第17話 風の里

 遥と拓也はミドラル城の前に広がる平原を北西に向け高速で横切っていた。

「拓也、何か電子音がするけど……」

 突然、始まった電子音の様な音楽に遥は拓也に聞いた。

「あー、あれは平原に居るレーザー砲台がこちらをロックオンした時に流れる音楽だね」

 その瞬間、右の平原から赤いレーザービームが二人に向かって放たれた。

 そして二人の後方で大きな爆発が起こった。

「外れた……。拓也、まだ音楽鳴っているわよ。まだ、狙われている?」

 遥は首を左右に振って平原を見渡している。

「大丈夫。レーザーは照準した場所にしか届かないから、高速で動いている時は当たらない」

 その瞬間二発目のレーザーが後方で爆発した。

「でも、どうして。ここは中世の世界なのにレーザー砲台があるの?」

 遥が「おかしいよね」と言っている。

「まあ、中世と言ってもゲームの世界だから何でもありって事かな。あのレーザー砲台は体力が無い最初の頃は出会ったら確実に死んでしまう鬼門なんだ。ゲームを難しくする工夫って所かな……」

 遥がフーンと言っていると、音楽が止んで、また静かになった。

「平原の向こう、北西に高い山があるわ。雪を被ってるけど、風の里は何処にあるの?」

 遥は前に見えて来た、雪を被った山脈を見て拓也に聞いた。

「風の里はあの山脈を越えた先さ」

「あの山、結構高いけど、私の力で超えられるの?」

 今の高度では山の中腹にぶつかってしまう。

「大丈夫、魔法族の飛行能力はこの世界の上限までカバーしている。ただし……」

「ただし、何?」

「あの山脈はラブライ山脈と言う名前だけど、あの地域は山の麓でも氷点下だ。このゲームは寒すぎる場所に行くと体力が減って行くんだ。あの山脈を越える場合、頂上は氷点下三十度だから、一気に体力が奪われることになる」

「えっ? それじゃ、どうするの?」

「いくつか対策がある。一番簡単なのは防寒着を装備する事。持っていればね。もう一つはポカポカの薬を飲むこと、後はたいまつに火を付けて持っておくことかな……。メニューを捲って服の装備をチェックしてみて」

 そう拓也は言うと自分もメニューを開いている。

 遥もメニューを開いて服の装備を確認した。魔法族のいくつかの服のオプションがある。あと……。

「何、これ?」

 なんと水着と言う服のカテゴリーにワンピースやビキニの水着がある。(水着を何処で使うの??)と思いながら、遥は他の服のオプションを探したが、防寒着は見つからなかった。

 拓也を見るとフードが付いたともて暖かそうな服をいつの間にか装備している。

「遥、防寒着は有ったかい?」

「無かったわ。水着はあったけど。大体、水着何てどこで使うのよ!」遥は口を尖らせている。

「そうか、俺、ポカポカの薬持ってたから、これ使って」

 と言って、拓也が遥に小さな薬瓶を渡してくれた。遥はありがとうと言って、その瓶の中身を一気に飲んだ。確かに身体がポカポカして来る。

「それじゃ、遥、高度を上げよう」

 遥はウンと頷き、翼に力を込めた。一気に上昇し、あっという間に雪山の山頂を超える高度に達した。

 確かに空気がとても冷たいが、体力ゲージにはまったく影響なかった。


「遥、ほらあれ見えるかい。あそこが風の里」

 山頂を越え、山の向こうの景色が見えて来た。湖の中に島があり、そこに高い塔の様なものが立っている。そして塔の遥か上空に大きな星型の飛行物体が飛んでいる。

「あの島が風の里だ。そして高い塔が風の塔だ。塔は高層構造になっていて、一番上におさが住んでいる」

 遥は頷いた。

「そして、この里の厄獣はあの空にある要塞ドマーロの中に居る。ただし、あの要塞に直接行っても魔法の鍵が無いと入れない。風の里のおさから指示を受け、あるタスクをクリアするとおさから魔法の鍵を譲り受ける事が出来る。だから、まずはおさに会う為に塔の最上階に行こう」

