コーラ②
放課後、教室でみんなをそれぞれ送り出し、俺は家に帰ることにした。
校舎を出ると、喉が乾いていたので、あそこに行ってみることにした。
ここは学校からほど近くにある池の庭公園である。
公園といっても直径二十メートルくらいの池と公衆トイレに自販機が三台とベンチが一つあるだけだ。
俺はこのベンチに寝そべり何も考えずぼーっと雲を眺めることが好きだった。
今日も久々にここで雲を眺めるのも悪くないと思った。
とりあえず喉が乾いているので、飲み物を買うため自販機に向かった。
それにしても、今まで俺らは部活動という青春を共に過ごしてきたのに引退した途端にこうもやることがかわってくるなんて。
恋愛も良いだろう、
勉強も大切だ、
バンドだって憧れる。
それだからって友情を蔑ろにするのは
違っているんじゃないかなって思う。
なんだかんだ結局は自分だけやることがなく今まで一緒だったのに取り残されたかのような虚無感で拗ねているだけなのだ。
こういう時はスカッとしたいからコーラでも飲もうとお金を入れてボタンを押そうとすると、
「そこの君、もしかして暇じゃありませんか」
後ろから声をかけられ振り返ると就活生のようなスーツ姿の男性がこちらを見て微笑んでいた。
「誰だかは次に話すとして、ちょっと人助けをしてみたくはありませんか?」
俺は驚き怪しみつつも、何故だかこの人が悪い人のようには見えなくてちょっと話が聞いてみたくなってしまった。
「人助けって何?」
またその男性は微笑みながら、
俺に質問されたことが嬉しそうに答えた。
「缶ジュースを飲み終える間だけわたしとたわいもない会話をしていただけませんか?」
これが俺とおじさんとの初めての出会いだった。
放課後缶ジュース。 かつらさく @sakusakuscm
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。放課後缶ジュース。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます