18歳


 見かけた路地は、奥へ行くにつれてひしゃげていた。屋根の下へ流れる雨の名残りに匂うのは、鈴虫の羽や糸瓜の蔓。並木に正した受粉を終えて、新材質のビルが建つ。叢雲を通る月の光は、路地の白線に慕うような痕跡を寄せていた。

 フードを被らずにコートを着ていると、路地の濡れた面が乱反射してぶつかってくる。耳に残る風景には、終わりがない。物書く落ち葉は秋の抜け殻で、それがインクに混ざるまでの瞬間に、冬への窓になる気がした。

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