子供の記号
フラワー
11歳
夜の露を探していた。欠けたばかりの透明な靴を、蜘蛛の巣に響かせながら。暗い重力は、大きくて赤い大地が近付く空に糸のように紡がれて動かない。空があんなに脈を出しても、蜘蛛の子たちは静かなまま。花の甘さに掬われて、小川の鱗になるように。
結いた髪に触れる首筋の肌は、敏感なカタツムリの触角よりも瑞々しかった。その足跡の祈りは濡れて、岩の上に続いている。
大きくて赤い命が傾いた。このままでは、海の彼方にクラゲとなって消えてしまう。
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