第11話 サスペンスワールド

 山崎雅弘は三六歳。長野県松本市にある精密機械企業アキナーイプソンに勤める技術者だった。彼は妻の和美、三歳の娘の真理の三人家族で会社の社宅に住んでいた。また昨年まで家族でアメリカのテキサス州にある現地法人の工場に四年間赴任しており、娘の真理はアメリカで生まれた。

 その日は休日で、家族三人で近所のショッピングセンターで昼食を取って買い物をした。そして帰宅する為、駐車場に停めた自分達の車に向かっていた。

 和美が真理のベビーカートを押して、雅弘が買い物を乗せたショッピングカートを押していた。

 車の横に近づくと、雅弘はトランクに荷物を乗せる為にショッピングカートを車の後ろに運んだ。その間、和美と真理は車の前で待っていた。

 その時、ショッピングモール前の国道から一台のスポーツカーが速度を落とさず駐車場に入って来た。雅弘は遠目でそれを見て危ない運転だなと思っていた。

 突然、真理がカートから飛び降りて、パパが居る車の後ろに廻ろうとした。

 しかし、少しフラついた真理は、速度を落とさず走って来たスポーツカーの前に飛び出す形となった。

「真理!」和美がそれに気付き真理の所に走り込んで彼女を抱きしめた。

 しかし、車はスピードを落とすこと無く二人を跳ねた。

 雅弘はトランクに荷物を載せていた為、その瞬間まで事故に気付いていなかった。

「ガン」、「ドン」、……「キーーッ」

 その音に顔を上げると、スポーツカーが二十メートル程先に停まっており、前に居た筈の和美が見えない。急いで車の前に走ると、そこにはベビーカーのみが残されていて、真理も和美も居ない。

「お母さんと娘さんが跳ねられたぞ!」

 スポーツカーの先で声が上がる。雅弘は急いでその声の場所へ走り込んだ。

 そこには信じられない光景が広がっていた。雅弘の大事な妻と娘が身体を考えられない角度で折り曲げ倒れていた。そしてそこには大きな血の海が広がっていた。

 この日、雅弘は愛する妻と娘を失った。

 深い悲しみに打ち拉がれた雅弘は精神的なショックで一ヶ月以上も会社を休む事になった。また、それに追い討ちを掛ける様な事故報告が警察から届いた。

 事故の原因は、二人が突然車の前に飛び出した事であり、車側は安全速度で走っていて、急ブレーキを掛けたが止まれなかったというものだった。

 雅弘は警察へ意義を申し立てた。雅弘は覚えていた。スポーツカーが駐車場に高速で入ってきた事を。そして、あの時した音、「ガン」、「ドン」、……「キーーッ」は、車が二人を跳ねてからブレーキを掛けたという証拠だ。

 和美達に気付いてブレーキを掛けたが間に合わなかったという運転者側の主張は明らかに間違っている。運転者には速度超過と前方不注意の罪がある筈だと……。

 しかし、雅弘のその主張は一切、受け入れられる事は無かった。

 その運転者、田所拓海は地元出身の国会議員 田所光一の息子であり、光一は地元警察に圧力を掛けて、拓海の罪を揉み消していたのだ。

 あるキッカケで、その工作を知った雅弘は激しい憎悪の炎を燃え上がらせていた。そしてそれが殺意になるのに時間は掛からなかった。

 事故から二ヶ月経ったある日、雅弘は拓海のマンションを訪れた。拓海は何と、あの事故で傷付いたスポーツカー、フェラリー812の弁償を雅弘に求めて来たのだ。

 拓海を殺す事を決めていた雅弘は、その申し出を受け容れて拓海のマンションに向かった。

 彼はパーカーのフードを羽織りマスクとサングラスをしており、両手には手袋をはめていた。そしてマンションの玄関で拓海の部屋を呼び出し、オートロックを解除して貰い、十二階の拓海の部屋に向かった。

