第3話 違和感
次の日、学校に行くと私は違和感を感じた。みんなと目が合う。
(私を見ている?)
違和感を感じながら学校は終わった。帰り支度をして教室を出て、廊下を歩いていると、三人の男の子たちが私の前に立ちはだかった。全く知らない人だ。
「あの、すみません。通してく……」
「おい」
心臓の脈打つ音が聞こえた。
「は、はい」
恐る恐る返事をしてみる。
「お前、翼裂けているらしいじゃん?」
「え?」
(どこからそんな情報がバレたのだろう? まさか、昨日家に来た友達が?)
「見せろよ」
すると男の子たちは私のはおりものを引っ張り出した。
「や、やめて下さい!!」
脱げないように必死に抵抗する。
「せーの!!」
掛け声に合わせて男の子たちは一斉に私のはおりものを引っ張った。必死に抵抗したのも叶わず、はおりものを取られてしまった。
「あっ!!」
「うわ、ほんとに裂けてる!」
「まじだぞ、こいつ」
(どうしようっ!!)
男の子たち以外にもみんなが、まるで「自分たちとは全く異なるもの」を見るような目で私のことを見ている。私は怖くなって逃げ出した。男の子たちを突っ切って逃げようとしたが、腕を思いっきり掴まれてしまった。
「どこ行く気だ?」
「は、離して!」
(だめだ、全く力が及ばない)
「まだまだ、お遊びは終わらないぞ」
すると、二人に翼を、一人に髪を掴まれ引きずられた。
「あぁ!! 痛い痛い!! や、やだ、やめて!!!」
叫んでも一向に聞く耳を持っていない。どうにか助けてもらおうと、声を振り絞って叫ぶ。
「せ、先生!! 誰か! 助け、て!!」
先生は来ない。どうして誰もいないのか? 生徒も、誰も助けてはくれない。目を合わせようとしても誰も合わせてくれなかった。
(う、うそでしょ)
絶望感に浸っていると、昨日訪ねに来た五人が見えた。この五人ならもしかしたら助けてくれるかもしれない。私はほんの少しの希望にかけて叫んだ。
「〇〇! 〇〇! 助けて!」
二人は振り向いた。
(良かった、助けてくれる! え……?)
二人は振り向いて私をちらりと見てから、見なかったふりをした。
「ちょっと、ねぇ!」
五人の背中がどんどん遠くなっていく。髪や翼の痛みも増してきた。頭がぼーっとしてきた。もう叫ぶ力も出ない。私はそのままなす術もなく引きづられていったのだった。
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