第16話 お菓子作り
「ゆいおはよ~」
リビングに入ってきた彼は先ほどはつけていなかった、可愛いエプロンを身に着けている。
「尚、それかわいいね。」
「でしょ~。これも自作。それじゃ、そろそろ作ろうか!男子陣はここで少し待っててね。」
自分も男子なのに完全に女子枠の尚がゆい達に伝え、私は尚がくれたエプロンを
つける。
「やっぱ、そのエプロン似合うね!」
「ありがとー。それでは、今日は何を作るんですか?尚先生?」
「んふふ。今日はね、クッキーをたくさん作ります!」
ふざけて先生呼びをすると、なんだかうれしそうに笑った尚。
それから、二人でトークを楽しみながら、クッキーを作った。
「「できたー!!」」
2人で声をそろえてしまうほどの達成感。あんなに買った材料をすべて使い、大量のクッキーを焼き上げた。15人は満足できる量だと思う。
「それじゃ、出来上がったし、あっちで待ってるゆいたちに持って行ってあげようか!とりあえず、クッキーだけ持って行ってくれる?俺、皆の飲み物持っていくね。優ちゃんは紅茶でよかった?」
「うん!すごいね。皆の飲み物把握してるなんて。」
「それで皆の役に立ってるなら、嬉しいから。」
「そうなんだ。やっぱり尚はえらいや。じゃあ、行ってるね。」
年下なのに、とてもしっかりしている尚。彼から学ぶものはたくさんある。
「お待たせしました。今、尚が飲みもの持ってきてくれるから。」
「クッキーじゃん!今日のおやつはクッキーだあ~!」
「お嬢さん、こっち座りな。」
2人らしい反応をしてくれた。そんな彼らを微笑ましく思っていると、
「はい!みんなの飲み物~」
尚が飲み物を器用に四人分持ってきてくれて、お菓子タイムとなった。
今日、尚が入れてくれた紅茶はいつもの壮太君のものとは違うけど、優しいおいしさであふれていた。そして、尚先生と一緒に作ったクッキーは大成功。サクッとした食感から、ほのかな甘みが香る。
「…それでね、武人君が…」
四人で談笑しながら、クッキーを食べていると、ドアの開く音とともに陸さんが顔を出した。突然現れた彼に、思わずびっくりしてしまった。
「大丈夫?」
以前のコトがあったからか、壮太君が静かに背中に手を当ててくれた。
「大丈夫、ありがとう。急だったから驚いただけ。」
あの日も、何か危害を加えられたわけでもなかったし、本当にやさしくしてくれたのは事実だ。だから本当に驚いただけ。
「お、うまそうなクッキーじゃん。尚と優ちゃんで作ったんでしょ?さすがじゃん。」
部屋に入ってきた陸さんがクッキーに手を伸ばす。
「陸君、なんか話あってきたんでしょ?先に話ししなよ。お土産用に作ってあるから。」
尚がそう言うと、伸ばしかけていた手を止めて、思い出したように陸さんが話し出した。
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