 玄関のチャイムを押す。玄関が開くと拓海が顔を出した。

「山崎さん、何だ、その格好は……? まあ良い、金は持って来たか?」

 雅弘が頷くと、拓海は雅弘を部屋の中に導いた。雅弘を先導しながら拓海が言った。

「俺のフェラリー812は日本に二十台しか無い貴重な車だ。それを傷物にしたんだ。四千万円はアンタに取っては厳しいかも知れないが、これも自業自得……、ウッ!」

 拓海は突然、左の背中に走った鋭い痛みに声を上げた。雅弘が包丁を拓海の背中に突き刺したのだ。包丁は雅弘の狙い通り拓海の心臓を貫いた。

「何を……?」そう言いながら拓海は廊下に倒れ込んだ。

 雅弘はその彼の姿を薄笑いながら見ていた。



 拓也はメニューを捲って、今回のファイナルステージで解くべき事件の概要を読み上げた。

「長野県松本市のマンションで殺人事件が起きた。被害者は田所拓海さん二八歳。国会議員 田所光一氏の長男だ。容疑者は山崎雅弘三六歳。二ヶ月前、拓海さんの運転する車で奥さんと娘さんが跳ねられ、二人は亡くなっている」

「でも、容疑者が既に特定されているなら、ミステリーにならないじゃない?」

 遥がメニューに表示されたテキストを読みながら言った。

「遥、これは時刻表ミステリーだ。つまり山崎雅弘にはアリバイがあって、殺人時間に現場に居ることが不可能という設定になっているのだと思う。どうやって移動したのかを推理して解く必要があるんだ」

「そう言う事か……。これはファイナルステージだから、とても難しいトリックがあるという訳ね……?」遥が呟く。

「でもゲームだから、捜査も凄く簡単に出来るよ。まずは犯行現場のマンションに行ってみようか」

 そう拓也は言うと、メニューを開いてマップを出し表示されている殺人現場をクリックした。移動というボタンが現れたのでそれをクリックすると、二人の周りの風景がまた変わり、マンションの玄関が現れた。

 二人が玄関を開けて中に入ると、そこは長い廊下になっており廊下の先に白いテープで人が倒れていた形が残されている。そして多量の血液が乾いた後が見える。

「犯行時刻は九時五五分。これはマンションの防犯カメラに映っていた犯人が玄関に入り、出てきた時間から特定されている。死因は心臓破裂。背中から包丁で心臓を一突きにされた。凶器の包丁はこの場に残されていたが、とても一般的な物で、そこから犯人は特定できなかった。監視カメラに映った犯人もパーカーのフードを羽織り、サングラスとマスクを着けていたので、人相を特定出来ていない。指紋もまったく検出出来ていない」

 拓也がメニューに出ている新たなテキストを読み上げた。

「警察は防犯カメラに映った犯人の背格好と動機を持っている山崎雅弘を重要参考人として捜査をしている。山崎は二ヶ月前の事故の後、会社の転勤で長野県松本市から埼玉県上尾市に引っ越している。今はアキナーイプソン上尾工場の製造課長の立場だ」

「取り敢えず、山崎さんに会ってみましょう。それで解くべき謎が見えてくるんでしょ?」

 遥がそう言って、自分でメニューを捲り始めた。彼女はすっかりゲーム内の動きにも慣れたみたいだ。

 また場面が変わった。

 二人の前にはアキナーイプソン上尾工場本館と書かれた建物が見える。二人で建物の中に入ると、拓也が受付の女性にバッジを見せながら声を掛けた。

「警視庁の坂本です。製造部の山崎さんと約束があるのですが……」

 その女性は少々お待ちくださいと言い、自分の端末を叩いている。

「はい、伺っております。坂本様と中澤様ですね。会議室12を確保しておりますので、この先の右にある会議室に入ってお待ちください」

 そう言うと女性は立ち上がって、右奥の会議室エリアを示した。

 拓也と遥は彼女に一礼して、会議室12に向かった。

「ちょっと、拓也。この事件、長野県松本市の事件だよね? 何故、長野県警でなくて警視庁なの? あと、私達、まだ山崎さんのアポ取っていないけど、予約が入っているって?」

