17歳


 ただ羽虫の油の足りない夜。透明な胴体が踏まれるままに落ちてゆく。積もる白と白線は、灯りの間に交差して波になった。行き場を失う自転車は、踏切の音で何処かへと連れてゆかれ、線路の鉄には街が映っていた。海底の文様に突き動かされ、電車が走り去ると、古代魚の骨は一層沈む。

 悲しい顔が泳いでいる。肺のあった空洞には紫色の自動車が走り続け、口からは子供の声が聞こえてきた。アスファルトが溶けてしまう8時の夜に、囚われて浮いた少年は、月に騙されたカラスの嘴を手にしていた。

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