第16話



タクミ君は家の近くまで来ると、私の手をぎゅっと強く握った。


「どうしたの?」

「アズ・・・」

「ん・・・?」


タクミ君が手を握って少し俯く。


「俺、めちゃめちゃすきなんだ」

「うん」

「めちゃめちゃだよ?」

「うん」

「アズは?」

「めちゃめちゃすき」

「ううううううう」

「え!なに~」


タクミ君は急にしゃがみこんだ。


「え、タクミ君?」


タクミ君はしゃがみこんで地面見ながら言った。


「そーとー嬉しくてさ」

「ええ~」


タクミ君は立ち上がり私に抱き着く。

ぎゅーと強く。


「帰したくねえ」

「うん」

「離したくねえ」

「うん」


家の近くの道端で私達は抱き合ってた。

タクミ君の唇が首元へといく。


「ここ外だから~」

「へへ」


と言ってタクミ君は笑って離してくれた。


「アズ、もう1回言うな?」

「なに」

「俺以外とはだめだから」

「うん」

「守れる?」

「うん」


私は、もう、絶対タクミ君のことを裏切らない。

そう、決めた。


タクミ君は家の前まで送ってくれた。

「また明日」と言ってゆっくり帰っていった。



「おかえり~アズ」

「ただいま」

「アキと会った?」

「ううん」

「あら、さっき来てたのに」

「え、、」

「アズに会いに来たかと思ったけど」

「ふーんーー」

「喧嘩した?」

「してない」


なんでアキが来たのかわかんない。

それに、全然アキの姿も見なかった。


でも、私はもうアキに連絡する気にはなれなかった。

もう、アキに会うつもりもなかった。




だけど、アキはそうさせてはくれなかった。



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