第2話 秘密
コンコンッ
朝、ドアが叩かれた音とともに目が覚めた。家族はいない。きっと仕事か買い物か、どこかへ出かけたのだろう。誰だろうと思ってドアスコープをのぞいてみる。五人の友達が立っている。急いではおりものを着て、ドアを開ける。
「おはよう!」
「おはよう。どうしたの?」
「私たちね、これからサーカスにいくの! 良かったら一緒に行かない?」
今、町には移動サーカスが来ている。ずっと行きたいと思っていたが人気なのでチケットがなかなか取れないでいた。こんなチャンスめったにない。でも……。
「行きたいのはやまやまなんだけど、家族なしで出かけちゃダメなの。だからごめんね」
「行きたいならいいじゃん! 行こうよ!!」
「そうだよ、行こ!」
「家族が戻ってくる前に家に帰ったら問題ないよ」
すると、みんなは私の服を引っ張り始めた。
「ちょっと、やめて!」
やばい、バレちゃう!
「いいじゃん、行こうよ!」
「行こ!」
バサッ!!
「あっ!!」
「え?」
「きゃーー!!」
「待って! 行かないで!!」
友達は走り去ってしまった。
「どうしよどうしよっ!! バレちゃった!!」
ドアを閉めてその場に座り込む。絶望に浸っていた。帰ってきた家族をそれぞれ玄関で迎えてから家族にすべて話した。家族は怒らなかった。びっくりした。死ぬほど怒られると思っていたからだ。
「ちゃんと断ったんじゃない。あなたは悪くないのよ」
母はそう言った。その言葉にとても救われた。
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