 遥が歩きながら拓也に聞いた。

 拓也が微笑みながら答える。

「この時刻表ミステリーの主人公は警視庁の刑事という設定だからさ。ゲームだから多少の不整合は容認されている。また俺達が山崎さんに会うと選択した事で、自動的にアポイントメントも取られている。トリックを解くと言う本質的な点以外は、いくつかの矛盾はある。それはゲームだからと納得するしかないかな……」

 拓也の答えに、遥は少し不満そうな顔をしたが声には出さず、拓也に続いて会議室12に入った。そして中にあるテーブルの席に二人で腰を降ろした。

 五分程待ったところで、一人の男性が会議室に入って来た。写真で見ていた山崎雅弘だ。

「お待たせしました。山崎です。お忙しい所、ご苦労様です」

 そう言いながら、彼は拓也と遥の向かいに座った。

「こちらこそ、お忙しい所、お呼び立てして申し訳ございません。いくつか確認したい事がありまして、お伺いして宜しいですか?」

 拓也のその問いに、雅弘は頷きながら答えた。

「勿論です。既に他の刑事さんにも必要な事は話しましたが、殺人事件の捜査ですから最大限協力させて頂きます」

「今回の被害者『田所拓海』さんはご存知ですよね?」

 拓也の質問が始まった。

「はい知っています。彼の車が二ヶ月前に交通事故を起こし、妻と娘が巻き込まれて亡くなりましたから」

「あの事故は奥様と娘さんが急に車の前に飛び出したと事が原因という報告が出ていますが、それに関してはどの様にお考えでしょうか?」

「私は田所さんのスピードの出し過ぎと前方不注意が一次原因と考えています。その事故報告書は事実を捻じ曲げられています」

「それはどう言う意味ですか?」

「これは前の刑事さんにも言いましたが、田所の父は長野県選出の国会議員です。長野県警に圧力を掛けて事故報告書を改竄させたと考えています」

「それでは彼の不注意で奥様と娘さんが亡くなられて、事故報告書まで改竄させられて、彼への恨みは相当大きいのではないですか?」

 拓也はここで確信に迫る質問をした。

「勿論、恨んでいます。刑事さんだって家族を奪われたら同じ恨みを抱くと思いますよ」

「それは田所さんを殺したい程の恨みですか?」

 拓也のその問いに雅弘は少し微笑んで見せた。

「勿論です。今回、彼が亡くなったと聞いて、申し訳ないですけど喜んでいます。これで少しは、和美と真理も報われると思っています。なので私には田所さんを殺す動機は有ると言う事になりますね」

 拓也は雅弘が自分で動機があると言った所に違和感を覚えながらも続けた。

「当日の行動を教えて下さい。勿論、何度も説明していると思いますが、もう一度確認をさせて下さい」

「アリバイですね。良いですよ。当日は朝から少し微熱が有ったので、会社を半休して十二時に出社しました。出社時間は建物の入室記録でも、同僚の証言でも確認出来ていると思います。当日の十二時迄は一人暮らしの自宅ですのでアリバイは有りません」

 その雅弘の回答に拓也はこのミステリーの解くべき謎を理解した。

 九時五五分に長野県松本市で殺人を犯して、十二時に埼玉県上尾市の会社に出社する方法を考えると言う事だ……。

 もう一つ拓也はまったく異なった視点での問いかけを雅弘にした。

「昨年までアメリカに四年間赴任していらっしゃいましたよね。アメリカは車社会ですから車の運転は上達しましたか?」

 拓也の突然の問いに雅弘は少し戸惑っていた様だが、しっかりとした声でこう答えた。

「はい、アメリカでは通勤で毎日百キロ以上運転していましたし、家族と一緒に大陸横断もしてますから、運転の腕は上がったと思います。やはりアメリカの広大な大地を走ったり、上空から眺めたりするのは本当に素晴らしい経験でした。家族との絆もとても強くなりました。あの事件が無ければ……」

