチャロに
男の後ろに「デデンッ」と文字が浮かび上がりそうなほど上から目線で。
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