第8話



 タクミ君の唇でずっと塞がれた私の唇。


タクミ君の吐息でくすぐったい。

でも私は気持ちいいままベットに倒された。



「アズミちゃん」

「んん」

タクミ君が私にまたがり、私を見下ろす。

タクミ君の少し長い前髪がふんわりと揺れた。

私は上を向いたままその顔に見惚れた。


「俺、もう我慢できないよ」

「うん」

私も我慢できなかった。

タクミ君の首に回した手に力を込めて顔を引き寄せた。

そして舌を使った長いキスをした。

タクミ君は少し嬉しそうに っふっと笑いキスの続きをしてくれた。

なにも考えれなかった。タクミ君のことしか。


タクミ君の長くて綺麗な指を知ってた。何度も見てた。

その指が私の身体を優しく触れ、なぞられる。

気持ち良くて身体がピクっと動いてしまう。

唇は首元で優しく愛撫され、綺麗な指は胸からへそを辿り、私のソコに触れた。

「っん」

声が出た。

でもタクミ君の指たちは止まらない。加速する指。

もう、私のソコは充分濡れていた。

タクミ君は私の服を全部脱がし、自分の服も脱ぎ捨てた。

そして少し乱れた息をそのままにして、続けた。


長く、激しく、でも優しいセックスだった。



下着をつけてくれて、ワンピースも丁寧に着せてくれた。

その後、もう一度キスをしてくれた。


なんだか、そのキスは恥ずかしくて少し照れた。


その後は、テレビを見たりした。

夜ご飯は食べずに帰った。


駅まで送ってくれた。

繋いでいた手を離すのが嫌だった。

「気を付けて帰ってね」

とタクミ君が言う。

「うん、」

と、俯く私にタクミ君が頭を撫でてくれた。

そして人がたくさんいるのに、「ちゅっ」とキスをした。

一気に恥ずかしくなり「もうっ!」と言ったが本当は嬉しかった。


何度も振り返りながら駅のホームに向かう。

帰りの電車はニヤニヤが止まらなくて、まだドキドキしていた。



駅から歩いて帰る。

「今日はありがとう。楽しかった!気を付けて帰ってね」

とLineがきていて、私も楽しかった と返した。



夜ご飯の匂いがした。

「ただいま~」

とドアを開けると、見慣れた靴が並んでた。



アキのの靴だ。



今は、今だけは会いたくないと思った。



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