14歳


 灯台の見える山へは、短冊状に切り取られた光が短く点滅した。拓かれた浜の町を出ることなく、点滅の指先を見れば文庫本のように焦げた桟橋を眺める自分が居る。山からの剥製へ海が飽和する月曜日。朝日の夢を想像すると、深く潜った鯨に景色が変わってしまう。

 擦り減った音の先には海がある。歯車が剥がれ落ちた潮目の沖で、腐食するたびに沈む鯨の姿。耳を澄ませば聴こえる気がした。駆動音が遠ざかるはずの海の現象。

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