第4話
妄想に耽るあまり、目的地を少し過ぎたことに気づいた。戻る。
もう雪がもこっと積もっている。いきなり降ったので除雪が追い付いていない。もさもさと雪を踏みつけて歩く。
目的地に到着。鳥居の向こう側へと進む。
前にテレビで神社の道の真ん中は神様の通り道だから通らないほうがいいという話をやっていた、ような気がする。それを実践する。右端を歩く。雪で埋もれているから本当に右端を歩いているのか自信が無くなる。
鳥居を抜ける。地面は真っ白。誰の足跡もついてないので、正真正銘の真っ白。
まず初めに雪だるま制作に取り掛かる。
手のひらサイズの雪玉を作って、転がす。転がす。
雪玉のサイズがコロコロという感じからゴロゴロという感じになる。そろそろいいかな。胴体が完成。
胴体よりも小さめの雪玉を作る。胴体に乗っける。まだ終わりじゃない。雪を掘って石ころを探す。いち、に、さん。三つもあれば顔に見える。
顔に石ころ三つつけて完成。いい出来じゃないか。
せっかく作った雪だるまに激突しないように、雪だるまから離れる。
そりすべりするぞ。何年振り?五年振り?そりを引きずり、斜面を登っていく。もさもさ雪をかき分け進む。
お社を見下ろす。お久し振りのこの景色。
そりに乗って斜面を下る。こんなに勢いよかったっけ?私が重くなったから?さっきまで前にあった空気を体で受け止めながら、猛スピードで下る。
停止。ああ楽しい、でももういいや。小さい頃は何回やっても飽きなかったけど今は一回で大満足。飽きた。
ずるずるとそりを引きずって、出口のほうに歩いていく。
歩いていくと、目の前に何かいることに気づいた。白い何かが雪の中にいる。近づいてみる。
ああ猫だ。かわいい!きりっとした顔の猫だ。白い毛の猫。眼は琥珀色だ。
そいつと目が合う。目が合い続ける。
ずっと見ていたい気もするけれど、寒いので早く家に帰ってココアでも飲みたい。猫に手を振って、また歩き出す。鳥居をくぐる。
帰り道、家に着く寸前あたりで風が強くなってきた。猫と早めにお別れしてきてよかったと思う。
家に入る前に雪を払う。ただいま。風から逃れた分暖かく感じる。
ストーブを点けて、薬缶を火にかける。
まだ部屋は暖まっていないから、コートは脱がない。マフラーとかは外した。まだ昼を少し過ぎたあたりだけど、曇っているせいで家の中は薄暗い。
カップ麺と、ココアの粉を入れたマグカップにお湯を注いだ。
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