 雅弘は下を向いて肩を震わせていた。

「すいません、事件を思い出させてしまって。それでは今日は以上で結構です。ありがとうございました」

 拓也がそう言うと、雅弘は立ち上がり、大きく頭を下げると会議室を辞した。

「拓也、最後に聞いた車の運転って?」

 雅弘が会議室を出て行き、ドアが閉まると遥が拓也に聞いた。

「多分、このトリックは通常の電車では辿り着けないというタイプの物だと思う。だから、高速を車で飛ばしたケースを想定しての質問だった。何れにしろ少し整理しよう」

 拓也はメニューを捲り、このミステリーでの標準となっている時刻表データベースを読み出した。

「まずは普通のルートから見てみよう。松本駅から中央線で新宿に出て、新宿から湘南新宿ラインで上尾駅まで」

 先に遥が時刻表を捲っている。

「松本駅発、スーパあずさ12号が松本駅を十時〇八分発、新宿到着が……ああ、もうダメ。十二時三三分だわ……」

 拓也には分っていた。この時刻表トリックは通常ルートではまったく成立しないのが常だ。

「遥、新幹線を使うんだ」

「新幹線? でも松本には新幹線通ってないわ……。あっ、そうか、北陸新幹線。長野から乗るのね。一見、東京から離れる方向だけど、上尾は上越線だから北陸新幹線の熊谷経由だと早いかも」

 遥はそう言うともう一度時刻表データベースを見た。

「松本発十時〇七分しなの3号、長野到着は十時五八分、新幹線はあさま614号が長野発十一時〇六分、熊谷着が、ああダメ十二時一二分、乗り換えて上尾着が十二時三八分。間に合わないわ」

 拓也はやっぱりと思った。これは本当に難しいパズルだ。

次に拓也は地図のデータベースを開いてみる。車での移動の検討だ。車を使う場合、長野道、中央道、圏央道とほぼ高速を使える。ただし距離は二四〇キロ……。これを二時間以内に走るのは通常であれば不可能だが、平均一三〇キロで走れば間に合う。

「遥、長野自動車道の松本インターを十時から十時十分迄に入った車を調べよう」

遥は頷くと長野自動車道のデータベースにアクセスした。

「その時間にインターを通った車は四八台。その内スピードが出せないトラックやバスが十台。残りは三八台。全車ETCで料金所を通っているわ。この三八台の内、圏央道の料金所で降りた車が五台、上尾の最寄り掛川北本で降りた車が一台あるわ。この車が掛川北本で降りた時間は……? 残念、十四時二五分。他の圏央道で降りた四台も十三時半以前に高速を降りた車は無いわ」

遥がデータベースのテキストを見ながら言った。

拓也は考えていた。何か他に方法は……? 新幹線より早い方法って……?

「遥! 飛行機は? 松本市には信州まつもと空港がある」

遥は頷き、もう一度データベースにアクセスした。今度は飛行機の時刻表だ。

「信州まつもと空港の時刻表を出すわ。ここから羽田行きがあれば……。あっ……羽田線は無いんだ。路線は大阪伊丹行き、札幌行き、福岡行きのみね。待って。大阪伊丹行きが十時十分にあるわ。これが伊丹に着くのは十一時丁度。伊丹から羽田行きは、十一時二〇分。羽田到着は、あっダメね。十二時三〇分だわ……」

二人は大きく肩を落としていた。流石、ミステリーワールドのファイナルステージ。一筋縄では行かない……。

十時まで松本に居て、十二時に上尾の会社に出社する方法が本当にあるのか?でも、この謎を解かなければ、次のワールドに進めない。何かヒントは……?

