第11話 賑やかな生活の始まり
「優ちゃん!無事でよかった~!!」
ゆいが部屋に入ってくるなり、私に抱き着いてきた。可愛い系の子とはいえ、男の子に抱き着かれたらさすがに苦しくてどうしていいか困っていると、
「侑依。苦しそうだから。放してあげて。」
壮太君が助け舟を出してくれた。
「皆、お嬢さんのこと心配してたんだよ。こういう時は素直に甘えるもんです。」
そして続けて優しく言葉をかけてくれた。さっきの言いかけたことから察してくれたらしい。ふと隣をみて目が合うと、私の頭をなでてくれた。
「…うん。ありがとう。」
私の目の前にしゃがんてニコニコしているゆいに、まだ一人で照れてる門馬さん、その様子を見て楽しそうな瑞樹君がいた。
ー数分後
「そろそろ戻るか!」
ひとしきり照れ終わった門馬さんが皆に向かって声をかけた。
「そうだね。もう日も暮れそうだし。」
私の隣で頭をなで続けていた彼が返事をしたことで、みんなが立ち上がる。
ガチャ
その瞬間にしまっていたドアが開いた。そして入ってきたのは…
「皆、おつかれ~!」
皆と同じ制服を着た、金髪の男の子だった。
「尚~!」
ゆいが今入ってきた男の子に飛びつく。戸惑いなく受け止めたその人は私を見ると、女子から見てもかわいい笑顔で自己紹介をしてくれた。
「皆からなんとなく話は聞いてるよ!優ちゃんだよね?御門尚です!ん~。ナオって呼んでほしいな?昨日も今日も用事があって会えなかったけど、いつもは皆のお世話してます!よろしくね!」
この子が昨日、壮太君が言っていた、会計の子のもう一人か。と情報を一致させながらあいさつを返す。
「よろしくお願いします。」
「敬語とかやめて~!こんな男子ばっかりでしょ?俺、女兄弟多いから、なんでも相談してね!」
愛想のいいナオはニコニコ話してくれる。本当に女の子みたいな彼はきっと癒し担当に違いない。
「ナオは女子枠だもんなぁ。背もちっちゃいし。」
「ちっちゃい言うな!」
瑞樹君にいじられたナオは鋭い突っ込みを入れる。皆が笑っているところを見るにいつもの流れの様だ。
そこにはさっきのような思い空気は流れておらず、皆の笑い声が響いていた。
ーーー笑いの絶えない彼らとの、にぎやかな生活が始まる。
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