第7話 長くて短い一日
壮太君に送られて無事帰宅すると、さっきまで皆といたからかやけに一人の部屋が寂しく感じる。
広い空間にただ一人。
「色々あったな。」
今日の出来事を思い出しながら夢の中へと向かった。
そこで見たのは、幼い自分が誰かと笑いあう、どこか懐かしい夢だった。
***
次の日の朝、外の明かりで目を覚ました。
軽く身支度を整え、街に出る。
最低限のものしかないから色々そろえようかと計画する。
どんなものを買おうかな。
部屋の構成を紺考えながら、色々な流行りのお店をのぞいていく。
「ねぇ、お姉さん何してるの?」
そろそろ決めようかというときに見知らぬ声に話しかけられた。
振り返ってみるとその人は、茶髪で長めの髪を流していて、チャラそうな雰囲気を醸し出している。
「買い物をしてて」
素直に答えるとその人は、
「ごめんね!一緒に来てほしいところがあるんだ。」
いきなり何を言うのかと思えば、まさにナンパの定型文にありそうなセリフだった。
「どこにですか?」
とりあえずどこに行くのか、場所を聞いてみる。
「え?いいの!?」
承諾など出していないのに、肯定ととらえたその人は勝手に話を進めていく。
「こっちこっち!」
私の腕をつかみぐいぐいと引っ張っていく。
「いや、待って!どこ行くんですか?」
人の話を聞く耳を持たず、人通りの少ないところに向かっていく。この状況には恐怖を感じ、だんだんと苛立ちがわいてくる。
「いきなり、何なんですか!」
やっと止まった彼の腕を振り払い、苛立ちの感情を隠すことなく相手にぶつける。すると彼は、ばつが悪そうな顔をして、
「…ちょっとだけ、ごめんね。」
そういいながら素早い動きで私の視界を奪い、甘いにおいのするものをかがせて来た。
意識が薄れゆくなか、車のドアがあく音がした。
「最近あいつらたるんでるんだわ。」
その声が最後の記憶だった。
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