第14話 トシシタの男の子

「ただいま~」

「お帰り~」

買い出しに行っていた尚が帰ってきて、出迎えたゆいの声が響く。


「あれ、武人君、なんか機嫌悪いね。」

むすっとしている武人君を見て、機嫌を察することができるところはさすが尚。年下ながらに感心する。

「聞いてよ!壮太君がね…」

話始める武人君を受け流し、尚はキッチンに入っていく。


「なーおー!」

まるで母の後追いをする子供かのように武人君がっキッチンに向かおうとすると、

「みんなにお土産買ってきてるから。武人君準備お願いしていい?」

そんな彼を見越して、尚が好物で役割を告げる。

お土産と聞いて、テンションが上がった武人君は張り切って準備を始めた。


「あいつ、単純すぎるな(笑)」

壮太君がそんな相方を見て笑っている。なんだかんだ、壮太君も武人君のことが特別なのだろうとみていて感じる。



「ねぇ、尚、お土産って何???」

書類に目を通していたはずのゆいが、いつの間にかキッチンにいた。

「ん~?ドーナッツ。皆食べれるし、優ちゃんは女の子だから喜んでくれるかなって。」

皆のことを考えている彼はやはり、虹高の母と言えよう。

なんて考えてたら、尚がジュースを手際よく用意していく。

「手伝うよ。」

見ているだけだは忍びないと思い、手を貸そうとしたが、人によって飲むものが違うらしい。そうして、尚の言うままにジュースをついでいった。一人一人の好みも分かれてるなんて大変だろう。


「あ!そうだ、優ちゃんにプレゼントあるの!」

皆の用意ができたころに尚がカバンをごそごそしている。そして渡されたのは…

「エプロン?」

「そう!一緒に料理とかできたら楽しいだろうなって。…ワクワクしすぎて、刺繍入れちゃった。」

そう言ってかわいい笑顔を向けてくれた。

「うれしい!ありがとう!」

私自身、友達が多い方ではなかったから、女の子友達ができたみたいで、尚がいるととても楽しいのだ。

「じゃあさ、今週末クッキー作ろうよ。予定とかある??」

「ううん。暇。じゃあ週末ね。」

「わかった!俺の家来てね!すっごいたn「尚?家って…」


楽しそうに話す尚を、ずっと話を聞いていたであろう瑞樹君がさえぎった。

「家って、あそこだろ?それはちょっと…」

「兄ちゃんたちが連れて来いって。だから大丈夫だよ。」

「そっか…」

彼らが何の話をしているのかは読めなかったが、なぜか瑞樹君はあまり賛成していないようだ。


「じゃあ、瑞樹君も一緒に来る?」

なんとなく提案すると、

「いや、おれは…」

「楽しそう!俺も行きたい!」

瑞樹君と話していたはずなのに、ゆいが一緒に来ることになっていた。

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