コーラ①
まだ暑さの残る九月上旬、夏休みも終わり。
これから大学受験へ向けてラストスパートの今日という日。
俺は進路先が決まった。
「アシトおめでとう、学年で一番乗りらしいじゃん。」
「さんきゅーアキラ。みんなほぼ進学希望だからこんな時期に決まるのは就職希望の俺くらいだろうな。」
「僕はアシト君ならすぐ受かると思ってたよ。」
「ゴウはすぐアシトを褒めるからよくない。こいつには挫折という名の……」
俺はナギの口を抑えこみ、その先を言わせない。
それを見て笑う二人。
いつも通りの風景である。
俺たち四人は高校一年の時からクラスが一緒でたまたま部活も一緒ということもあり必然と仲良くなっていた。
「今日の帰りお祝いでマックでも奢ってくれてもいいんだぜ」
就職先が決まり上機嫌な俺は三人に問いかける。
「わるい、今日はゆかと一緒に帰る約束してんだ」
この前とはまた違う女の子の名前を言い出すアキラに対して俺は吐き出したい言葉を喉の奥へと押し込んだ。
「アシト君、僕もこのあと塾の実力テストがあって……」
「そっか——ナギはどう。」
「今からバンドのメンバーと文化祭に向けての打ち合わせがあるから、無理。」
みんな忙しいのだから仕方ない。
でも少し心寂しさを感じる俺であった。
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