 遥は分かったと言い、目的地を塔の先端に合わせ、ゆっくり高度を下げて行った。

 風の塔に近づくとその構造が少しずつ見えてきた。

 塔は真っ白で六角形の形状をしており、先端に行く程、細くなっている。その構造体の外側を螺旋状に外階段が頂上まで伸びている。また塔には沢山の窓の様な穴が開いている。そして、何かが塔の周りを飛んでいるのが見える。

「あれは……魔法使い?」遥が呟く。

「そう、ここは魔法族が住む里さ。飛んでいるのは遥の仲間だね」

 そして、塔の屋上に二人は着地した。前方に外階段の降り口が在り、二人はその階段を左周りに降った。塔を一周した所で、踊り場の様な広い場所に出て、そこに木製のドアがあり、拓也はそのドアをノックした。

「入りな」

 ドアを開けると、中は三十畳程の広い部屋で、壁も床も真っ黒な光沢だ。中央に台座がありそこに老婆が座っている。その風体はオズの魔法使い出てくる悪い魔女そのもので、緑の皮膚に黒いとんがり帽子、真っ黒なワンピースの服に真っ黒なマントコートを羽織って、手にはほうきを持っている。

「お前は遥だね。その隣の男は何者だい?」

 二人を見て、その老婆が声を上げた。

「おばあさん、初めまして。何故、私の名前を?」

 遥がその老婆の前に歩み寄り頭を下げた。

「ふっふっふっ……。私は全ての魔法使いのおさだからね。お前の事は勿論知っている。その男はミドラル族の勇者だね。名前は?」

 拓也は老婆の前で片膝を突いて頭を下げた。

「ミドラルの剣士、拓也です。初めまして。風の里のおさ、ズリラー様。私共は風の試練の挑戦に参りました」

 それを聴くと、老婆は台座から立ち上がり、頭を下げている拓也の前に歩み寄った。

「拓也か……。話は聞いているぞ。だが風の試練は翼を使った試練だ。お前は翼を持っていないが……」

「はっ! 中層のヨロズ屋で人工翼を購入して挑みます」

 老婆が「フン」と鼻を鳴らした。

「あれは高価な割に性能が低いからな。試練をクリアする難易度は計り知れないぞ……」

「理解しております。それでも挑戦する価値はあると考えております。是非、試練への挑戦の許可をお願い致します」

 老婆は少し考えていたが、うんと頷いて、ほうきの柄で床をトントンと二回叩いた。

 その瞬間、黒い光沢の床が一瞬で消え去った。遥は翼で身体を支えたが、拓也を捕まえる事が出来ず、彼は一瞬で真っ暗な階下へ落ちて行った。

「拓也!!」

 老婆はいつの間にか黒い翼を背中から伸ばし、遥の前に浮いている。

「二十メートル下へ落ちただけだ。あやつはミドラルの勇者だろ。問題なかろうて。さて、試練は階下で始まる。お前も勇者と一緒に試練に挑戦するのだろう。さあ、早く階下へ。そこにある試練の許可証ライセンスを取るが良い」

 遥は頷いて、老婆を見て言った。

「おばあさん、ありがとう。挑戦の機会を与えてくれて。必ずクリアして見せるわ」

 老婆がまた「フン」と言った。

「成功するかどうかはお前達次第だから。何れにしろ試練をクリアしたら、また戻って来るが良い。お前達に必要な物を授けよう」

 遥は「分かりました」と言い、拓也を追って階下へ降りて行った。

 遥が階下に降りて行くと、一瞬で真っ黒だった視界が開け、急に明るくなった。見下ろすとそこは広場になっている様だ。大きなガラスの無い窓が全周に開いており、外の光が差し込む空間は、先程のおさの部屋と対照的に明るく、暖かい雰囲気に包まれていた。

