白百合の誓い

「・・・・まずは・・!」


「!!!」


「先輩?」


「まずは、遠距離からのエレメントを圧縮した皿で、俺たちの動きを止め。俺の攻撃を避けながらこいつの能力が致命的なもので無い事を観察し、再度飛び道具で攻撃を仕掛けるかのようにあえて、後ろの窓に映し出される角度で背後に隠した両手に強烈な攻撃を繰り出す気配をにおわせ、俺のサークルが二つとも同じ動きをしたことを確認した後、上下左右どこから攻撃が繰り出されるのかギリギリまでわからない横回転の動きから、再び飛び道具と見せかけておいてからの、極限まで大気との屈折を無くしたハーモニックソード。しかも左右2刀。俺に命中する瞬間に割って入ってきたテルの盾を確認した刹那。両手に展開させてたソードを片手に集中し、リーチと威力を倍増させ。さらに、操作領域に入った絨毯に滲み込んだプレグワインを針状に操作しての挟み撃ち。こいつの能力が『弾く盾』じゃなかったらやばかったぜ」


「・・・先輩!ぼくの盾はもう‥!」

「わあってる。黙ってろ。・・・お前、相当やり込んでんな」


「若いのに・・・暇なんだね」


二人の青年は、この期に及んで憐みのようなまなざしをジゼルへと向けた。


「だから!なんだと言うのですか?!あなた方!おしゃべりはそのくらいにして覚悟なさい!」


「おっと、もう同じ手は通用しないぜ。次に俺たちに近づけば今度は、外に弾き飛ばしてやる」


「そうなったとしてもすぐに戻ってきて差し上げます」


「じゃ!じゃあそうなったらここにいる奴らを人質にして・・・・」


「黙ってろ。大丈夫だから」

「・・・すみません」



「仲が。よろしいのですね」


「ハッ!!!!!!!!!」


先輩と呼ばれる人物は再度短刀を荒ぶらせ、ジゼルを襲った。


「・・・これはっ?」


「そうだ、そのまさかよ」


先程と異なり、今度の円盤にはさらに半透明な円盤がそれぞれに追従していた!


ジゼルは反射的にその内の一つを叩き落とした。


バンッ!!!


「きゃあああああ!!!」


「領主様方!?」


「俺は、お前と違って精密なエレメント操作なんてできねぇからよ!迂闊に叩くとあぶねーぞ!走る自転車の車輪に蛍光灯を突っ込むようなもんだからな!!!」


「くっ、卑怯ですわよ!!」


ジゼルが気圧されると見るや先輩と呼ばれる人物は、苛烈に円盤を暴れさせ攻め立てた!


それでも彼女は一瞬の隙を突き、暴れまわる円盤の最後尾に追従するように弧を描き二人の襲撃者に襲い掛かった。


「かかった!!!くらえっ!!!」


精密なエレメント操作ができないと言うのは、嘘だった。


部屋中を出鱈目に暴れまわっていた円盤たちは一転、まるで知恵を得たように収束し八方からジゼルに吸い込まれた。


「ジゼルさんっ!!!!!!!」


物陰で手を固く握ったまま戦いを見守っていたセイムは思わず飛び出した。

自分には何もできないかもしれないが、床に倒れるジゼルを受け止め、わずかな間、盾になる事くらいは出来ると思ったからだ。



パタパタと床に飛び散る。






円盤の欠片。


「先輩っ・・・あれは・・・!」「ぁあ。まじぃぞ、ありゃ・・・。」


『ガーデンリリー・・・!!!』


「・・・さ、第2ラウンド。始めましょうか?」

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