12歳


 歪んだレコードの周期と紙細工は、カーテンに触れて追憶から離れてゆく。閉じたままのレコードと、何かを折込んだ紙細工は、12歳を思い出しても過去のものだった。意味の付く流出物には長い時間が必要ということを、今でも理解できないのだから。あと2つを数えると、まち針の魂は外れて飛んでしまいそうになる。

 果物に押しつぶされ腐った臭いを放つと、霧に拐われた玩具たちを忘れてしまう日記帳の重いページ。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る