 遥は既に着地していた拓也の横に舞い降りた。

「拓也、大丈夫?」

「ああ、ビビったよ。突然、床が抜けるんだから。着地の衝撃で体力ゲージを三個も失ってしまった」

 拓也が「まったく」と言っている。

「これからどうすれば良いの?」

「あそこに宝箱が見えるだろ。あれに試練の許可証ライセンスが入っている。それを持って受付するんだ」

 そう拓也は言うと、宝箱に近づき、思い切り蹴った。宝箱が眩く光ると『ガキッ』と言う音を立てて開いた。

 そこには見慣れない言語で文字が書かれた黄色の革が二枚入っている。

「これが許可証ライセンスさ」

 そう言うと拓也はその二枚を手に取り、一つを遥に渡し、一つは自分の鞄にしまった。

「さあ、俺は翼を買わなければならないから、中層に降りよう」

 拓也のその言葉に遥は頷くと、再び拓也の手を握り、広場の地面から浮かび上がった。そして、窓の一つから外へ出ると、塔の周りを旋回しながら下降していく。

「あそこだ」

 拓也が指差す塔の中層には、先程の四倍はあると思われる大きな広場があり、たくさんの魔法族の姿が見える。遥はその広場に拓也と一緒に降り立った。

 そこは市場の様だった。食料品、雑貨、武器、様々な物を取り扱っている店が所狭しと並んでいる。拓也はその中央の店に向かった。

「ようこそヨロズ屋へ。お売りになりますか? お買いになりますか?」

 そこに居る店主が二人に声を掛けて来た。

「後ろにある翼を買いたい。売ってくれるか?」

 店主は後ろを振り返り、ニンマリと笑って拓也を再び見た。

「お兄さん、あの翼は特別な逸品だ。残念ながら非常に高価だから、お買い上げになられるのは難しいと思いますよ」

「いくらだ?」

「五百五十万クレジットですが……。お支払いするのは無理と思いますよ」

 拓也は「フン」と言い、メニューを開いて、購入ボタンをクリックした。拓也の財布には九千九百九十九万クレジットが入っているので、購入には何ら問題ない。

 その瞬間、店主の後ろにあった翼が消え、拓也の背中に灰色の翼が装着された。

 店主が「えっ?」と言っている。

「これは、若いからと言って侮ってはいけませんでしたね。御購入ありがとうございます。またのお買い上げをお待ちしております」

 店主は拓也に深く頭を下げた。

 拓也が遥を振り返ると「さあ行こうか」と言い広場の外に向かった。

「拓也、その翼、お婆さんは性能が低いって言っていたけど……」

「そうさ。遥の翼は魔法族の本物だから、旋回や加速も頭で考えるだけで自由自在だ。でもこの翼は頭で考えた動きから若干タイムラグが発生するから、先読みをしながら飛ばないといけない。また耐久力にも制限があるから、ある飛行時間を経過したら、壊れてしまう」