 その時、拓也は山崎雅弘の言ったある言葉を思い出した。

『……運転の腕は上がったと思います。やはりアメリカの広大な大地を走ったり、上空から眺めたりするのは本当に素晴らしい経験でした……』

「うん? 『上空から眺めたり……』。もしかして雅弘は飛行機の免許をアメリカで取得したのでは……」拓也が呟いた。

「えっ? それは自分で飛行機を操縦して松本から上尾に移動したって事?」

 遥が目を見開いた。

「確証は無い。ちょっと調べさせてくれ」

 そう言うと、拓也はメニューを捲って、フライトレーダのデータベースにアクセスした。過去の飛行データの記録を呼び出す。そして当日、信州まつもと空港を発着するフライトを確認した。

 九時五十分から見ると、九時五五分に札幌からのフライトが着陸して、十時十八分に大阪伊丹行きのフライトが飛んでいる。対象の時間に離着陸したフライトはこれだけだった。

「拓也、これもハズレって事ね」遥がガッカリした様に言った。

「イヤ、まだだ」

 そう言うと、拓也はメニューを捲り別のデータベースを探し始めた。

「一般に公開されているフライト履歴のデータはIFR、つまり計器飛行で飛んでいるフライトのみだ。これはトランスポンダーから発信される信号を元に飛行機の速度・高度・位置を二次レーダの情報として表示しているからだ。VFR、有視界飛行のフライトは二次レーダには映らない。信州まつもと空港の一次レーダのデータベースを見ないと……、あった」

 拓也は見つけたデータベースを表示させた。

「拓也、凄い、十時十五分に離陸した機体がある。行き先は?」

 遥が嬉しそうに言った。

「ちょっと待って今、フライトプランのデータベースを検索している。機体はセスナ172、登録番号はJA3561。行き先は掛川本田エアポート。離陸予定時間十時〇五分。飛行時間五五分。着陸予定時間十一時丁度。機長は……」

 横でそのデータベースを見ていた遥が叫んだ。

「まさひろ やまざき!」

「信州まつもと空港の監視カメラの映像にアクセスするぞ…… 」

 そこに表示された映像には、中型バイクに乗った男が十時五分頃、空港に現れ、自家用機の発着エリアの建物にヘルメットを被ったまま入って行った。その男は十時十分頃、フードにサングラス、マスクをしたままエプロンに現れた。

 残念ながら、その男を山崎雅弘と特定する事は出来なかったが、その姿はマンションの監視カメラに映った男の服装と同じだった。

 その男はエプロンに駐機しているセスナ172、JA3561に乗り込むと十時十五分に信州まつもと空港を離陸して行った。

「今度は、掛川本田エアポートのデータベースにアクセスだ。レーダ記録は……、十一時二三分に着陸機がある。掛川本田エアポートの監視カメラのデータは……?」

 拓也がデータベースを検索するとエプロンと滑走路の一部を監視するカメラのデータが残っていた。それを拓也と遥はじっと見つめた。

 十一時二三分の着陸機は?

「JA3561、信州まつもと空港を離陸して行った飛行機だ……」

 そして、その機体がエプロンに駐機すると、パイロットが降りて来た。

 まつもと空港側と違い、そのパイロットはサングラスをしていたがフードもマスクもしていなかった。

 そして、エプロンの途中でサングラスを外した。その人物は……?

「山崎雅弘!」二人は叫んだ。

 そして、掛川本田エアポートと上尾の雅弘の勤務先迄の距離は15キロである事を確認し、この内容をミステリーワールドのレポートページに書き込んだ。

 『犯人は山崎雅弘。彼は長野県松本市の田所拓海のマンションで九時五五分に田所拓海を殺害し、バイクで信州まつもと空港に移動、小型プロペラ機セスナ172を操縦し、まつもと空港を十時十五分に離陸し、掛川本田エアポートに十一時二三分に着陸した。そこから自家用車で移動し、十二時に埼玉県上尾市の勤務先に出社した。アリバイは崩れた』

 その瞬間、二人の目の前に『CASE CLOSED』の文字が浮かび上がり、緑色でサスペンスワールドクリアと表示された。

 そして、次のワールドの選択画面が出る。


 残りは『ファンタジー』『レース』『ウォー』『スペース』だが、シークレットエリアに入るTipsに従い、拓也は『レース』を選択する。

 また二人の周囲が暗転して新しいワールドが現れようとしていた。

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