「フーン」と遥が言っている間に、拓也は広場の端に到着するとそこから飛び降りた。

 遥が見ていると、拓也は少し振ら付きながら右へ左へ旋回していたが、少し経つと安定した様に飛び始めた。遥も広場からダイブした。直ぐに拓也に並ぶ。

「もう慣れたみたいね。流石……」

 遥は拓也に言った。

「このチャレンジは、もう五回目だからね。Twoのサポートもあるし」

 遥は頷いて拓也に聞いた。

「風の試練はどこにあるの?」

 拓也が右前方を指差す。

「湖に島があるだろう。あそこに祠があって、その中に試練が在るんだ」

 そう言うと拓也は右に旋回して、その島に向かって行った。


 島の祠の前に着地した二人は、祠の入口に向かった。

 そこに門番様な魔法族の男性がほうきを持って立っている。

「ここは特別に許可を受けた者しか入れない試練の祠だ。お前達の様な奴が来るべき所では無い。帰れ!」男が二人に向かって叫んだ。

 拓也がメニューを捲り、許可証ライセンスを取り出した。遥も同様に手に許可証ライセンスを持った。

 途端、門番の男の態度が豹変した。

「拓也様、遥様ですね。お待ちしておりました」

 と大きく頭を下げる。

「それでは試練の扉が開かれます。そのままお待ちを」

 祠の入口にある金属のドアが、ゆっくり上方にスライドしていく。

「それでは、行ってらっしゃいませ。ご武運をお祈りしております」

 そう言うと二人は再び大きく頭を下げた。

 拓也と遥がそのドアを抜けると、後方でドアが閉まり始めた。

 その先は下に降りる階段が続いている。

 ゆっくり降りると広場の様な場所に出た。その先は薄暗い洞窟が広がっている。

「遥、この風の試練の概要を説明するね。風の試練は、この洞窟を高速で飛行し、祠の最深部に居るぬしを討伐する挑戦だ。洞窟内の飛行は三つの課題がある。一つは、非常に狭く、強い風が吹き荒れる曲がりくねった通路を高速で飛ばなければ行けない。壁に接触したらゲームオーバーだ。また、各チェックポイントを制限時間内に通過しないとこれもゲームオーバーだ。そして、ぬしは複数の首を持ち、その攻撃をかわしながら、奴の全ての目を矢で射抜かなければいけない」

 遥は頷いた。これは思った以上に難しそうだ。

「メニューのマップを開いて、洞窟内の経路を良く頭に入れておく事。各チェックポイントを迄のカウントダウン表示に注意する事。こんな所かな」

「拓也はその性能の低い翼で大丈夫なの? 操作にタイムラグがあるとしたら、狭い洞窟を上手く飛べないんじゃない?」

 遥が心配して拓也に聞いた。

「大丈夫。コースは完全に覚えているし、タイミングも分かっているから……」

 その言葉に遥が大きく頷く。

「それじゃ、俺が先に行くね。俺のチャレンジが終わったら、右上のシグナルがグリーンに戻るから、そしたら試練を開始して。頑張って。ゴールで会おう」

 そう言うと拓也は広場から飛び出し、洞窟の中に滑空して降りて行った。

 右上のシグナルがレッドになった。


 遥は、メニューのマップを開き、洞窟内の経路をシミュレートしていた。結構、複雑な経路だ。チェックポイントは三つ。時間内に越える為には相当なスピードで飛ばなければいけなさそうだ……。

「拓也は大丈夫かな……?」遥はレッドのシグナルを見上げながら呟いた。

 その瞬間、シグナルがグリーンになった。

「拓也、もうクリアしたの……? 凄い。それじゃ、私も」

 遥はそう言って、広場から飛び出した。


 降下していくと、段々と洞窟が狭くなってくる。そして直径2メートル程の小さな経路となり、上下左右へ曲がっている。所々に岩や鐘乳石が尖って飛び出している。

 それを避けながら遥は飛行していた。前方にカウントダウンが表示されている。

「えっ? あと十秒?」

 よく見るとその先に、チェックポイントがあり、そこのドアが上から降りて来ている。

「まずい!!」遥はそのドアが閉まり切るギリギリで通過した。

 やっと最初のチェックポイントだ。

 その先は、下方に川が流れている。突然、左に急激に経路が曲がった。遥は翼を左に傾けながら、壁際ギリギリを旋回した。その時、上方から物凄い突風が遥を襲った。一気に、身体が下降し、あと数センチで川に叩きつけられる所だった。

 また、カウトダウンが進んでいる。あと八秒。

 次のチェックポイントが見えて来た。その先、川の水位が一気に上がっており、このままでは、チェックポイントの出口が水没してしまう。遥は力を込め飛行速度を上げた。そして水面と天井の間ギリギリを抜けて、二番目のチェックポイントを通過した。

 その先は、下方に溶岩が流れている。洞窟の上下左右から溶岩が吹き出している。その赤い炎をかわし、遥は進んで行く。またカウントダウンが始まった。あと九秒。

 前方に溶岩が左右に滝の様に流れ落ちていて、その溶岩の滝の間にチェックポイントの出口が見える。溶岩の滝は勢いを増していて、直ぐにチェックポイントを溶岩の滝の影に隠してしまいそうだ。遥は再び速度を上げると、翼が溶岩に接触しない様に身体を垂直にして、溶岩の滝の間を抜けてチェックポイントの出口に到達した。


 そこは広大な空間だった。下方から叫び声が上がっている。

 見ると複数の首をもたげたぬしが遥を見つけ雄叫びを上げている。ぬしは四つの首を持ち、その各々の頭に大きな目を一つ持っている

 遥はメニューから武器装備を開き、弓矢を選択した。目の前にターゲットのゲージが現れる。

(流石、ゲームの中!)と遥が思っていると、ぬしの首の一つの口から炎が放たれた。

「えっ! マジ!?」避けた遥の右側を炎が通過してしていく。翼の先端が焦げる。

「あいつ、もう許さない」

 遥は旋回しながら、空中で弓矢を構えると、ぬしの一つの首の目を射抜いた。

 ぬしが悲痛な雄叫びを上げた。他の首が凄まじい怒りを纏って、遥に襲いかかって来る。遥はその攻撃をかわしながら、ぬしの足元を潜り、反対側から次の首の目を射抜いた。

「後、二つ」遥の後方から炎が襲いかかる。それを宙返りしながらかわし、三つ目の首を狙う、弓矢がその首の目を射抜いた。

 遥の下方から最後の首が炎を吐いた。その炎を避けながら最後の首に近づき、遥を見つめる大きな目を躊躇なく射抜いた。

 ぬしが断末魔の雄叫びを上げて、倒れて行く。そして、洞窟の天井が大きく開いて、眩しい光が洞窟内を照らして来た。

 遥は空を見上げて、一気に上昇した。


 遥が外に出ると、そこは先程、入った祠の後ろ、島の中央の平原に開いた穴だった。

 平原に拓也が立って手を振っている。遥は拓也の横に着地した。

「拓也、楽勝だったわね」

 遥が笑いながら拓也に話し掛けた。

「でも、本当は、この試練はとても難しいんだ。俺達もTwoやThreeのサポートが無ければ一発でクリアは出来なかったと思う」

 拓也のその説明に遥は大きく頷いた。初めてのゲームの中でも様々動作や操縦をプロ並みに出来るのは、自分達の中にある彼等の力だと言う事は充分理解していた。

「それじゃ、風の里のおさに会いに行こう。魔法の鍵を貰いにね」

「うん」と遥は頷き、二人で島の平原から飛び上がった。


 再び風のおさに会う為、風の塔の頂上付近にあるおさの部屋の前に舞い降りた。前回と同じ様にドアをノックする。

「入りな」同じ声が聞こえる。

二人がドアを開けて中に入ると、おさの魔法使いが箒(ほうき)を脇に抱え、手を叩いている。

「風の試練を二人ともクリアするとは大したものだ。特に拓也、お前は性能の低いその人工翼でクリアした。まったく驚いたわい。それでは望みの物を渡そう」

 いつの間にか、おさの右手に金色の鍵が握られている。

「それが魔法の鍵……?」

 おさがニヤリと笑った。

「そうじゃ、これが要塞ドマーロの扉を開く魔法の鍵じゃ。受け取れ」

 遥はおさの前に歩み寄ると、片膝を付いて、魔法の鍵を受け取った。

「ありがとうございます。使わせて頂きます」

 遥が大きく頭を下げる。

「ふむ、それでは、厄獣の討伐を頼んだぞ」

 遥はハイと言って、拓也と一緒におさの部屋を出た。

 そして上空に浮かんでいる要塞ドマーロを見上げた。

「あそこに厄獣が居るのね?」

「そうだ、四つの厄獣の一つ、ド・クザがね」

 拓也が答える。

「それじゃ、やっつけに行きましょう」

 そう言うと遥は風の塔から飛び出した。

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